ネギま!ネタバレスレ94時限目

このエントリーをはてなブックマークに追加
879名無しさんの次レスにご期待下さい
トイレにおきたせいで体がちょっと冷えていて、少しの間眠れそうもなかったから、布団が温まるまでお話し相手になることを決めた。
布団にくるまりながらのそのそと移動する。
「もそっと近うよれ」
のそのそ。
「もちっと」
のそのそ。
「もうちょい」
のそ。
小笠原家の布団は大きくて広い。それでもこれだけ移動すると白薔薇様との距離が凄く近くなった。
というか、国境をはさんでお互いの息が感じられるくらいで向き合っている。
「あの、」
近すぎませんかと言おうとしたが、白薔薇さまの口が先に開いた。
「会いたかった。来てくれてありがとう」

いえいえ、こちらもお正月ヒマでしたからと言おうとして、どうやらそういう雰囲気でないことに気づいた。
オヤジモードが消え、にへっとした笑みが姿を消している。
他の人とこんな間近で向き合うことなんてないからちょっとどきどきした。
真剣な顔するとやっぱり格好いいなあ…なんて、何考えてるんだろう私。
「会いたかったって、12月28日にもあったじゃないですか」
12月28日、私が感情の高ぶった白薔薇さまに抱きしめられた日。
『いばらの森事件』で栞さんのことをまだ吹っ切れてない自分に直面した白薔薇さま。
以来時々感情が高ぶってしまうことがあったらしい…けれど。
「28日に会ったからまた会いたくなったのよ」
そのときに手を握ってあげたりしたことが、えらく白薔薇さまのお気に召したらしい。
「何とか会えないかなと思ってずっと考えてた」
へへへ、と苦笑する白薔薇さま。端正な顔立ちだから、そんな表情もとっても素敵。

本当は1月2日の初詣に私だけ誘おうと考えてたらしい。そこに祥子さまからお泊りのお誘いがあったからついでにそれに乗ったそうだ。
そう言われれば今日(正しくは昨日だけど)は白薔薇さまと目が合うことが凄く多かった気がする。
神社や車での移動中は二人きりだったから当たり前だけど、
祥子さまの家で百人一首したりトランプやったりお寿司いただいたりしたときもしょっちゅう目が合っていた。
初めて祥子さまの家にお邪魔してたから気が付かなかったけれど、今日一日、白薔薇さまは私をずっと見つめてたんだ。
「や、やだ。…あの、やだってのは本当に嫌だと言う意味じゃなくて
 ずっと見られてたのに気がつかなくてびっくりしたって意味であの…」
弟とはしゃいだり、祥子さまの和服に見とれてたりした様子も全部観察されてたと思うと、
恥ずかしいやら自分の鈍感さに嫌気がさすやらだった。
白薔薇さまはくすくす笑う。吐息が私の百面相をくすぐった。

「でも、私そんな凄いことしましたっけ?」
混乱がひとまず収まった後、聞いてみた。
初詣に私だけ誘おうとしたり今日ずっと見つめられてたり、いつの間にか白薔薇様にすっごく好かれちゃってるようだけど
自分ではいまいち理由がわからない。私ってやっぱり鈍感なんだろうか。