みえるひと ネタバレスレ【五人目】

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812 ◆xv3PhvD28k
もうバレの人来てるけど、一応。
今週は後ろのほうでよかったと思う。ネタが社会的にちょっときつい。

第四十六 19時間前

パラノイドサーカスとの対決まで 残り19時間

屋根の上のエージとツキタケ
ツキ「…なあ エージ?どうして ねーちゃんは 狙われてたんだと思う?」
エー「――… あの案内屋のねーちゃん 聞いても答えてくんねーからな
知ってるのか 知らね―のか… どっちなのかもわかんねーなー…」
上空で待つゴウメイたちが強そうだと思いつつ言葉を濁して悩む二人

一方、物置で何か探す澪
黒が生前から手をつけていないというガラクタから、何か見つけ出す
澪「…よし! 生き残る確率をあげるぞ 冬悟!」
みつけたのは子供用のシャボン玉セット
明神「で―… なんでシャボン玉?」
澪「修行に決まってんだろ!」
剄伝導を澪がシャボン液に行うと、宙にいくつもシャボン玉が浮かぶ
割れた途端、激しい殴打をシャボン玉から食らう明神
澪「私の剄シャボン玉をなめるなよ」
明神「おめーの説明はいつもおせーんだよッ!!」
澪「いいか!!人体には 剄にまつわる器官…
”剄絡”と”剄穴”が存在する!
これから お前には 剄の基礎である 気剄流絡を 体でじっくりと覚えてもら
う!!
体内に張り巡らされた”剄絡”と 体の表面に存在する”剄穴”…
発剄とは この2つの器官による 体内の剄の循環・集中・
放出のメカニズムだ
私の剄シャボン玉は 触れた瞬間 相手の剄の”量”に反応し
破裂する――!!
だが 同程度の剄で 玉に触れれば――…」
シャボン玉を、手品のように操る澪を見て驚く明神
澪「約束の時間までに シャボン玉を全身で 操れるようになれ!!」
基礎中の基礎だという澪に楽勝だろうと向かい合う明神だか
触れるか触れないかのうちにシャボンは暴発する
明神『剄がブレたっ!!どうして――!?』
澪『自分の体の剄絡を 把握する訓練をしてない奴に
微細なコントロールはできん…
無理な集中と放出を繰り返せば 体に ガタが来るのは当然のこと…』
アズミをとおざける澪
「さあ いくよアズミ あれはもはや シャボン玉じゃない
人を殺める哀しい兵器だ…」
明神『殺めるのか…』
813 ◆xv3PhvD28k :2006/06/22(木) 22:27:12 ID:ZCV+S1ld
一方、うたかた荘から電話をしている姫乃(相手はおじいちゃんだが、不在の模様)
通る澪の一方の腕がないことに辛そうに目を伏せる

さらに上空、待つゴウメイのもとに泣き声が響く
「うえ〜〜〜ん ゴ〜〜〜メ〜〜〜イ」
グレイをキックする形でゴウメイに泣きついてきたのはコクテン
コク「キヨイに邪険にされだ―――〜」
ゴウ「泣くな そんなんでよう」
コク「アタジ 嫌われたんだ―――乱暴者だから―〜〜」
ゴウ「お前 自覚あんだな」
グレ「もっとしろ!!もっと自覚しろ!!」

『僕は後から ゆっくり行くから 先に行っておいで コクテン
みんなで 姫乃を 連れてきてくれるって信じてる』
キヨイの言葉を不快そうに笑うミズチ
「キヨイキヨイ うるせーよ そんなにアイツのことが好きか お前ら」
「ミズチ? 何 今の? アンタ調子に乗ってっと ブチ消すわよ」
笑いながら毒のある言葉をはくコクテン

修行を重ねる明神
シャボンは明神の剄コントロールの最小に設定されているらしい
黒の剄が自分の剄の十分の一だと言われたことを思い出し、
『アイツの強さに辿り着く秘密もこのへんにありそうだ
今まで どれだけ 打ち込めるかだけしか考えてなかったぜ
こういう修行法もあるのか――…!』
814 ◆xv3PhvD28k :2006/06/22(木) 22:28:26 ID:ZCV+S1ld
場面は変わって回想シーン、どこかの洋館
洋館を訪れる男「おーい 真霧くんー!!私だ 開けてくれー!!」
「早かったですね 雉ノ葉さん」
「ふふん 私は 君に会うこの日を いつも楽しみにしているのだよ」
(真霧は左腕を怪我しているのか吊っている、比較的若い男
雉ノ葉はツキタケの縁者と思われる。三十代から四十代の背広に蝶ネクタイ、
帽子姿の男
ツキタケの父か祖父か親戚かは不明。回想の具体的時代も不明)
お宝自慢を互いにしているらしい二人
地下に下りて、真霧の自慢のコレクションを見に行く
剥製やホルマリンの瓶のある地下室(配電盤?もある)
雉「――いつ見ても 気味の悪い所だよ
――… ふーむ …おや?なんだ 去年とたいして変わっとらんな 君のコレクション」
真霧「フフ… もう動かない奴に 興味なんてありませんよ
今日のは 生きてます」
檻に閉じ込められ、放電しながら吼える猿に驚く雉ノ葉
真霧「微弱ではありますが 放電現象を起こす猿です…!
中国の文献によると 雷雲を呼ぶ伝説の動物の子孫だとか…」
感嘆する雉に、次の檻も見せる
「…そして こいつです」
「…ウサギ…?」
「時間を狂わせるんです!」
白黒の愛らしいロップイヤーラビットの檻の前で、腕時計で時間を見て興奮する真霧
「18秒遅れている!!見てください!!素晴らしい 予想通りだ…!!
この三日間 エサを与えず 放っておきました…!!
そしたらどうです…!!
自分の周囲の時間を遅らせているんですよ…!!
私がエサをやるのを待っている…!!
もう少し 追いつめてみようか… もしかしたら…いや…」
真霧の仕打ちに青ざめる雉の表情にも気付かず、自分の世界にはいる真霧
「全財産 費やしましたよ… どうですか 私のコレクションは…?
他にも こちらのコウモリは…」
815 ◆xv3PhvD28k :2006/06/22(木) 22:29:30 ID:ZCV+S1ld
説明の途中に、ヤギの鳴き声が入る
すると突然、ヤギの檻を蹴り上げる真霧
「うるさいぞッ!!このッ…!!」
「どーした 真霧君!?」
「何もできない うす汚い 山羊ですよ!!
借金までして お前を手に入れたというのに…!!
クソッ 何が多角の突然変異だ!!たかが角の2本や3本…!!」
口汚くののしりながら檻を蹴りつづける真霧を必死で止める雉ノ葉
コレクション自慢もそこそこに「やれやれ… あんな男じゃなかったんだが…」と
洋館を去って行く

洋館の地下室にかすかに響く声
『死… 死ぬ…』
『このままでは 私たちは――…』
『あの 異様な男の手の中で―― …死ぬ…』
狭い檻に押し込められた動物達が、心で叫ぶ
 
  ――地下室では――
  自由と あの男の死を願いつづける
  彼らの心の叫びが 響き渡っていた

「じゃあ… 僕がやろう…」
  そう呟いたのは 弱り 死にかけた 山羊だった
「みんながそう望むのなら 僕の”力”を使おう
みんなは 何もしなくていい」

角が八本ある、悪魔崇拝の偶像の悪魔によく似た山羊が檻に居る
沈黙し、山羊を見つめる猿とウサギとコウモリ
「…… この力を使ったら 僕は死ぬだろう…
でもね… 運命を共にする… 初めて出来た仲間の
君たちを救えるのなら 構わないと思ってるんだ
いや… たぶん 僕は そのために 生まれて来た者…
ねえ みんな ――もし…」
816 ◆xv3PhvD28k :2006/06/22(木) 22:30:45 ID:ZCV+S1ld
山羊の檻の前に立ち、毒づく真霧
だが、何か耳にし、はっとした表情で顔を上げる
「ば…」 「…い」「ば…い」「ば…」
「しゃっ…!?しゃべれるのか こいつッ…!!
すごいぞ!!おい もう一度 もう一度 はっきり言ってみろ…!!」
興奮する真霧の前で口を開く山羊

  じゃあね みんな

「バースディ」


何かが倒れるような潰れるような音が響く

  
  ――その後は…
  死んだ男を 発見してくれる
  何者かを待ちつづける 地獄の日々
  皆 生き残る事だけを 必死に考えつづけた


傷だらけの明神に驚く姫乃
「ちょ… 平気…なの?」
「頭 グワングワンするけど 慣れてきた」
笑い、落ち込んでる姫乃を逆に慰める明神
「皇神の腕は治る!!心配すんな!!なんでひめのんが責任感じてんだよ」
「でも…」
「オレもみんなも… ひめのんに強制されて戦ってるわけじゃない
みんな一人一人… 自分で決断したんだ!!
『戦う』って!!」

そして、何遊んでんだ、そのかわいいフワフワしてんのはなんだ、と呼ばわるゴウメイと
あとでビビんなよ、と同レベルで喧嘩を売る明神
817 ◆xv3PhvD28k :2006/06/22(木) 22:32:14 ID:ZCV+S1ld
うたかた荘の一室
ガク「ウサギとやりゃあいいんだろ?」
エージ「左に同じ」
ツキ「アニキに同じ」
口々に澪に戦闘参加を告げる三人
(澪は誰かと電話した風?)

そして修行は続く
澪「どーした!!まだ触る事すら出来ないのか!?」
しかしボロさが増しながら、妙に元気な明神
「そんなに心配すんなって コツつかんできたからよ!!
どんまい どんまい!!
うん 楽しくなってきたぞ」
澪「…… どーした?」
明神「やっぱ いいな!! 誰かに教えてもらうなんて 久しぶりだ」
清々しい表情の明神


昔の洋館に再び訪れた雉ノ葉
中からの反応がないままに、扉を叩いて真霧を呼びつづける
「もう一度 あの山羊を 見せてはもらえんかね!?
私の色々調べてみたんだが…
あれが もし 本物だとしたら…
君は とんでもないモノを 手に入れて…!!」

  「――ねえ みんな…
  もしも 僕ら全員が ここを出られるような奇跡が起こったら…
  いつかどこかで みんな また 集まろう
  もしかしたら もんな 今とは 違う姿をしてるかもしれないけど――
  大丈夫 きっと わかるはずさ
  その時は何か バカげた夢でも 実現してみようよ  
  合言葉は『パラノイドサーカス』
  …敵なんかいない… 僕らによる 僕らだけの世界」

答えのない館の扉を叩きつづける音と声
山羊の檻のまえに、墓標のように床にめり込みたたずむ石

次回に続く。


例によって、段落を二段下げている文章は漫画の原文のままです。