1 :
杉様 ◆H74sjCro3. :
第一章 天才
天才・・・。俺は天才だ!
今はみじめな生活でも、やる時はやる人間だ。
今に見てろ!なにかのきっかけで才能は開花する。
そしてその才能はいつか天才と呼ばれるものになる
理想的な生活、勝ち組、金持ちになれる。
一人の青年はそう思っていた。
アパートの一室で。
2 :
杉様 ◆H74sjCro3. :2006/02/18(土) 21:56:32 ID:7JgOFVvs
第二章 盲目
ひきこもり生活3年目に突入していた冬。
何かやりたい。でもその何かが見つからない。
見つかるわけがない。アパートの一室で見つかるわけがない。
どうしようもない堕落した生活。他の人間との交流がない生活。
金もない、学もない、友達もない。
ただ何か成し遂げえることはできるとい思っていた。
その根拠は見当たらない。盲目の人間。
3 :
杉様 ◆H74sjCro3. :2006/02/18(土) 22:00:12 ID:7JgOFVvs
第三章 街中
街中を歩いていた。
お洒落な人や、サラリーマン、恋人などが歩いていた。
服屋、飯屋など燦々としていた。
何も見えてない。興味がない。恥ずかしい。
金がない。使えない。
意味が無い。
そのまま何もしないで帰る。
4 :
勝手に続き:2006/02/18(土) 22:09:30 ID:UFYqBTiS
第四章 出逢い
何をしてもつまらない。誰と話してもつまらない。生きることすらつまらない。
引き籠もり生活は五回目の春を迎えた。
周りについて行けないんじゃない。周りが俺について行けないのだ。
自分以外はみんなクズだ―――
俺は余りにもレベルの低いこの世界に飽き飽きしていた。
そんな時だ、彼女に出会ったのは。
5 :
しゅんくんのママ:2006/02/18(土) 22:24:01 ID:QC6w2nom
わ・た・し!
6 :
勝手に続き:2006/02/18(土) 22:31:19 ID:UFYqBTiS
第五章 発端
祖父が死んだ。
祖父は変わった人だった。元々は旧帝大の学者だったらしいが、二親が飛行機事故で
死に、その結構な額の遺産を相続するとさっさとその職を辞め、同時に相続した
K県の山奥にある別荘に籠もって悠々自適の道楽じじいと化してしまったらしい。
(本来名家だったという我が家が現在平凡な一市民に成り下がってしまったのは
この道楽じじいが財産の殆どを食いつぶしてしまったからだとよく親から聞いていた)
不名誉なことに、俺は親戚達から『杉くんは藤之介さん(祖父)の血を一番濃く引いている』と
よく言われた。そう言えば祖父は孫の中でも姉貴や従兄より俺を特に可愛がっていた
ような気もするが、冗談じゃない。俺がそんな迷惑な変人と一緒にされてたまるか。
死人のことはどーでもいい。
そもそもの始まりは、その祖父が遺言状で、俺にくだんの別荘を譲るなどと書いていたところからだ。
お前逮捕されるぞ。
荒らしとして通報しといたから
お前のIP調べられて警〇から電話かかってくるかもな。
第六章
祖父には愛人がいた。
そのことが発覚したのは、祖父と愛人の子がうちを訪ねてきたからだ。
髪の長い、色白の、どこか垢抜けたその女は如才なく言った。
祖父(藤之助)の財産の遺留分を相続したいと。
9 :
勝手に続き:2006/02/18(土) 23:03:06 ID:UFYqBTiS
第六章 別荘へ
田舎へ行こう。
祖父の遺言を契機に、よく解らないが俺は突然決意した。
低レベルな人間達の群れから逃れたかった。
そう考えることにしよう。
舗装されてない道路で大げさに揺れる引っ越し屋のトラックの助手席で俺は、
自分を苦しめてきた文明社会が遠のいていくのを感じた。
祖父の終の棲家、時代遅れなミステリーにでも出てきそうなそのレンガ造りの
洋館が見えて来る。ここに来るのは何年ぶりだろう?
既に数台のトラックが止まっていて、俺の隣に座る無口な青年と同じ制服を着た
従業員達が、段ボールに詰められた祖父の残した道楽グッズを屋敷からせっせと運び出していた。
車が止まり、俺は『田舎に来た都会人』の典型のように胸一杯に空気を吸った。
美味い、と言いたいところだがホコリだの排気ガスだので全く美味くない。
しばらく引っ越し屋達の作業を見ていた俺は、それだけで自分も労働した気になったらしい。
両肩に仮想の疲れがのしかかり、段ボールの山を背に座り込む。
「ふう」
「ふう」
隣に腰を下ろしたその女性は、おそらく二〇代前半といったところか。メイド服を着ている。
頭には律儀にひらひら(正式名称は知らない)もつけている。こんなのがそこら辺の
街角をうろうろしていたら周囲はざわめき立ち、写メの荒らしとなることだろうが
この時代錯誤な別荘にはこんな時代錯誤な格好がお似合いだ。ここは三次元にメイドという
人種がナチュラルに存在できる最後の聖地なのかも知れない。
10 :
勝手に続き:2006/02/18(土) 23:22:04 ID:UFYqBTiS
そんな馬鹿なことを考えながら彼女の横顔を見ていた俺に、彼女の方から話しかけてくる。
「大変ですよね、こんな山奥までご苦労様です」
「はあ」
俺はいつの間にか引っ越し屋に脳内設定されてしまったようだ。
「何か、ここに越してくるのは前のじいちゃんの孫らしいんですけどね…」
彼女はわざとらしく声を落とす。
「ヲタクの引き籠もりで学校も中退。社会不適応者の典型ですね。本当キモチワルイ。
そんなヤツのためにやっと見つけた就職先&賃貸料無料の住まいもパー。ここ追い出されたら本当
この不況でどうしろって言うんでしょうね?どーせこんな服着てるんだからメイドカフェで
キモチワルイ二次元と三次元の区別も付かない犯罪者予備軍にヘラヘラ接客してろと?
本当ふざけんなって話ですよ。本当私って可哀相」
「はあ」
ヲタでヒッキーで社会不適応者で悪かったな!と叫びたくなるのを堪えてそう返事した。
「それで、その孫が今日来るらしいんですよ。絶対泣くまで殴ってやる!」
ああ、そいつなら丁度今アンタが殴りやすい位置にいるよ、と心の中で吐き捨て、
俺はここにいればこれ以上何を言われるか解らないと早々にここを離れることにした。
「すいませーん、こっちの荷物ですけどどうすればいいですか?釘原さん」
俺に向かってそう呼びかけた作業員の言葉に、彼女は固まった。
11 :
勝手に続き:2006/02/18(土) 23:37:27 ID:UFYqBTiS
第七章 逡巡
「あの…釘原さんて」
顔面蒼白になったメイドさんが俺の顔を見る。
俺は皮肉を込めて返した。
「ええ、僕がヲタクの引き籠もりで社会不適応者の犯罪者予備軍です」
彼女はそれを聞くと目玉を何周かさせ、その後素早く立ち上がって俺に抱きついてきた。
この事態を乗り切る計算がまとまったらしい。
「嫌ですねぇそんなマジに受け取っちゃぁ。メイディアンジョークですって。
メイディアンジョーク」
メイディアンジョークってなんだよ。上目遣いで見るな気色悪い。
「いやぁもうご主人様もお人が悪いんだからぁ!この伊達男!憎いねこの伊達眼鏡!!」
誰がご主人様だ。伊達眼鏡の意味解ってるのかこの豹変娘は。
「あのぉ、私お願いがあるんですけどぉ、やっぱりこの世の中不況じゃないですかぁ?
やっぱりぃ、私みたいなぁ、女の子はぁ、就職とか厳しいんですよぉ。。。ですから
ご主人様が変わってもここで働かせてくれないかなあ、なんて……」
股間をまさぐるな。なんなんだお前は。
「私、一生懸命ご奉仕しますから、ねっ!」
「やですよ。お金ないですもん」
彼女はそれを聞くと「チッ」と舌打ちし、すぐに俺から離れた。
「おーおー女一人養えないなんて大の男が情けねえなあ!!今の若いのがてめえみたいなの
ばっかだから日本はダメになんだよ。てめえみてえな社会の底辺は回線で首吊って
死ねばいいんだよ」
すごい変わりようだ。
12 :
勝手に続き:2006/02/19(日) 00:00:27 ID:UFYqBTiS
言いたいことを言い終わったのか、今度は彼女は切なげな目になる。
「私……実は昔、病気で兄を亡くしたんです。兄は小さい頃から私に『お前は一流の
メイドになる』と言ってくれました……」
「どんな兄だよ」
「甲子園に向かう朝、兄は交通事故に遭いました……」
「病気死んだ兄は?ねえ病気で死んだ兄は?」
「病院の冷たいベッドの上で最後に姉は私にこう言いました……『弥生……アンタは
私の分も頑張って生きて……一流のバスケットボール選手になるのよ』と……」
「ねえ兄は?ていうかメイドは?」
「姉の意志を……そして私自身の夢をここで潰えさせたくないんです……あなたのその
腐った2ちゃん脳の片隅に少しでもこの悲運なメイドを慈しむ気持ちがあったなら……
どうか私に冷たい水をください…出来たら愛してください…」
「うん、もう最後ポルノになってるね」
「あなたのそばでは永遠を確かに感じたから……淡い恋の端っこを決して離さなければ
人は誰も哀れな星だから…悲しみの息の根を止めてくれよアポロ11号!!」
「ひょっとして喧嘩売ってます?」
これでも泣き落としのつもりなのだろうか。そんな手に引っかかるヤツなど……
「杉!!その人可哀相だよ!雇ってあげようよ!」
いた。俺の背後で嗚咽を漏らしている彼女は釘原桜。俺の姉貴だ。
かなりの泣き上戸で、2ちゃんの2ゲットコピペで1日中泣き続けたことがある。
俺は
(眠いので省略されました・・・二度と続きません)
13 :
杉様 ◆H74sjCro3. :2006/02/19(日) 00:23:29 ID:FM7pqNQE
第4章 15時起床 4時就寝
完全に生活リズムが逆転していた。
何も考えず、パソコンへと向かう日々。
完全に頭を使っていなかった。
疲れやすかった。
バランスが崩れていた。
彼女が欲しかった。友達が欲しかった。
目の前にはパソコンしかない。
冷たい・・・。冷たい
14 :
モギオ:
終われ