背に腹は、変えられないか……。
意を決する。
「い、言えばいいんでしょ……」
「うんうん。はやくイッて?」
「い……イッた、ばか、りで感じすぎちゃ、うからダメ、なんです、聖さ……ま」
なんて屈辱。でもやっと休め……
「じゃあ、感じちゃいなさい。紅薔薇さま」
え?
「そ、そんな……!ひどぃ、だめ、だめぇ……う、ひあっ、んっ!」
「さっきよおっく観察させてもらったからね。多分こことかこことか……くるでしょ?」
「え、うわっ、ひゃああっ!何、コレ……まだ、もう、すぐな…のに、イッちゃ……!」
「うわ……、手が、ビショビショ」
「蓉子、まだ出てくるよ……。……ていうか、かかる。すご……、もしかして、潮ってやつ……?」
え?え?
わたしが?
「う、嘘ッ」
「嘘じゃないよ。ほら、見て」
無理矢理視線を自分の太股の間に固定させられる。
…………!ぱたぱたと音をたてて床に落ちる水滴。
「……いやっ、や、やだぁ……なんでェ、あぁッ、なんでえぇ?」
聖が目をキラキラさせて泣きそうな私の顔を見つめる。
「ようこぉーッ!かっわいい……。もっと、もっとよ。もっと見せて!感じて!イッて!」
「やだぁぁああっ!」
意識が、飛んだ。
うーん。どうしよう……。
由乃さんと祥子さま、天国から帰ってこない塩の像のお二人。。
天国への階段を登らされっぱなしの黄薔薇さま紅薔薇さま、責める令さま白薔薇さま。
そして隣には唯一正気の志摩子さん。
「ねえ、志摩子さん」
「祐巳さん……?」
そんなすがるような目で見ないでよ、志摩子さん。
「私達、なんだか置いてきぼりだね……?」
「え?ええっ?そ、そうね……」
「じゃあ、二人でしてみる?」
「ゆ、祐巳さん!?」
「えいっ」
「きゃっ」
きゃっ、だなんて、可愛いなぁ。すごく変な気持ちになっちゃった。いや、もうなってるかな。
うーん。勢いで押し倒してみたものの。どうしたらいいのやら。胸ばっかりどくどく波打って、頭が回らない。
とりあえず、白薔薇さまの真似をすれば……。それにしても、こっちは紅白なのにむこうは白紅かぁ。
なんだか面白いかも。あ、そんなこと考えてる場合じゃない。えっと……うわ、志摩子さんの顔、
アップで見たら改めて綺麗……。
「祐巳さん……。百面相してる」
「……あ。またやっちゃってた?」
わたし達はくすくすと微笑み合い……そしてごく自然に唇を重ねた。