DEATH NOTE-デスノート-page-85

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2005年3月22日(火)読売新聞夕刊(東京本社3版)
[手帳]「単行本派」の方への弁解デス
 自分の書いた記事で、これほど反響をいただいたのは久しぶ
りである。もっとも「お叱り」がほとんどなので縮こまるしか
ないのだが。11日付文化面「金曜コラム」で書いた少年ジャン
プの人気漫画「デスノート」についての記事である。
 お叱りの趣旨はほぼ一致して、「まだ単行本化されてない部
分の重要な展開を明かすのはネタバレで、著しく興をそがれた」
というものだった。これにはうーんとうなった。当該部分はジ
ャンプ誌上で数週間前に掲載されている。300万部出ている
日本一の部数の漫画誌に載ったのだから、「ネタバレ」とは思
いもよらなかったというのが正直な気持ちだ。
 が、記者の周囲でも同じ苦情を言う人がいて、遅ればせなが
ら、こちらの認識がズレていたかと気づいた次第。子供のころ
から、漫画の主舞台は「雑誌」だと思ってきた。例えば「巨人
の星」や「あしたのジョー」の連載に毎週ドキドキハラハラし
ながら、友人たちと今週の回や来週以後の展開について、ああ
だこうだと論議するのが何よりの楽しみだった。雑誌に載るこ
とで、漫画は読者に「共有」されると信じてきた。コミックス
単行本はある意味、感動を何度も再確認するために買うものだ
った。
 しかし、最近は様子が違う。漫画を雑誌で読まず、単行本が
出るまで何か月も待つ人が増えてきた。だから、初版100万
部などという超人気作が増えている一方、その作品を連載する
雑誌は低迷、という不思議な事態が起こる。内容だけなら10年
前の600万部時代に引けをとらないと思われるジャンプでさ
え、半減して横ばいのままだ。
 今回の「お叱り」で、このことを改めて実感した。認識不足
であった。しかし、漫画文化の基礎はやはり雑誌であり、雑誌
を読む人があまりに減ってはいい漫画は生まれない、というこ
とは言わせてほしい。
 いや話はそんなことではない、未読の人にとってはどんな形
であれネタバレだ、というご意見に対しては……確かに、ミス
テリー漫画という性格上、あそこまで具体的にする必要はなか
ったかもしれない。「記事の主題は良かった」という感想もい
ただいたことに感謝しつつ、「単行本派」の方に配慮を欠いた
ことをおわびしたい。
(石田 汗太記者)