すべての敵に勝利を収め、ついに世界中の人間に自らを神と認めさせた月。
「そうだ・・今日から僕は真の神となった」
そのとき、空から一条の光が差し込み。月を天に引き上げる。
「ここは・・?」
気がつくとそこはこじんまりとした真っ白な部屋。
窓の外は南国風のヤシが茂り暖炉には暖かげな火がみえる。
部屋の中につるされたハンモックには小さな紙が貼ってあり差し押さえと書いてある。
月の後ろから突然、声がかかった。
「私が神です」
さえないおっさんだ。
「神・・さま・・・?」
「そうです。私もはるか以前・・そうですね、たしか数千年ほど前でしょうか・・・
死神のノートを拾って世界に神として認められたところまで行き着いたのです」
「な、なんだって・・・・?」
「このノートはですね。実は神を選抜するためのノートだったんです。神となるべき者は
私利私欲のために使わず、独善的で、好戦的でなくてはなりません・・その才を試すのが
このノートのからくりです・・・死神が暇つぶしに落とすなんて嘘っぱちです」
「・・・・・まさか?」
「まだあります・・・先に述べた素質を認められた者はさらなる神の素質を確かめられます。それは…」
「それは・・?」
「決して人前に出ない。神とは誰にでも知られる存在であると同時に誰にもその正体を
捕まれない存在でなくてはなりません。すなわち理想の神とはコソ泥のように臆病で。
空き巣のようにすばやく。詐欺師のように騙し。追いはぎのように残忍でなくてはなりません」
「その条件も僕はクリアしたって事か?」
「はい。あなたは名実ともに神です」
「クッ・・・クァハハハハァ・・そうか、そうかァ!僕は神なんだな!?神すらも僕を神と認めた!」
「はい」
「で・・後はお前を殺せば僕は唯一の神となれるわけだ」
月の顔つきが代わる。
「飲み込みがいいようで・・」
<続く(…かもしれない。まだオチ考えてないけど)>