【空知英秋】銀魂 ネタバレスレッド Part43

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379 ◆xv3PhvD28k
第百十八訓 六人揃えばいろんな知恵

屋敷の奥に入ってくる柳生の父
「宗矩様 いけませんぞ!ここは男子禁制
たとえ御当主といえど 立ち入ることを禁じられた
女の聖域ですぞ!」
「おババ そんな事を言っている場合ではないのだ
そこをどけ!
お妙ちゃん!お妙ちゃんを呼んでくれ!」
大声で呼ばわる父と悶着を起こすお女中衆の騒ぎに、お妙が奥から顔を出す
「九兵衛と あの暴れん坊四天王が 館中で暴れまわっててさ
もうあちこちボロボロだよ!」
乗り込んできた中にお妙の弟を名乗るものがいる、という父の声に
奥から走り出し、父に蹴りかまして走ってゆくお妙
『…新ちゃん みんな』

一方、厠でめっちゃシリアスな表情の四人
近藤「まさか 敵の大将が こんなジーさんだとは思わなかったよ
だが 手加減はしねェ 決着つけさせてもらうぜ」
ジジ「何を世迷い事を お前ら ワシに手も足も出せんぞ 断言する」
銀時「その言葉 そっくりそのまま返してやるぜ ジーさんよ
わからねーのか すでにアンタ 袋の鼠だ」
東条「そう逸らずとも 後で皆さん 血祭りにしてあげますよ
しかし その前に やる事があるでしょう」
四人「誰かァァァ 紙くださァーい!!」

380名無しさんの次レスにご期待下さい:2006/05/25(木) 21:51:39 ID:O30SUYaf
きたぁぁぁあああああ
381 ◆xv3PhvD28k :2006/05/25(木) 21:52:26 ID:e1KBCq2C

近藤「冗談じゃねーよ 大将を目の前にして
身動き一つできねーなんて!
大体 東城さんって言ったっけ?
アンタ何やってんの?さっきまでものスゴイ優位に立ってなかった?」
東城「我慢できなかったもので あ だいぶ楽になってきた気がする
(絶賛異常の腹の音)あ やっぱダメだ」
銀時(左手を眺めながら)「…腕がなんで二本あるか知ってるか
それはな」
近藤「早まるな万事屋!希望を捨てるな」
無言で左手を眺める爺
東城「敏木斎様?ちょっと…しゃべらなくなったんですけど
大丈夫ですか?
ダメですよ!敵の策略ですよ!」

銀時「まァ 待てよ 敵だのなんだの言ってる場合じゃ
ねーぞ コレは
ここに閉じ込められたままじゃ 勝負もクソも
とりあえず 紙を手に入れるのが先決だろ
どうだ…ケツ拭くまでは 勝負は預けて 協力しねーか?」
東城「敵と組めと?そんな手に乗ると思いますか」
ジジ「東城よ 仕方あるめーよ ここは勝負を忘れて
ケツを拭くことに専念しましょ」
近藤「…しかし 協力するといったって 手はあるのか万事屋?」
銀時「紙はなくとも 知恵はあるだろ
大人四人 あたまふりしぼれば 何とかなるさ」
近藤「しかし 大人四人といっても ケツにウンコついた大人四人だぞ
そんな大人に 何が出来るんだ?っていうか俺たちは大人なのか?」
ジジ「自分を卑下するな こういう時ほど精神を高潔に保て
人間どんなになっても 品性だけは失ってはイカンよ」
近藤「いいこと言ってるけど それを言ってる奴のケツにも
ウンコついてるからねコレ」
382 ◆xv3PhvD28k :2006/05/25(木) 21:53:04 ID:e1KBCq2C
状況を整理する四人、助けは求められそうになく
自分たちでなんとかするしかない
とにかく持っているものを全部出せという銀時
近藤(シリアスモード)『…紙など あるわけがない
そんなものがあれば とうに尻を拭き 全員血祭りに上げているはず
他の皆もそうだ そんなことは全員わかっているはずだ
なのに何故 こんな話を切り出したか…
万事屋…俺には読めているぞ』
東城(同じくシリアスモード)『この極限の状況下において 共通の目的のため
同じ行動を取ることは 強い仲間意識を生む
連中は 同じ行動を取ることで
自分達が敵ではないことを
私達に印象づけようとしている
私達にスキをつくり そこを突くために
恐らく この中に 協力しようとしている奴は 誰一人としていない
スキを見せれば やられる…
それだけではない 敵を出し抜き 誰よりも早く 尻を拭かねば…
後手に回れば 間違いなくやられる
紙…神
誰よりも早く 紙を手に入れた者が この勝負勝つ』
四人は持ち物を出しあう、いいものはなにもないと言い合う中
東城『彼らの作戦に 私も乗ろうか スキを見せ 食いついてきたところを…』
ジジ「オイ コレなんて使えんじゃねーかな
コレ 紙やすりがあったぞ」
東城、近藤『かっ… 紙やすりだとォ!
ふざけんなァァァ!肛門が血だらけになるわァァ!!
と言いたい 普段なら…
しかし この状況で 紙やすりは…
スコッティに匹敵する代物に見える
超ほしい!!』
383 ◆xv3PhvD28k :2006/05/25(木) 21:53:40 ID:e1KBCq2C
そんなもんで拭いたら血だらけになると銀時、心で「これも紙だ」と叫ぶ近藤
違う、紙やすりを欲しているのを気付かれないよう芝居を打っていると思う東城
近藤『まだアレは 敵の手中 コレを欲すれば 弱みに付け込まれる
奴はそれを巧妙に隠し あえて拒絶する事で ジジイの紙やすりへの興味を削ぎ
その上で アレを手に入れるつもりだ
アイツ… 俺達の数手先までも見据えてやがる
俺はこんな とてつもない男を いつも敵に回していたのか
…いや だが今日の奴は俺の味方
これほど頼れる味方はいない
そうと決まれば 俺も加勢だ』
ふざけんな紙やすりだと、と声を荒げる近藤、東城もそんなものはつかえないと
言う
二人の紙やすりへの罵倒の中、銀時
「まァ なんか使い道があるかも知れねェよ ジーさん ちょっと見せてみ」
ショックを受ける東城『ツ… ツンデレだとォォォォォ!!
これまでのツンから 一転してのデレ!!
打ちのめされた所に この優しい言葉をかけられたのでは
百戦錬磨のキャバ嬢でもおちる!!
バッ…バカな ここにきて そんな技が…
!!…まさかっ …この男』
不敵にほくそえむ近藤『その通り… この男は全て計算していたんだよ
俺達が 奴の作戦を読み取り それを真似 ジジイを責め立てるまで
全て先読みし それを利用したのさ…』
東城『バッ…バカなァァァァァ!!それでは 私は この男の手の平で
弄ばれていたというのかァァァ!!
さながら 釈迦の手の平であがく斉天大聖の如く
な…なんという男 格が違いすぎる
負けだ 私達の… 完ぱ…』
一人で考えて呆然と敗北にうなだれる東城の足元に
トイレの下のちょっと開いた所から、紙やすりが差し入れられる
近藤にも一枚、銀時の手元にも一枚
「これで 四人全員行き渡ったな」
384 ◆xv3PhvD28k :2006/05/25(木) 21:54:29 ID:e1KBCq2C
東城『なっ…なにィィィ!!どういうつもりだ』
近藤『ジジイ 万事屋 お前らホントに 協力す…』
改めて紙やすりを見て、あまりのざらざらさに目をむく近藤
『やすりの目が思っていた三倍粗いィィィ!!しかも両面!?
こんなもので拭いたら ホントにケツの皮がずりむけるぞ』
ジジ「いよいよとなったら コレで拭くしかあるまい
まァ おすすめはせんがな」
そういいながら、ジジイの個室からはざりざりと拭く音がする
青ざめる近藤
東城『フフ 敏木斎様 考えましたな
これは すべて 敵に心理的圧迫を与えるための策
紙も何もない状況で これを見せれば しぜん 拭くか否か
自らを追い込む 
冷静な判断を失えば こちらの思うつぼ』
しかし、銀時の個室からもざりざリと音がする
「いや ジーさん コレ スゲーな ものスゲー粗いんじゃん きくねー」
拭いているのかと脂汗をかく東城
しかし実はジジイと銀時はだますために壁を拭いていたのだが
近藤と東城は気付かない
これで拭くのかと悩む二人
『だが 拭かなければ やられる!』
『勝つためには… あの人のために 勝つためには…』
お妙の写真をそっと出す近藤
『お妙さん 俺はお妙さんの笑顔がもう一度見たくて やってきた
そのためなら…』
同じく九兵衛の写真を見ている東城
『若 私は若を護るためなら 若の志を護るためなら
何だろうとする覚悟があります』
写真を見つめ、同時に思いつく二人
『コレ 紙じゃねーかァァァ!!』
385 ◆xv3PhvD28k :2006/05/25(木) 21:55:07 ID:e1KBCq2C
近藤『いや!待て待て お前はお妙さんの顔でケツを拭くというのか
そんな事… いや… ある意味興奮するけれども
できない!! やすりもできない』
東城『若 私は若の便を 顔面で受けとめる事は出来ます
しかし 若の顔で… できない!!やすりもできない』
ひたすら苦悩する二人、ある一瞬を持って静寂が走り
水の流れる音と同時に個室の扉が蹴りあけられる
出てきた近藤と東城はドアのしまった他二つの個室の前で向かい合う
近藤「お妙さァァァァん!!」
東城「若ァァァァァァ!!」
どちらが叫んだか「申し訳ございませんん!!」
一刀で打ち合う二人
静寂の後
東城(後ろ向きのまま)「私の役目は 若と若の志を護ること
若を勝利に導くためにと… 無礼を働きましたが
結局 私は… 弱かっただけのようです
しかし次の時は…」
東城の皿がひび割れ、壊れおちてゆく
東城もまたトイレの床に倒れる
「いや やっぱ やすりは無理」

シリアスな顔のまま、そっと笑う近藤
「…お妙さん すいません… お妙さんの笑顔を この目で見ようと
ここまで来ましたが
俺は ここまでのようです」
皿は無事だが、袴をはいている尻から
シャワーのように鮮血を吹く近藤
同じくトイレの床に倒れる近藤、ひらりとお妙の写真が床に落ちる
「俺って奴は… ホントに バ…カ…」

次回に続く…