ネギま!ネタバレスレ94時限目

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856名無しさんの次レスにご期待下さい
「祐巳さん……私、さっきみたいな感じで良かったかしら……」
志摩子さんが不安げに聞いてくる。
さっき、とは多分、部活の予算編成会議のことだろう。
勿論、志摩子さんは完璧だった。2年生なのに白薔薇さまの職務を十全にこなせていた。
「さあ……まあ、あれでいいんじゃない?」
でも、てきとうに答えて不安を煽る。

「そう……。ありがとう」
物憂げに視線を伏せると、思考の海に沈んでいく志摩子さん。
多分、志摩子さんのなかではあの事件がまだ消化されてないんだろうな。
だから自分が白薔薇さまとして仕事をこなせばこなすほど、裏切ってるような気持ちになるんだと思う。
そうだよね、ずっと悩んできた信仰に関わる問題が、山百合会と瞳子ちゃんが仕組んだ茶番のなかで
殆ど何も知らない一年生に祝福されたくらいで解消されるわけないもん。
結局、令さまも祥子さまも宗教と真剣に向き合ったことがない人だから。
あれを聖さまが見ていたら、宗教に恋人をとられた人が見ていたら、何と言うことやら。

表向きの感情と内面の葛藤が、志摩子さんのなかでどんどん乖離していくのがわかる。すごく不安定になってる。
去年までいた聖さまという壁が取り払われて、乃梨子ちゃんの壁はまだ完成していなくて、本人は無防備で。
狙うなら、今だ。
あの楚々とした美しい顔が、どういうふうに歪むんだろう?そしてそれを知ったときの乃梨子ちゃんは?
考えただけで、笑みがこぼれる。ついでによだれもこぼれそうになった。危ない危ない。

「祐巳さん、また百面相しちゃって」
くすくす笑う志摩子さん。あなたに癒されてるって顔。
「あはは、恥ずかしいなぁ〜」
でももうすぐ、あなたはもっと恥ずかしい百面相をすることになるんだよ。

さて。
ビスケット扉を背にして硬く閉めて。
とりかかる。

「志摩子さん……。私、ずっと思っていたことがあるんだけど」
「何かしら?」
「志摩子さんは……志摩子さんは、あれで良かったの?」
「……あれって……?」

「おメダイのときの……」
びくんと体を震わせる。うんうん、さすが白薔薇さま、もう何の話かだいたいわかってるみたいだね。
「ゆ、祐巳さん、……?」

「私ね、思うんだ。志摩子さんなんかが全校生徒の代表でいいの?ってね」
「……ッ!」
「だって、ずっとみんなを裏切ってきたんだよね。ずっと騙してきたんだよね。
 令さまとお姉さまは笑ってたけど、一年生もなんか拍手とかしてたけど、納得してない人もいると
 思うんだよね。私とか……志摩子さん、あなた自身みたいにね。それに聖さまがきいたら何て言……」
「祐巳さん……それ以上は……」

力なく項垂れる志摩子さん。
ココだ。
その右手を、そっと両手で包んであげる。
「辛かったよね、苦しかったよね。下手にみんなの前で"ゆるされた"ことになっちゃったから……
 私なら、みんなよりはわかってあげられると思うから。だから、もう一人で悩まないで……!」
目に涙をためながら、精一杯に志摩子さんに笑いかける。