高月「あははは、見ろ。最後の直線で追いついたぞ」
雄人「うぅ…」
高月「だがまだまだだ。ほら、追い抜いてゆくぞ。見えるだろ。するすると追い抜いてゆくぞ。
見ろ、お前の前に躍り出るぞ。
信じられるか。俺のような、さっきまでお前に遅れをとっていた男だぞ」
高月「いいのか、おまえは。そんなどこの輩ともわからない男に追い抜かれてるんだぞ。
とても大事なレースで、追い抜かれようとしているんだぞ」
高月「くおぉ…
ほら、追い抜いた!完全に抜いたぁっ!」
雄人「んああぁっ…!」
高月と雄人は完全に逆転してしまった。
高月「ぐああっ…すごい事実だ…!
いいのか、おまえは!?この前初めてあったような男に抜かれているんだぞっ!
いいのかっ!とても大切なレースじゃないのか、これはっ!
そんなレースに簡単に負けてしまっていいのかっ!
それとも俺のことが好きなのかっ!?
違うだろっ!捨てちゃえなんて言われたりして、嫌いだろっ!
そんな男に抜かれているんだぞっ!そんな男に優越感を与えてしまっているんだぞっ!
これ以上ない優越感だっ!
おまえの実力もそれを助長しているっ!
おまえのような男とレースしている事実が俺を興奮させているっ!」
高月「いいのかっ!それでいいのかっ!
何が悲しくておまえは俺のようなゲスとレースしているっ!
悔しくないのかっ!惨めじゃないのかっ!」