「マリア!!マリア!!」
騎乗位で結合した彼女を、男は感極まった声で何度も呼んだ。
マリアは手馴れた娼婦のように、素早く正確で艶かしく腰を振る。ぷるぷると小さな胸が震え、
男がそれを下から鷲掴みにする。
彼女の腰が大きく浮き上がり、愛液に塗れた男の醜い塊がぴちぴちした太股の裏に見えた。
マリアは喘ぎながらも男に覆い被さり、顔を両手で引き寄せた。二人が口元を涎塗れにしながら
情熱的なキスを交わす。
「アラビューマリア!!」
我慢出来なくなった男が、マリアの腰を掴んで細かく激しい振動を加えた。
「ミトゥ!アア凄いヨ、パウロユアソグレイッ……!!」
感極まったマリアが喉を仰け反らせ――
男に中を掻き回される度に、恐怖と混乱が私の頭の中を激しく渦巻いた。
碌に風呂にも入っていないからか、それとも生活習慣の違いからか、汗の匂いが先生とは
違いすぎるのだ。先生の匂いなら安心できるのに、彼らの匂いは吐き気しか催さない。
人種的な問題では無い、と言い切れた。例え日本人であっても、好きでもない男の人に
キスされたり舐め回されたりするのは耐え難い程に――
――イヤ!
お尻の肉に腰を打ち付ける男の動きが、段々と早まって来た。
不吉な予感を覚える。こいつらに避妊の概念はあるのだろうか。
考えるまでも無く答えはノーだった。絶対彼らは欲望に任せて中に出すつもりだ。
――それだけはイヤ!
初めては突然だったから仕方ないけれど、絶望先生はそれ以後の膣内射精を我慢してくれている。
生で直に愛し合うのはきっちり籍を入れ、子供が出来ても揺ぎ無い家庭をきっちりと作ってからに
しようと約束したのだ。
性病や中絶の心配もなく、先生の全てを受け入れる日を楽しみに待っていたのに――
名も知らぬ男が、そんな私達の神聖な誓いを自分勝手な欲望で踏み躙ろうとしている。
――絶対、イヤ!!
私は畳に掌を付き、力を込めて匍匐全身を試みる。腰を捩る事で、打ち込まれた熱くて固い
男の肉塊を引き抜こうと試みる。
けれどもそれが却って男の欲望を刺激されたのか、彼は私の腰をぐい、と掴んで引き寄せる。
そんなにいいのかという意味の言葉を耳元で甘く囁かれ、首から背筋へと悪寒が走った。
突然腰が抜けた。全身ががくがくと震え出し、腕も脚も脱力してしまった。
逃げられないという事実に打ちのめされた。
打ち込まれた物が私の一番奥にぐいぐいと擦り付けられる。
「カミン、アイムカミン!!」
男が胸を掴みながらお腹の上に体重を掛ける。ロクに歯磨きもしていないだろう息が生臭い。
男の動きが止まった。獣のような激しい咆哮と、私の淫らな絶叫がどこか遠くから聞こえる。
内側で繰り返される熱い吐出には、身体の渇きを癒してしまう不思議な魔力があった。
けれども中が脈打つ度に――
夢にまで描いた先生との幸せな結婚生活が音を立てて崩れ落ち、二人で歩くバージンロードが
追い縋るよりも速く彼方へと遠ざかって行く気がした。