ネギま!ネタバレスレ94時限目

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その時。
階下から人の気配が伝わってきた。
はっとする祐巳と聖。
しかし素早く立ち直った聖は辺りを見回し、側に大き目の清掃用ロッカーがあるのを
発見すると、その扉を開け祐巳を中に押し込んだ。
少しきついが、小柄な祐巳の身体はロッカーの中にすっぽりと収まる。

「私が引き付けるから、中で大人しくしてて。しばらく経って人の気配が無くなったのを
 確認してから外に出るのよ」
「聖さま……何を、おっしゃってるんですか……」

弱々しく尋ねる祐巳の耳に、「お前は上に行け!」という男の声が階下から微かに
聞こえてくる。

「後で会おうね」

聖は祐巳の瞳を見つめ微笑みながら優しくそう言い、祐巳の頬に軽くキスをした。
驚く祐巳の目の前で、ロッカーの扉が閉められる。
聖の姿はもう見えない。
そして、暗闇が訪れた。

ロッカーの扉を閉め、聖は廊下を走り出す。
祐巳を独りで残すのは心配だったが、あんな状態の祐巳を連れて逃げても
すぐに二人とも捕まってしまうのは目に見えていた。
ここはなんとか自分が引き付けるしかない。

心臓がドキドキと脈打っている。
後ろからは男の気配はまだ漂ってこない。あまり引き離し過ぎても意味がないのに……。
反対側の階段がある角まで辿り付いた聖が逡巡していると、後方から男の叫ぶ声が
聞こえた。

「おい、止まれ!」

聖は向こう側の階段を上がってきた男が銃口をこちらに向けるのを目の隅に捕らえながら、
角を曲がった。

(止まれと言われて止まるわけないでしょうに!)

男は一人だけだった。
とりあえず、あいつを祐巳ちゃんのいるロッカーから少しでも引き離さないと。
そう思いながら階段に足をかけた。
と、それと同時に、今自分が曲がったばかりの角の柱が、ビシっという音を立て微かに欠けた。
撃ってきた!
心拍数が飛躍的に跳ね上がる。弾が当たったらおしまいだ。

(志摩子、お願い。私のために祈っといて!)

聖は信心深い自分の妹の顔を思い出しながら、階段を駆け上がった。