ネギま!ネタバレスレ94時限目

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 とある日の休日、福沢祐麒はK駅ビル内の書店に来ていた。
 人目を避けながらあるコーナーへと移動する。その前にたむろする人々の間に生じる隙間から、音速の速さで手を差し入れ、目当ての本を手に取った。そのままカウンターに叩きつけ、目を丸くしている店員に千円札を叩きつける。
「…カバーは」
「お願いします」
 茶色いカバーのかけられた文庫本と釣銭を受け取り、逃げるように書店を飛び出した。
 別に悪いことをしている訳ではないのだが、つい人目を気にしてキョロキョロと辺りを見回してしまう。
「未だに慣れないな、このテの本買うのは……」
 知り合いに見つからないうちに、さっさと家に帰ることにしよう。祐巳の目は気になるが、部屋に閉じこもって鍵でもかけておくしかない。
 そう思った瞬間、不意に聞き覚えのある声が飛び込んできた。声の聞こえたほうを見ると、一人の女性が数人の男に絡まれている。
 中心に居るのは、ベリーショートの髪形をした、長身の女性。ミスター・リリアンの異名も持つ、ロサ・フェティダ支倉令だ。
(令さん……ナンパされてるのか?)
 周りにいるのは、ガラの悪そうな男達。馴れ馴れしく令の肩を握り、ベラベラとなにか話しかけている。
 嫌悪感丸出しの表情で、令が男の腕を払った。
 だがそれを見てプライドを傷つけれたのか、男が令をドンと突き飛ばす。小さな悲鳴と共に、令が尻餅を着いた。
「っ!!」
 それを見ると同時に、祐麒の体が反射的に飛んだ。男の背中めがけ、肩から突き刺すが如くタックルする。男の体が宙を舞い、地面を這った。
「え……祐麒君?」
 地面に座ったまま、呆気にとられた表情で呟く令。

「な、なんだおまえ!!」
 答える代わりに、別の男の鳩尾に肘を叩き込む。醜い呻き声と共に男が倒れた。
 そこまでやって、ようやく自分のしている事に気がつく。考えるよりさきにここまで動いてしまったが、花寺の生徒会長である自分がこんなことをするのは、非常に不味いのではないか。 
 そんなことを考えたせいか、背後から迫る殺気に気がつかなかった。
「てめえ!!」
 振り向けば、リーダー格の男が鉄パイプを振りかざしている。
 まずい、かわせない。
 そう思った瞬間、横から箒が伸び、男の攻撃を遮った。
「大丈夫!? 祐麒君!!」
「は、はい!!」
 祐麒が答えると同時に、令の箒が目にもとまらぬ速さで飛び、男の得物を跳ね飛ばした。
「面っ!!」
 箒が男の顔面を打ち据え、昏睡させる。
「助かりました……」
 ハァと一息ついて気がつくが、いつのまにやら周りに人垣ができている。
 ミスター・リリアンと花寺の生徒会長が喧嘩。これは少し問題があるのではないか。
 そう思った瞬間、令の手を握った。
「え、え?」
 驚いて体を硬直させる令を無視し、そのまま走り出す。
「逃げましょう。お互い、こういうとこ見られたくないでしょう」
「そ、そうだね」