ネギま!ネタバレスレ94時限目

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809名無しさんの次レスにご期待下さい
 吐息とも、あるいは別のなにかともつかない音が漏れた。
 摘むように弄ぶ。なんだか興奮するのが悪いことのように思えるが――しかしそういう
ことをしているのにそれにふさわしい反応をしないというのも間違っている、きっと。
 だから私は自分の息が荒くなるのを止めなかった。
 栞の腕が私の背中に回される。
 私は何をやっているのだろうと、唐突に思った。首を振って、忘れた。全部忘れようと
言ったのは、私だったのだから。
 気持ち良い、と訊く。答えは返ってこない。
 右手を動かした。それと同時に唇を左胸に寄せる。口付ける。
「――ぁっ」
 喘ぎ声。身体が熱くなる。
 最後の一枚に、手を掛けた。栞が身体を捩る。しかし私に抱きついたままだから、何も
意味がない。
 両手を使って下ろす。栞は俯く。
 私は片手をそれまで隠されていた部分に導いた。ざらざらとした感触のなかにぬめり。
 唇を栞の耳に寄せる。
「濡れてる」呟く。
 栞は首を振った。
「栞が感じてくれてて、私、嬉しいよ」
 やっとのことだけそれだけ言う。でも、それだけ言えれば充分で、もう何もいらない。
 私はそのぬめりの奥に指を進めた。
「あ――はぁっ、いゃ――ああっ!」
 私は何も考えず、そのなかで指を往復させる。
 甘い響きが頭蓋骨のなかで反響し、何かが、融けて、いく、ようで。
 気が付けば栞の顔に紅が差し、涙は溢れ、半開きの唇からうめきが漏れ、身体は震えて。
 卒然、身体を反らし、
「――」
 脱力したように私の胸に倒れこむ。
 ……いっちゃったんだ、と思ったのは数秒後で。
 そして私は、気付いた。


いくつかの台詞の断片が、つながり。
 ずっと、ずっと、最初から。栞はただひとつの未来を見ていて。気付いていて、
 それを理解して。
 今私の胸のなかでうずくまる栞。
 ……私は。
 私は自分と栞が「その場所」に向かっていることに今、やっと、気付いた。
 やっと。
 でも――私は怖くない。感覚が麻痺しているのかもしれないし、まだ実感がわかないの
かもしれない。その瞬間になったら、怖気づくのかもしれない。
 それでも……まだ、怖くない。
 ただひとつ私は祈る。

 どうか最後の一瞬まで、栞と同じ空気を吸うこと出来ますように。
 いっしょにいることができますように。

 おねがい。