ネギま!ネタバレスレ94時限目

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835名無しさんの次レスにご期待下さい
「祐〜巳ちゃんっ」
「うぎゃっ?」

少し肌寒いある日の朝、薔薇の館に向かっていた祐巳は、誰かにいきなり後ろから
抱きつかれて思わず声を上げた。
この懐かしい感触は……

「聖さま!」
「ピンポーン」
「ピンポーンって……どうしてこんなに朝早くに、それも高等部の敷地にいらっしゃるんですか?」

祐巳の疑問に答えた聖の話によると。今日は何故だか早起きし過ぎてしまったので、大学の講義が
始まる時間まで懐かしの母校の様子を見て回ることにしたということだった。
そうして怪しく徘徊していた所に獲物の祐巳がノコノコとやって来た、ということらしい。

「薔薇の館に行くんでしょ。お姉さんも一緒に連れてって」
「はいはい」

始業のベルにはまだ少し時間があるのだが、色々な行事が立て続けに入っている今の時期。
放課後だけでは仕事をさばききれなくなりそうなので、朝の僅かな時間も利用して仕事を
することにしたのだ。

そうだ、聖さまにも手伝わせちゃおうかな、などと祐巳は考えながら、聖と二人で
薔薇の館へ向かって歩き始めた。

祐巳は聖との他愛のない会話を楽しみながら校舎の間を抜け、中庭に足を踏み入れた。
すると少し遠くに見える薔薇の館の前に、数人の人影が立っているのが目に入ってくる。

祐巳の目にまず映ったのは、こちらに背中を向けている二人組みの男。
その向こうに、二人の少女が両手を頭の後ろに組むようにして立っている。
男の陰になっていてよくは見えないが、あの姿は間違いない。
その二人の少女は、祐巳の姉である小笠原祥子と彼女の親友の支倉令だ。
祐巳からは遠くに見えるその表情は、恐怖に強張っているように見えた。

何だろう、この光景は。
祐巳がそう思っていると、聖に腕を掴まれ引き寄せられた。
急に腕を掴まれたことに少し驚いて祐巳が聖のことを見ると、聖は男たちの方を
睨みつけるような眼差しで見つめている。
その聖の顔からは、先ほどまで祐巳にじゃれついていた時のような笑顔は跡形もなく
消えて去っていた。

そして聖が今来た方へ引き返そうとするかのように、祐巳の腕を更に引いた時。
男の一人が、不意にこちらに振り向いた。

「おい、そこの二人!」
「祐巳、逃げて!」

新たな獲物を認めた男、そして大事な妹の姿を認めた祥子、二人が同時に叫ぶ。
その声が祐巳と聖に届くのと同時に、男が二人の方に銃口を向けた。

しかし――男は銃の引き金を引くことはできなかった。
男が祐巳たちの方を振り返り、同時に自分たちから銃口が逸れたのを見た令が、
男の後ろから体当たりを喰らわせたのだ。