第百十七訓 やる前にやれ
屋敷の縁側に腰を下ろし、南の報告を受ける東
「…ほォ 西野と北大路がおちましたか
北大路がいれば あなた方三人でも事足りると思ったのですが
彼がここまでやるとは 少々 読みを誤りましたね
これで敵は五人 こちらはすでに残り三人にまでなってしまいましたか」
まだ自分がいる、皿は割れていないから挽回のチャンスをくれという南の脳髄を
皿ごと叩き割る東
地に倒れる南に、振り向きもせず言い放つ東
「柳生流に弱者は要りませんよ
あなたのような者がいたところで 柳生流の看板にキズがつくだけ
若の御名を汚す者は 誰だろうと
この柳生四天王 筆頭 東城 歩(あゆむ)が許しません」
うしろから東城を止める九兵衛
「僕も行くぞ 急繕いでかき集めた ただのゴロツキの集まりだと思っていたが
なかなかに手練れた連中のようではないか
興味が湧いてきたわ」
「若が出向くまでも…私一人で 敵五人全て討ち取って見せます」
「僕が行きたいといっている 構うな」
「しかし 若にケガをされたら 私はハラを切らねばなりませぬ」
「ほう お前は僕があのような連中に遅れを取ると思っているのだな」
「滅相もございません 若は無敵です 柳生家のホープですぞ」
わかりましたとゴテゴテの戦の鎧(伊達正宗のに似ている)を着せようとして
九兵衛にどつかれる東
「いい加減にしろ まだなおらんのか その心配性」
だから武者修行の旅にも連れて行かなかったと言う九兵衛に、
幼少の頃から世話をしていて可愛くて仕方ないと返す東
上空からカラスがフンをおとしたのにも過剰にかばいだてをする
(かえって怪我をする勢い)
「この腐れカラスがァァ!若にスカトロプレイとは!
焼き鳥にしてくれるわァァァァ!!」
怒りの形相で走り去る東を見る九兵衛
「そうか 総悟がやられたか」
男性用厠(江戸らしく屋外にある、けっこうでかい)の裏に
腰をおろしている血まみれもいいところの土方と新八
頭から醤油瓶ぶちまけたぐらいに血をたらしながら、
どこから持ってきたのか花火を口にくわえ笑いながら火をつける土方
「クク… いい気味だ」
花火は素直に燃えて火花を出している
「…柳生(あっち)もこっちを見くびってたようだな
どうやらこっちも考えが ちと甘かったようだぜ
ただの道場剣法かと思ってたが とんでもねェ
三下でもあのレベルじゃ 先が思いやられるぜ」
神楽と銀時も行方が知れず、近藤は先ほどからトイレにいったきり
自分たちの行く末にも、土方のくわえ花火がきれいに火花を出しているのにも
不安な新八だが
そこに九兵衛と東城がやって来る
土方「まずい 今の状況じゃ ロクにやりあえる気がしねェ 退くぞ」
新八(トイレのドアを叩きながら)
「近藤さん 何やってんスか!?早く!出てきてください 逃げますよ!」
その近藤は、紙がない事に究極の困難に陥っていた
一瞬の沈黙に、もう近藤は立ち去っていると信じた二人はトイレの前を離れてし
まう
その後、我に返って紙を探してくれと叫ぶ近藤だが、二人はもういない
『最悪だァァァァ!敵地の真ん中で ケツまる出しで放置!?』
うろたえるが、トイレは他に三つ個室がある、どこかには紙があると思い直す
その時、他の個室からも音がする
『いる!俺以外にウンコをしている奴がいる
勝機!』
助けてください、紙を恵んでくださいと叫ぶ近藤
その時むこうの個室で、最後の紙がカランと音を立てて無くなっている
折り紙以下サイズの紙を見つめる銀時「紙も仏もねーよ」
近藤「え…え!?今…ないっていいました?
ウソでしょ?ウソだよね ちょっと」
銀時「うるせーゴリラ 黙ってろ ウンコ食わすぞ」
近藤「…あれ?オイその声 お前万事屋か!?
おいィィ!お前 なんでこんなトコにいるんだよ!」
銀時「決まってんだろ こんな所にいるんだ
目的はみんな一つだろ」
近藤「はァァァ!?お前 何!?今までどこ行ってたと思ったら何!?
三週にも渡ってウンコぉぉ!?どんだけ長ェウンコ!?
お前 もんなが今までどれだけ苦しんで戦ってたと思ってんだ!!」
銀時「お前 俺が今までどれだけ苦しんで戦ってたと思ってんだ
朝食った豆パンがよォ 腐ってたらしくてよ
安売りしてたの大量に買いだめしてたのが悪かったんだな〜アレ
ようやく 体内の 毒素全部 排出したと思ったら このザマだよ」
近藤「冗談じゃねーぞ このままじゃ出れねーぞ
絶対 どっかの個室にあるはずだ!」
隣の個室に上から入ろうとする近藤
(ちなみに個室は全部で4つ、左から二番目に銀時、一番右に近藤)
銀時と近藤の間の個室を近藤が上から覗き込むと、そこに座っている老人
「か…紙をくれェェェ」
上から落ちる近藤、妖怪がいるという発言に銀時
「そりゃ 妖怪 便所童だな
トイレットペーパーが切れて 便所から出られなくなった者の
哀れな末路さ」
(じいさんはお妙の料理に当たったらしい)
近藤「マジでか!?オ…オイ このままじゃ 俺達
妖怪 便所童になっちまうぞ!」
銀時「そーだよ だから早くどっかいって紙もらって来い」
近藤「ケツ丸出しでいけっていうのかよ!」
銀時「全部脱いだ方がいいな『ビッグフットですけど 何か?』
的なカンジで 自然なカンジでいってこい」
近藤「つーか オメーがいけばいいだろ どーせ今まで
ウンコしかしてなかったんだ 少しは役に立て!」
銀時「どーせお前だってアレだろ 他人のバトルを横で解説する
ヤムチャみてーな事しかやってねーんだろ」
近藤「失礼な事を言うな 天津飯 位までは役に立ってましたっ!」
銀時「天さんもヤムチャも似たようなモンだよ
お前はしょせんクリリンにはなれねーんだよ」
言い争うトイレのドアの前で東
「いやいや ご迷惑おかけしてすいませんね」
驚く二人の前でさらに東は話を続ける
「ここの厠は 普段からあまり使われていなくてね 汚くて
ですから 紙の補充も 不十分なのですよ
……袋の鼠です さァ どう料理してあげましょうか」
一方、山道めいた所を走る土方と新八
すぐ脇を九兵衛が走っている
息を切らす土方(傷のためだが、息を切らすことをタバコのせいにする土方)
「エラク 足の速ェ野郎だ こいつァ 逃げきれるもんじゃねーな」
足を止め、剣を手に踏みとどまる
土方「いけ」
新八「土方さん」
土方「心配すんな テメーのためじゃねーよ
言ったろ 俺ァ 喧嘩しに来ただけだ
オメーがやられたら この喧嘩 負けなんだよ
…姉貴に会え たとえこの勝負に勝とうが
てめーの姉貴の気持ちが動かねーようなら
連れ戻すことなんざ できやしねーよ」
ためらったあと、「マヨネーズおごります」といいおいて走ってゆく新八
タバコを吸う土方の前にすすむ九兵衛
「アレが大将か 随分と情けない大将だ
キズついた仲間を置いて逃げるとはね
言っておくが ウチの大将は 君達には倒せん
おじい様は 僕の剣の師
柳生家歴代の当主の中でも 最強とうたわれる剣豪」
その最強の剣豪がすっぱだかでトイレのドアをあけて出る
「…あの…ビッグフットなんだけども …アレ…
ティッシュとか持ってない?」
東「何やってんですか 敏木斎様」
トイレに閉じこもる爺様
「もォォォォォ!!全然 通じてねーじゃん!!」
銀時「バカだろ ホントにやるか バカだろ」
東「敏木斎様 大将にあまり勝手にウロウロされると困ります
勝てるのも 勝て…」
だがその時、東の腹にも激痛が走る
九「―――悪いが この勝負は最初から
結果の決まった勝負だったのさ
今ごろ 残りの仲間も 東城にやられていよう
アレは四天王一の腕を持つ男
君を そこまで痛めつけた他三人とは
比べ物にならん程のな」
残った一つのトイレの個室で悶絶している東
(朝の卵がやっぱり腐っていたらしい)
土方「真選組はな いつ何時が 今生の別れになるかもしれねー
生活送ってる
仲間がくたばろうが しったこっちゃねェ
その分 多く俺が敵斬るだけだ」
くわえタバコを吐き捨て、血まみれのまま剣を持って九兵衛に向き合う土方
「奴らに 憂いの言葉なんていらねェ
俺にできるのは ただ奴らと同じ場所でくたばるまで闘うことだけだ
アイツらと同じ 極限のな」
俯いて個室を並べている四人
東「……… 極限だな」
今週は他の漫画が泣ける展開が多いってのに
銀魂はこれだから。もう大好き。
(アイシールドもムヒョもみえるもべしゃりも…今週は泣ける話ばかり)
コメント
休み中、結局犬には会えませ
んでした。部屋掃除して気分
一新して頑張ります。<英秋>
チャッピーに会いに行く暇なかったんだ…