202発目:雨降って
―北海道選抜との試合が雨天順延ノーゲームとなったその夜
―合宿所近くの公園
猿野「だああちくしょーめ!!雪国野郎共が〜〜!!!」
(あ〜くそっ!!体動かしてねえとイライラして眠れねーッつの!!)
一心不乱に素振りをする猿野。脳裏には北海道代表と黄泉の姿が浮かぶ。
(北海道代表「命拾いしたべ埼玉代表のひよっ子共。明日はこんなモンじゃ済まさんべさ」)
(黄泉「オマエラ日本ニ居テヨカッタヨ。向コウニイタラドコモ使ッテクレナカッタゼ」)
(黄泉「失セロ。野球嫌イノ出来損ナイガ」)
猿野「グッ。うるせぇ〜!!てめえらこそ消えろ!!オレはオレだ!あんな奴らにオレの道は邪魔させねえぞ」
一方、同じ公園内でこちらも素振りをしている御柳。その脳裏にも黄泉の姿。
御柳(ここまでムカつく野郎は生まれて初めてだ…。
あんなにこのオレ様を…華武をコケにしやがった奴は…
あのアメリカ野郎は死んでもゆるさねえ)
「くそ…こんな素振りぐれぇじゃ何にも気が晴れねぇや。やっぱあいつを直々に潰すしかねーが
どーするよ。今日の成績は…情けねぇ。あれじゃオレが初戦から手え貸してやんねーと
マジで大阪と当たれねーぞ。でも猿野(ヤツ)のせいで試合出れねーし…
クソうぜぇ〜そろそろ本格的に黙らせっか?」
とか言いながら素振りを終え、御柳が歩いていると猿野と鉢合わせる。
(ここにタイトル。煽りは「悔しさは一つだが…」)
御柳「てめっ…」
猿野「あっバブリシャス!!」
「んだぁ!?こんな夜中に…テメーの事だから夜の街で遊んでたんじゃねーのか!?」
御柳「今日はちげーよ!素振りしてたんだよバーカ!!」
「そうだ丁度いいや。テメーのせいで試合に出れなくなっただろーが!お前今から監督に
頭下げて来いよ」
猿野「ふざけんな何でオレが!」
御柳「そりゃオレ様のが選手として数段格上だからよ」
猿野「絶対いくかバカ!」
御柳「…フー一々キーキー反応しやがる…」
「人間語の通じんサルと会話できる訳もねーよな。テメェにも分かる様にコイツでケリつけっか?」
言いながら指を鳴らす御柳。
猿野「おお?やんのか上等だ。負けた方が詫び入れに行くんだぜ」
由太郎「いね〜な。明日はまた試合なのに猿野のやつどこ行ったんだ」
いなくなった猿野を探している由太郎が公園にやって来る。
猿野&御柳「いくぞ〜!!」「来いや〜!!」
由太郎「やっやめろ〜ケンカしたら終わりだぞ!!」
バットで殴り合うと思ったらしく慌てて止めに入ろうとする由太郎。
しかし始まったのは素振り対決。由太郎そのまま地面に滑り込む。
御柳「先にへばった方の負けだからな」
猿野「オレのペースについて来れるかよ!?」
御柳「いいな この勝負負けた方が監督に勝った方の奴を出して下さいって詫び入れんだぞ!」
猿野「わぁってら!この素振りの鬼に勝負を挑んだ事ベンチで後悔するがいいわ〜」
571…572…573…(←素振りのカウント)
御柳「ど…ど…うだ…詫び入れる気になったか…?」
猿野「…………あ?何か寝言言ったか?」
937…938…939…
由太郎「まったくよ〜2人共負けず嫌いだな。オーイあんまやってっと明日まともに振れねーぞ」
猿野「バーカ…ここでやめたらそれこそ明日出られねー…だろが」
御柳「そうだ…ぜ あ…ヤベ足が…」
倒れる猿野と御柳。
猿野「くそ…素振りにゃ自信あったんだがなぁ…あれ?そーいや何でオレこんな事やってんだ?」
御柳「負けた方が詫びだろーが。この方法はダメだ。次はもっとハッキリ決着つけんぜ」
由太郎「(立ち上がる2人を見て)オイオイまだやんのか2人共!?」
御柳が地面に足で線を引く。
御柳「いいか。この線と線の間は大体10Mくらいだ。ここで全力でキャッチボールをする」
「臆病(チキン)キャッチ…ビビって球か体を線の後へ出した方が負けだ」
「もう一度言う…負けた方が監督に詫びを入れるんだぜ」
由太郎「やめろって そんな近くじゃケガすんぞ。こんなモメてばっかじゃAチームずっと出れねーだろ」
猿野「安心しろ…そいつをこれから白黒つけて終わらすってんだ。
テメーはしっかり見届けてくれや…男の決闘をよ」
由太郎「さるの…」
猿野「チキンキャッチ…上等じゃねえかコラ。テメーのヒョロ球じゃ誰もビビんねーけどな」
御柳「(ピキッ)あとで吠えヅラかくなよッ」
猿野の顔面めがけて投球。
猿野「うぐっ…」
(近ッ!!)
猿野キャッチ。
由太郎(あああ〜これじゃタイマンケンカと変わんねぇじゃんかよ…)
猿野「しょっぱなから顔面狙いかコラァ んなもんでビビると思ってんのか」
同じく御柳の顔面近くに返球。御柳キャッチ。
御柳「くうっ」
「黙れ そもそもテメーらがなんで全国で出しゃばる権利があんだ
オレ達華武と一緒にチーム組めるだけでも有難く思えよ!!」
猿野「本当カブカブうっせーなテメーは!!!そのカブ様がヤンキーかぶれの下手投げなんかに
みっともなく負けやがってよぉ」<br>
御柳「(プチ…)全国どころか決勝にも上がれない奴に言われたくねぇな!!
それにアメリカ野郎はこっちの大会でぶっ潰してやらあ」
由太郎「あんなボールに当たってばっかでまだやんのか…
もったいねえよみんな…仲良くすりゃ埼玉だって絶対イケるのに…」
その光景を公園の入り口の所から見ている白雪。この時点ではまだ少し不安そう。
猿野「雉子村(あいつ)とはこのオレが決着をつける!!ナメられたまま逃がしてたまるかよ〜!!」
御柳「何をワケのわかんねー事言ってやがる!?
オレがやる!!受けた屈辱は倍にして叩き返してーんだよ!!!」
結局決着は着かず、どろどろになりながら力尽きる二人。
猿野「てめーも本当折れねーな…また決着つかなかったぜ」
御柳「たりめーだろオレ様のが格上だからな」
猿野(こいつやっぱ口で言うだけあるな ダテに華武で4番はってねーや)
御柳(何なんだこの意地っ張りのバカは…その根性だけは見上げたもんだぜ)
由太郎「ほら〜〜こんな勝負引き分けでいいからよう もー行くなら2人で一緒に監督のトコ行けばいいだろ」
猿野&御柳「冗談ぬかせ」
猿野「何がチキンキャッチだ 顔面ボコボコになったじゃねーか 詫びはテメーが行け」
御柳「んだ?なんなら素手のタイマン勝負つけてもいいんだぜ」
由太郎「あ〜ダメだまったく仲直りできてね〜」
それを見て今度は満足そうな白雪。去っていく。
―そして翌日の朝
白雪の部屋にて、囲炉裏?の中で土下座する猿野。
猿野「すいませんした」
「監督!お願いします あのバブリシャスあー見えて一応華武で4番はってますから
こんな事でチームがバラバラなままじゃオレら何をしに甲子園までやってきたのかわかんねーよ!!
本当は埼玉こんな初戦で苦労するようなチームじゃないんだ
最低オレ以外のAチームの3人は出してもらえねーと無駄死にしちまう!!」
白雪「…えーと困ったな…実はもう先客が来ててね…」
猿野「へ?」
そこには猿野と同じく正座している御柳が。
猿野「げっ!?御柳テメ…」
白雪「考え方とか立場でこの大会に取り組むスタンスは変わるだろうね。それは仕方ない
だけど細かい違いがあっても大会の中での大きな目的は一緒なんだよ
君達の仲は一番のキーポイントだった。その気で協力すれば大会を左右する程の力になるだろう
さ…立って。約束通りAチームの謹慎を撤回しよう。
ボクはね 埼玉選抜の真の実力を見たいんだ」
猿野「は…はい!!ありがとうございます!!」
686 :
202発目文字バレ4/4:2005/10/15(土) 16:45:53 ID:r4rkusnI
場面は甲子園へ。
実況「さて埼玉選抜対北海道選抜の試合は昨日の雨天順延の為再戦になります」
「今日は一転して晴れやかな青空です!」
辰羅川「天気は互いにとって同じ条件ですからね…このままでは再戦しても結果はそう変わらないと…」
子津「でも昨日のはベストメンバーじゃなかったっすよね。どうしてあんな…あ!」
スタメンを見て驚く子津。(打順は珍也氏のバレで既出なので省く)
子津「昨日と全然違うメンバーっす!いや…昨日がおかしかったんす」
猪里「昨日一日で何があったとね もはや別チームたい!」
猿野「これが天国様の全国デビューよ!」
御柳「さーて…小手調べに北国の鼻っ柱折ってくるかね」
由太郎「にいちゃんのカタキだっ!!」
犬飼「最初の敵は北国の猛者か…」
由太郎&猿野あたり「暴れてくんぞ〜!!!」
打席に入る北海道の蟹喰い。
蟹「何だべか!?昨日と大分メンバー変えてきた様だども」
「何べんやってもムダだ 内地の者に道産子が負けるわけねぇべ!」
辰羅川(…ついに全国デビューですね 犬飼くんの最後の秘球が)
蟹(なんだべこの球は)
ヒジカタ「なっ…何だね今の球は」
エース「初めて見るぞ」
御柳目が点。
犬飼「終の秘球 白竜」
実況「す…凄い!埼玉選抜にとんでもない魔球を放つ投手がおりました〜!」
埼玉の攻撃。
由太郎「これは昨日のおかえしだあ〜!!!」
猿野「北の大地まで飛んでけや〜!!!」
御柳「大阪(やつ)のおかげで溜まってたんだ…パカパカいくぜぇ」
実況「埼玉選抜打線大爆発〜!!!昨日とはまるで別チームのようだ!!」
北海道ベンチ「バ…バカなたった一日で何があったというんだ!?」
猿野「見たか〜カニ喰いゴリラ共 これが埼玉(オレたち)の本当の力だ〜!!!」
以下次週。最後の煽りは「結束の力!!!」
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