【割れたレンズ】スクールランブル#96【架る虹】

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57くから太 ◆UzxVgSiysg
お互いの体の感触、体温、匂いを感じあったあと、どちらかともなく二人は口付けした。
 舌をはげしく絡めあい、唾液を飲み込みあう激しいキスだ。
「ん、んむ、奈良……」
「ちゅ、んんっ、塚本さん……」
 相手の名を呼ぶだけで、頭の中で閃光がはじける。自分の名を聞くだけで、体中の骨が溶けていく。二人はお互いの名前を息継ぎのたびに呼び合った。
 もちろん二人がそういう仲であることは、誰にも言っていない。
 二人とも、秘密の関係に罪悪感を感じないわけではない。特に塚本は烏丸のことを思うと、胸がつぶれそうに苦しくなる。
それでも、いやだからこそ、二人はいっそうこの場この時に集中する。他に何もかんがえられなくなるほどに。
 濃厚なキスは、舌の根元が疲れて動かなくなるまで続いた。
 口のまわりを、二人分の唾でべとべとにした二人は、ようやく顔を離す。攪拌され、粘度を増した涎がつうっと長い糸を引いて、床にこぼれる。
 塚本は、顔を紅潮させながら、奈良に熱くささやいた。
「もう我慢できない!」
「はい、お願いします」