スクールランブル♯122【小林尽】

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471こさてん
詳細投下します。1発目。




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ついに、文化祭が開催された。祭りの喧騒の中、廊下を満足げに歩くゴリ山先生の姿があった。
ふと、ひときわ賑やかな教室を見つける。そこは2年C組だった。
繁盛しているようなので、自分がガツーンと言ったからか!? と笑顔で教室の扉を開けた。すると―――
眼前には、なんと銀座のクラブのような光景が広がっている。
思わず叫びそうになったその瞬間、石山に背を押されて強引に入店させられてしまった。
「今ならナンバー1がお相手しますよ」
「オッ オイなんだこの店は!?」
「当店はドリンクと運ぶ女の子を選ぶシステムになっております」
「ぶっ!!」
女の子の顔写真の入ったリストを見せられて、思わずゴリ山は吹き出した。
そこに、クラスナンバー1である冴子がコーヒーを持ってやってきた。胸には、ハートマークの名札にひらがなで『さえこ』と書かれている。
「さえこでーす はじめまして〜〜 何のお仕事してるんですか?」
「はじめまして〜〜 って お前普段授業で会ってんだろ!!」
思わず目んタマが飛び出てしまうゴリ山先生。
「えーっ 前にも会ってるって 口説き文句ですかぁ〜?」
上目遣いにじっと見詰めてくる冴子に、タジタジだった。
ゆっくりしてってねと言い残して去る冴子のおかげで、ゴリ山はすっかり文句を言う気力もなくしたようだった。
「さすがオトシの冴子 秒殺だぜ!! ゴリ山もタジタジだ」
クラスの男子連中が感心していた。

美琴の隣では、天王寺が幸せそうにドリンクを飲んでいた。和やかに談笑している。
沢近もまた、見知らぬ男と楽しそうに笑顔で語らっていた。

そんな中―――
「うわーっ その待ち受けカワイーッ 私も犬飼いたいなあ」
「でしょ 君にも送るからメアド教えて」
『ま 円… 演技だよね? きょ、今日だけだよね…?』
見知らぬ男と仲良くメアド交換する円を、不安げに見つめる梅津の姿もあった。

教室には、一条の歌声と嵯峨野のベースも流れていた。その旋律もまた、教室の男たちの心を鷲掴みにしていた。

だが、指名が入る女の子の蔭で、一人誰からも選ばれない女の子がいた。天満だった。
彼女はがっくりと落ち込んでいた。
女子トイレで、他の女の子と水商売な会話をしている天満に、三原からママ(高野)が呼んでいると声をかけられた。
「天満ちゃん なかなか指名が入らなくて落ち込んでるみたいね」
天満の向かった先。そこには、着物姿の高野の姿があった。
仕事が向いてないと弱音を吐く天満に、高野は優しく肩を叩いた。
「アナタ…私の若いころソックリよ」
「えっ?! でも私ママみたいに綺麗じゃ…」
「引っ込み思案で自分に自信がなくって…本当に瓜二つね。でもね天満ちゃん あなたにはあなたの魅力が絶対にあるわ!」
新名がこの店で一番に輝くときを待っていると述べる高野に、天満はもう辞めるなんていわないっ、と涙を流してすがり付いたのだった。

「おーーい まじめに手伝ってくれ 忙しんだよ」

美琴のツッコミがようやく入った。


「皆さん!! いい知らせよ。午前のノルマ達成よ。午後の営業もこの調子で行きましょう」
「は〜い」
女子たちの前で手を叩いてママっぷりを発揮する高野と、従う一同。女子たちはノリノリだった。