スクールランブル♯122【小林尽】

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479こさてん
詳細投下します。1発目。




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ついに、文化祭が開催された。祭りの喧騒の中、廊下を満足げに歩くゴリ山先生の姿があった。
ふと、ひときわ賑やかな教室を見つける。そこは2年C組だった。
繁盛しているようなので、自分がガツーンと言ったからか!? と笑顔で教室の扉を開けた。すると―――
眼前には、なんと銀座のクラブのような光景が広がっている。
思わず叫びそうになったその瞬間、石山に背を押されて強引に入店させられてしまった。
「今ならナンバー1がお相手しますよ」
「オッ オイなんだこの店は!?」
「当店はドリンクと運ぶ女の子を選ぶシステムになっております」
「ぶっ!!」
女の子の顔写真の入ったリストを見せられて、思わずゴリ山は吹き出した。
そこに、クラスナンバー1である冴子がコーヒーを持ってやってきた。胸には、ハートマークの名札にひらがなで『さえこ』と書かれている。
「さえこでーす はじめまして〜〜 何のお仕事してるんですか?」
「はじめまして〜〜 って お前普段授業で会ってんだろ!!」
思わず目んタマが飛び出てしまうゴリ山先生。
「えーっ 前にも会ってるって 口説き文句ですかぁ〜?」
上目遣いにじっと見詰めてくる冴子に、タジタジだった。
ゆっくりしてってねと言い残して去る冴子のおかげで、ゴリ山はすっかり文句を言う気力もなくしたようだった。
「さすがオトシの冴子 秒殺だぜ!! ゴリ山もタジタジだ」
クラスの男子連中が感心していた。

美琴の隣では、天王寺が幸せそうにドリンクを飲んでいた。和やかに談笑している。
沢近もまた、見知らぬ男と楽しそうに笑顔で語らっていた。

そんな中―――
「うわーっ その待ち受けカワイーッ 私も犬飼いたいなあ」
「でしょ 君にも送るからメアド教えて」
『ま 円… 演技だよね? きょ、今日だけだよね…?』
見知らぬ男と仲良くメアド交換する円を、不安げに見つめる梅津の姿もあった。

教室には、一条の歌声と嵯峨野のベースも流れていた。その旋律もまた、教室の男たちの心を鷲掴みにしていた。

だが、指名が入る女の子の蔭で、一人誰からも選ばれない女の子がいた。天満だった。
彼女はがっくりと落ち込んでいた。
女子トイレで、他の女の子と水商売な会話をしている天満に、三原からママ(高野)が呼んでいると声をかけられた。
「天満ちゃん なかなか指名が入らなくて落ち込んでるみたいね」
天満の向かった先。そこには、着物姿の高野の姿があった。
仕事が向いてないと弱音を吐く天満に、高野は優しく肩を叩いた。
「アナタ…私の若いころソックリよ」
「えっ?! でも私ママみたいに綺麗じゃ…」
「引っ込み思案で自分に自信がなくって…本当に瓜二つね。でもね天満ちゃん あなたにはあなたの魅力が絶対にあるわ!」
新名がこの店で一番に輝くときを待っていると述べる高野に、天満はもう辞めるなんていわないっ、と涙を流してすがり付いたのだった。

「おーーい まじめに手伝ってくれ 忙しんだよ」

美琴のツッコミがようやく入った。


「皆さん!! いい知らせよ。午前のノルマ達成よ。午後の営業もこの調子で行きましょう」
「は〜い」
女子たちの前で手を叩いてママっぷりを発揮する高野と、従う一同。女子たちはノリノリだった。
480こさてん:05/02/13 17:30:04 ID:TUHRxt9/
詳細投下します。2発目。



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家庭科室では、裏方(調理)の花井をはじめとした面々が喫茶店の盛況振りを喜んでいた。
この調子なら売り上げナンバー1は間違いなし、そう思われていたのだが―――
「オイッ!大変だ!! 急に客足が途絶えちまった」
同時刻、教室に菅が駆け込んできた。なんと、客が全部茶道部カフェに流れてしまっているというのだ。
その知らせは家庭科室にも届いていた。もはやC組がナンバー1に返り咲くには茶道部カフェ以上のサービスを提供するしかない。
すぐさま、下っ端に茶道部カフェを探るように指示を出す花井だった。

そして、カフェ茶道部に赴く下っ端。ソコは客に溢れた、なんとも手強そうな店だった。
思わずしり込みしてしまったが、一人ぼっちの自分を暖かく迎えてくれた喫茶店班のみんなのために僕は戦うと決意に燃えた。
『そして念願のブレイクを…』

ガチャリ、と戸を開ける。そこには―――
「お帰りなさいませご主人様。アメリカ出張はいかがでしたか?」
メイド服を着た絃子が頭を下げていた。

家庭科室では、下っ端が出かけてからかれこれ1時間も経過していたため、みなは焦れ始めていた。
やっぱりやられちまったかと嘆く一同。そんな時、ついにあの男が立ち上がった。
「まったくだらしねえヤツラだ。俺に任せな」
播磨だった。彼は力強く歩んでいく。
「うォラ!! 邪魔するぜ!!」
気合と共に扉を開け放った播磨の前には―――

「お帰りなさ〜い ア・ナ・タ。 ご飯にする? 今日もお仕事大変だったでしょう」
なんとエプロンをつけた姉ヶ崎先生が立っていた。
「わーっ 何やってんスか 何もいらないっスよ!! うお!!」
「あら ゴハンもお風呂もいらないの? もーっセッカチね。若いんだからっ!!」
驚く播磨に一瞬で詰め寄る姉ヶ崎先生。腕を取ってぴったりとくっ付いた。
なんだかんだで姉ヶ崎先生には逆らえない播磨。まずい状況に陥ったことを自覚しつつ周囲を見回すと、なんと奈良も絃子の隣で頭にお花畑を展開しているのが見えた。
『チッ チクショーーー!!』

「くうううううっ、播磨まで堕ちたか!! いったい何が起こっているんだ」
すでに2時間が経過していた。あの硬派の播磨ですら帰って来ない事態に、一同は打つ手無しと絶望を感じ始めていた。
だが、そんな中において、ついに花井が立ち上がった。
「確かに学級委員のお前ならもしかして…」
一縷の期待をかける面々だったが。
「先に言っておこう!! 茶道部には八雲君がいるから絶対に戻れん!!」
「全然ダメじゃねえか!!」

クラスのため自身のためと、廊下を突き進んでいく。
「た……たのもーっ!!」
扉を開けた花井の目の前には――
「ご苦労様です警部。あっ、花井先輩」
婦警姿の八雲がいた。一瞬停止した後、花井は瞬時に警部になった。
「八雲巡査、張り込みに向かうぞ」

そして、カフェ茶道部のベンチには、じっと固まっている花井、まとまりつかれて困っている播磨、桃源郷に旅立った下っ端が縫い付けられてしまったのだった。

そのころC組では―――
「パパーっ、次はうちのテーブルにドジビロンピンク呼んでーーー!!」
「デュワ!!」
ドジビロンマスクをかぶった天満が、子供たちの間で大ブレイクしていた。