祥子は令、志摩子とともに紅茶を飲みながら、少し離れたテーブルで「つぼみ会議」なる
ものを開催している自分の妹たちの方を眺めていた。
由乃ちゃんはいつもの彼女らしく、明るくけらけらと笑っている。
乃梨子ちゃんはすました顔で紅茶のカップに口をつけているが、その肩は少し震えていて、
なんだか笑いを堪えているようにも見える。
そして祥子の妹の祐巳はというと。
彼女はまだ朝だというのにもう百面相を披露している上に、腕をぶんぶんと振り上げたり
下ろしたりしている。
(まったく祐巳ったら。あと少しでもいいから、落ち着けないものかしら)
祥子はそう思いながらも、その口元には微笑が浮かんでいた。
そんな祥子に、令が話し掛ける。
「ねえ。あの三人、いつの間にか団結してない?」
「そのようね。でも、いいことだわ」
「そうですね」
あちらのテーブルでは、少々過激な会話が交わされているとは露知らず。
祥子、令、志摩子の三人は妹たちの様子を見つめ、幸せそうに暖かな微笑みを浮かべていた。