【久米田康治】さよなら絶望先生part18【マガジン】

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877 ◆KUDOU/ZqWU

┏┯━━━━━━━━━━━━┓  狸のレンタル尻尾店では尻尾が不自由な動物に
┃│                  ┃ 尻尾を貸しています。人間で言うとカツラ貸し店です。
┃│                  ┃ ある日、一匹のネズミの少年がやってきました。
┠┤     し    レ   た     ┃ 店長の狸は言いました。
┃│       っ   ン    ぬ     ┃ 「お客さん、立派な尻尾を持ってるじゃないですか」
┃│      ぽ   タ     き    ┃ するとネズミの少年は答えました。
┠┤      店   ル    の     ┃ 「ほら、僕、体は白いけど。尻尾だけ黒いだろ……
┃│                  ┃ 実は、僕、母さんが白鼠、父さんが黒鼠なんだ。
┃│                  ┃ 混血なんだよ。でも、今度僕が通う学校は
┠┤                  ┃ 純血の白鼠ばっかりなんだよ。だから……」
┃│                  ┃  狸は何も言わずに白い付け尻尾を渡しました。
┃│                  ┃ それは白い細い筒状の物で、ネズミの少年は
┠┤                  ┃ 自分の黒い尻尾をその中に通し、お尻の毛の中
┃│                  ┃ に隠したベルトで固定。白い尻尾のできあがりです。
┃│                  ┃  それから混血ネズミの少年は定期的に狸の店に
┠┤      准     藤  久     ┃ レンタル料金を払いにきました。
┃│                  ┃ この付け尻尾は非常に良くできていて、
┃│                  ┃ 純血の白鼠のクラスメイトと全く同じ外見で、
┗┷━━━━━━━━━━━━┛ バレることはないそうです。

 ところが、ある日のことです。
混血ネズミの少年が付け尻尾を返しにきました。
「もういらないんだ」
混血ネズミは泣きながらそう言いました。
「どうしたんです、お客さん」
「ちょっと油断しててさ……尻尾を止めるベルトを締め忘れて……
体育の時間に尻尾を引っ張られて……バレちゃったんだ……
だから、明日からは、この白い付け尻尾要らないんだ……」
 店主の狸は何も言わずに付け尻尾を受け取りました。






 翌朝のことです。混血ネズミは白い身体から伸びる黒い尻尾を丸めて
うつむきながら教室に入りました。
そこに待っていたのは……










 黒い付け尻尾を付けた白鼠のクラスメイトたちでした。