ネギま!ネタバレスレ94時限目

このエントリーをはてなブックマークに追加
915名無しさんの次レスにご期待下さい
到着した鳥居家の玄関先で、三奈子は決意を新たにする。令がインターホンを押してしばらくすると、
江利子が玄関のドアを開けて出てきて、とびきりの笑顔を作って言う。

「ごきげんよう、三奈子さん。待ちかねてましたわ。あら、真美さんは一緒じゃないの?」
「ごきげんよう、ロサ・フェティダ。妹はちょっと都合が悪くて、私一人なんです」
「そう、残念ね……でも、よく来てくれたわ。さあ、上がってちょうだい」
「ありがとうございます。今日はよろしくお願いします」

江利子に導かれて、三奈子の姿は鳥居家に吸い込まれた。後に令と由乃が続く。
そして……
日が暮れるまで、三奈子を含めて誰一人そこから出て来る者はいなかった。
夕闇が垂れ込めた住宅街に、関東には飛来しないはずのワタリガラスが不吉な鳴き声を木霊させていた。

「それでお姉さま、取材の結果はどうだったんですか?何かいい情報がありましたか?」

翌日、真美はクラブハウスの前で三奈子を捉まえると、開口一番に聞いた。

「えっ……ええ、まあ、その……あれは……」

はっとしたように振り向いた三奈子は、うつむき加減にぼそぼそと呟く。真美は、怪訝な顔をした。
お姉さま、いつもの元気はどうしちゃったんだろう。

「あの、もしかして、やっぱり上手く行きませんでした?適当に誤魔化されちゃったとか……」
「いえ……まあ、結局大したことじゃなかったのよ。だから、あの件は忘れていいわ」

お姉さま、何か変だ。いつものお姉さまなら、「せっかくいいネタを掴んだと思ったのに、無駄足だったわっ!でも、私はこんなことであきらめたりしなくってよ!」とか言いそうなのに。

「お姉さま。何かあったんじゃないですか?」

その一言に、三奈子が一瞬凍りついたのを真美は確かに見た。

「何でもないわ……本当に、何でもないの」
「嘘です。何かあったんですね?話してください。誰にも言いませんから」
「だから何でもないって、言ってるでしょう!?」
「!……わかりました」
「……分かってくれたのね」

三奈子は、少しほっとしたように肩をなで下ろした。しかし、

「今度は、私も行ってみます。それで、真相を探り出して見せます」
「それは駄目っ!!絶対に駄目よ、真美っ!!」

突然、必死の形相で叫ぶ三奈子に、真美はびくりとする。

「お願い……もういいのよ。何も無かった。私の勘違いだったの。納得してちょうだい、真美」
「そんな……そんなのってないです、お姉さま。真実を追究するのが、真のマスコミ人じゃなかったんですか?
そんなお姉さまのことが好きだったのに!もういいです、私が一人ででもやって見せますから。お姉さまには頼みません。失礼します」
「待って……待ってよ、真美……」

走り去っていく真美の姿に、三奈子はがっくりとうなだれた。

「私だけで十分なのに……あなたは巻き添えにしたくないのに……」

木にもたれながら呟く三奈子の目に、うっすらと涙が光っていた。