ショーツをベッドに放り投げると、全裸となった自分の姿を鏡に映した。上気してほんのりと紅く染まった肌に、乳首を固くしてフルフルと揺れる乳房。薄い陰毛を備えた秘所からは涙をこらえるかのように、トロリとした蜜が浮かんでいる。
この姿を見れば、ミスター・リリアンなどと言うものは居ないであろう。
「ふわあ……やだ……」
自慰の経験は初めてではないが、やる時はやろうと決めてからやるものだ。今のように、気がつけば自慰にふけっているというような体験は無かった。
ヴァギナをこすりあげ、乳房を揉みしだく。その動きに反応するかのごとく、次々と蜜があふれ出していく。
「うわあ……止まらない……」
ドロドロの粘液に濡れる指を見て、ふと思った。今、自分の秘所はどんな状態なのだろうか。
目の前には、令の痴態を写し出している鏡がある。その前に座ると、両足を抱えて、M字型に脚を開いた。
「あう……」
柔肉の扉が鏡に映る。鏡の中の女性器は、今は泣くように蜜を溢れ出させていた。
観音開きの扉に指を添え、そっと開く。クチュリという音が聞こえた気がした。
今まで自分の女性器をマジマジと見つめたことなどない。そのせいか、最初に思ったのは『気持ち悪い』という感想だった。
(お姉さまも……由乃も……祥子も……こんな形なのかな……)
自分の体の一部を、じっくりと観察する。充血した小さな突起と、下方にある肉の通路がまる見えだった。
「うわあ……」
クリトリスにそっと触れてみる。下半身が別の生き物のように、ビクリト震えた。
「ひゃ、ひゃあっ!!」
大きな声を出したことに気づき、はっと口を押さえる。親にこんなとこを見られるわけにはいかない。シーツの端を噛んで、声を殺した。
「ふうっ、ふっ……」
クリトリスを優しくいじる。そのたびに、体内に火種を投げいられている感触がした。
「は、はうっ」
一方の手で乳房をこねくり回し、もう一方の手でクリトリスを弄ぶ。開いた指で、膣の入り口をツンツンとつつきながら。
膣から溢れ出す粘液が、肛門の方まで洪水のように流れていた。
鏡に目を移す。そこには、弛緩しきった表情で自慰にふける自分の姿。
(こ、こんな……いやらしいっ!!)
資格を通して伝わる映像が、最後の引き金となった。
「ふ、ふううっ!!!!」
腰がビクビクと振るえ、ダラダラと粘液を垂れ流した。その拍子に、人差し指が膣に進入する。第一間接までだが、新たな刺激を感じた女性器が、搾り出されるように蜜を放った。
下半身から脳まで響く快楽が、令を打ち据える。
「ふ、ふにゃあ……」
未だ腰が脈打っているような感触を覚えながら、脱力して絨毯の上に倒れこんだ。
暫くボーっと壁を眺めていた令だったが、荒い息をつきながらポツリと呟く。
「い……いっちゃったよぅ……」
絶頂を迎えた体が覚めていくのに反比例して、罪悪感がフツフツと沸き起こってきた。なにか自分はとてつもなく悪いことをしてしまったのではないかと思ってしまう。
「こんなんじゃ……祐麒君にだって愛想つかされる……」
そう呟くと同時に、ベッドの上にパタリと倒れる。未だ体に残る疲労感も手伝って、令が眠りに落ちるのに、時間はかからなかった。