830 名前: ◆WNCTZRfj36 :04/01/06 22:19 ID:60ftsM5y
「恵さん! こっちだ、早く!!」
「え、ええ、清麿くん!」
日曜の夜8時頃。モチノキ遊園地近くの商店街で、高嶺清麿が女の子の手を引っ張りながら逃走していた。
「清麿、どうするのだ!?」
「とにかくどこかに隠れなきゃ!!」
二人の許にはパートナーのガッシュとティオがいた。
とにかく暗闇の中を四人が必死に逃げていた。
何故か? それは四人をとある一団が追ってるからだ。
“大海恵が逃げたぞ!”“追え、追うんだ!”“恵の熱愛現場をスクープするんだ!”
そう。超人気アイドル・大海恵のプライベートを追う芸能レポーター関係者だ。
この日、恵とティオは密かに清麿&ガッシュとモチノキ遊園地でデートをしていた。
途中タッグバトル等のトラブルはあったが、午後は楽しい一時を過ごした。
しかし帰路につく途中、恵がサングラスを落っことしてしまい、勘の鋭い幼女がそれを見て大声で叫んでしまったのだ。
“あっ、おおうみめぐみだ!!”
しかも運が悪いことに、そこには別のスクープにと芸能レポーター数人も帰路につこうとしていたのだ。
辛うじて四人は彼らのフレームにおさまることなく暗闇の商店街に紛れ込んだのだが、食いついたら放さないピラニアまがいの連中だ、今尚執拗に追っているのだ。
何せ清純派で、なおかつ生まれて彼氏イナイ歴をリアルで続けている事で有名な大海恵の“デート現場”であるのだ。マスコミが食らいつかない筈が無い。
そして四人は遂に、行き止まりにぶつかってしまった。
「行き止まりなのだ!!」
「もうどうするの、清麿!!」
愕然とする清麿と恵の前で、ガッシュとティオが慌てふためいた。
「仕方ないわ、清麿君!」
恵は朱色の魔本を手にした。
「ああ、仕方ねえ」
清麿も魔本を手にした。もしここで捕まったら、醜聞以上に魔本の機密性が保てないと瞬時に計算したのだ。
831 名前: ◆WNCTZRfj36 :04/01/06 22:20 ID:60ftsM5y
(
>>830のつづき)
「マ・セシルド!!」
恵の叫びでティオは第3の術を放った。この巨大な盾は追跡者達の前に立ちはだかり、彼らを弾き返した。
“うわっ!”“いたた!”“何だこの壁は!?”と、向こうで追跡者達の悲鳴が轟いた。
一方、その逆方向の前方では清麿が叫んだ。
「ザケル!!」
ガッシュの口から第1の呪文の電撃が放たれた。するとそれは、眼前のブロック塀を吹き飛ばした。
「やったわ!」
「よし、今だ!」
見事なチームワークで突破口を作った四人は、そのまま逃げていく。そして、ちょいといかがわしいホテルに目が止まった。
「ウヌ、あそこに逃げ込むのだ!!」
そこがどんな場所か知らないガッシュが叫んだ。
だがそこがどんな場所か熟知している恵は赤面、そして清麿は激怒した。
「バカ、あそこがどんな場所かわかってるのか!?」
だが、また追跡者達が追ってくる気配がした。ティオは、ふと時計を見た。
「清麿、恵、ジタバタしてる時じゃないわ! ここは私とガッシュが囮になって逃げるから、清麿と恵はここに隠れてて。そして10時になったら、とにかく駅前で集合よ。わかった!?」
ティオの必死さに、清麿と恵は頷いてしまった。
「ガッシュ、いい、とにかく逃げて、あいつらをまくのよ!!」
ティオはガッシュの手を強引に引っ張ってつっぱしり始めた。
「ウ、ウヌ、とにかく清麿、隠れておるのだぞ!!」
引っ張られたガッシュの姿が遠くになる。
“子供二人を見つけたぞ!!”“大海恵と男の姿はどこだ!?”“とにかく先に子供を捕まえよう!! あいつらから恵と男の居場所を聞きだすんだ!!”
そして暫くして、レポーター達は、いかがわしいホテルに隠れた二人に気付かず、ガッシュとティオの後を追っていた・・・。