[藤崎聖人先生 受賞の言葉] 2006年12号
藤崎聖人です。この度、第51回小学館漫画賞少年部門を受賞させていただきました。
このような名誉ある賞を受賞したという現実がまだ信じられない状態です。
そもそも、ワイルドライフという漫画を描く以前、サンデーで描かせていただく前の時期、
私は漫画家をやめていました。誘われても漫画を描いて生きていく気がまったくなかったのです。
そこへ現在の担当編集の冠茂さんが現れまして、とにかくしつこく一緒にやろうと誘ってくるのです。
毎日のように電話や飲み食いに誘われ説得にかかってきました。
なんでこの人は自分みたいな、たいした作品も発表していない奴にここまでこだわるんだろうと、
常に頭の中に?マークが飛びかっていましたが、フグを15人前食おうが焼肉を20人前食おうが
全部自分持ちで支払ってくれるので、この人ならいつでも腹いっぱい食わせてくれるんだぁー!! と思い、
この冠茂という編集者についていくことに決めました(笑)。
しかし、いざ一緒に仕事を始めると、冠さんは私の作ったキャラクターたちが最も輝けるようにと、
いつもすばらしい、それこそ誰も思いもつかないようなアイディアを与えてくれて、
親子で読める医療漫画という難しい題材であるにもかかわらず、二人の持ち味が生き、
かつ、他とは一味もふた味も違う斬新なストーリーに仕上がるように導いてくれるのです。
出会った当初、冠さんは私の才能や、可能性についてとても真摯に語ってくれましたが、今となっては正直、
私の方が、冠さんこそ小学館が漫画界に誇れる才能ある編集者ではないかと、心から感じています。
とにかく、この賞を取らせていただいたことで、ひとまず私を信じた彼に少しは恩返しができたかなぁとほっとしています。
最後に一ファンなだけの私に祝辞をくださった高橋よしひろ先生、冠さんと共に担当してくださった高島さん、
いつも凄い機動力で取材してきてくださるライターの木村さん、獣徳会の原先生、その他、
取材に協力してくださった方々、受賞を喜んでくれた編集部の皆さん、アシスタントの皆さんに厚くお礼申し上げます。
本当にありがとうございました!