ネギま!ネタバレスレ94時限目

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908名無しさんの次レスにご期待下さい
インターホンを押してもノックをしても反応が無い。
仕方なく由乃は合鍵で支倉家のドアを開けた。
物音ひとつしなければ明かりもついていない、支倉家から人の気配はしなかった。

「お邪魔しまーす。由乃でーす。」

令のローファーが玄関先にあいてある所を見ると、家にはいるようだ。
具合が良くない、という話だから、もしかして部屋で寝ているのかもしれない。
勝手知ったる支倉家である。由乃は遠慮もなしにそのまま上がりこむと、令の部屋目指して二階へ昇った。

「令ちゃん?由乃だよ。」

令の部屋の扉を軽くノックしてみても、反応はない。
そっと音を立てないように扉をあけてみると、ベッドの上で横たわる令の姿が目に入った。

やっぱり寝ていたんだ。

起こすのも可哀想だし、ここはひとまず退散するか、と由乃が引き返そうとした所、ふいに令が寝返りを打った。思わず引き込まれるように由乃の視線はそちらに動く。

「・・・・ん・・。」

寝返りを打った令は、短く声を漏らした。表情は険しい。悪い夢でも見ているのだろうか。
なんとなく帰る気もそがれてしまい、由乃はふらふらと令のそばに近づいた。
ベッドの脇にある椅子を引き寄せ、そのまま座り込んで令の寝顔を覗きこむ。

令ちゃん、色白いなあ。睫毛も長―い・・・。

しげしげと寝顔を覗き込んで、心中そんな感想を漏らす。
思えば付き合いは長いというのに、令の寝顔をこうしてじっくり眺めたのは初めてのような気がする。
改めてみてみると、令の顔は女性的な甘さや華やかさこそ感じられない物の、至極綺麗に整っている事に気がつかされる。まるで眠りの魔法にかかった王子様のようだ。

「んん・・・。」

時折寝息とも寝言ともつかない声を漏らす、令の整った唇を眺めているうちに、由乃はそこから目が離せなくなった。

令ちゃんの唇はどんな感触だろう・・・・・。どんな味がするんだろう・・・・。

静寂の中、令の吐息だけが辺りを支配している。
日は既に沈みかけ、窓から差し込む夕日が部屋を薄い橙色に染めていた。
由乃は今更ながら、今自分が、この世で一番好きな相手と二人っきりでいるのだ、という事に気がついた。

どうしよう・・・・。

令の寝顔を見ながら、由乃は胸がドキドキする自分に動揺した。
いまだかつて感じたことの無い衝動に、自分で自分に驚いてしまう。

・・・・キスしたい・・・・かも・・・・。