ネギま!ネタバレスレ94時限目

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808名無しさんの次レスにご期待下さい
 私は一瞬自分を見失った。栞の口からそんな言葉を聞くなんて未来永劫ないだろうと思
っていた。そして少しだけ屈辱的な気持ちだった。
「駄目だよ。……本当に私としたいんじゃない限り、出来ない」
 本心だった。……いくら精神的なところから出発した想いであれ、それが恋であり愛で
あるならば、あるいはそれに近いものであるならば、結局は欲に収斂するのもまた事実だ
から、私が栞にそういう感情を向けていなかったといえば嘘になる。しかし、しかし――
代償行為として栞とすることなんかに私は、価値を見出すことなんてできなかった。
 栞は何も言わない。……と思った瞬間、唇を塞がれた。舌が入ってくる。
 触れ合った瞬間、脳髄に血液が一斉に集中し、正常な思考が停止する。
 暗闇のなかで光がむやみに明滅した。
 血管が一本残らず切断され中身が飛散する感覚を味わった。
 理性なんてもちろん蒸発しきる。
 ……栞にとっては、ディープキス程度のことでも、ロシアンルーレット並みの覚悟が必
要だったに違いない。
「……これで、良い?」
 震える声色が鼓膜を揺らした。
 良いよ、喉まで出る、喉まで……。
「私、聖としたい……」
「嘘」
「嘘じゃない」
 栞の手が私の首筋に伸びる。
「そういうものじゃないの……」
 私は腕を掴んで言った。
「――」
「私とするってことは、何かのために、ってことじゃなくて、……するってことのために
する、ってことじゃなきゃ私は嫌。するなら――全部忘れよう?」
「――うん」
 私は栞の首筋にキスをした。
 栞の身体、震えてた。

 私はおそるおそる栞の浴衣に手をかける。少しずらす。白い肌が露に。
「――いい? ほんとうに――いいの?」
 訊く。返答は……ない。迷い。私は浴衣を元に戻した。栞の眼からは一筋の液体。舐め
取った。涙が付いた舌を栞の口内に差し込む。そのまま舌と舌を擦らせる。
 疑いようもなく、性的な行為。唇の隙間から声が漏れた。
 まずそれが「いやらしい」ことであることをまず理解して受け入れてもらえないんだっ
たら、その先に進むことなんてできやしない。
 水が撥ねる音がする。
 蹂躙。
 私はもう一度、浴衣に手を掛け、いいの、もっとこういうことするよと訊いた。
 栞は頷いた。
 私は浴衣を完全に脱がせ、下着だけにして、素肌の肩に右手を置く。
 栞がわずかに身を反らせる。離れそうになったので、引き寄せた。身体が重なり合う。
 肩から腕をなぞるように撫でる。手のひらの指紋に爪を合わせる。指を絡める、いつか
のように。あの時、栞は、くすぐったいと笑ったような気がする。
 今は笑っていない。
 心の緊張が解けないのなら、せめて、身体だけでも。
 左手を栞の左胸の上部に置く。栞は眼を瞑った。
 ふと、心配になる。栞の耳元に唇を寄せた。
「――嫌いにならない? 私のこと」
「……どうして?」掠れた声。
 また泣きたくなる。自分がどこまでも卑小で、栞はすべてを受け入れることができて、
その間にある溝に絶望的な気持ちになる。こんなときでさえ。
 でも、気持ちだけは交わってると思って。
 私はブラジャーのホックを外し、胸の中心にある突起に指を伸ばした。