○マー
魔女の国に到着したギンタ一行。
ドロシーに案内され、一人の年老いた男と対面する。
圧倒的な存在感を持つその男は、口を開くと驚くべき事実を語りだした。
「メルヘブンを作ったのは私である」
男によると、この世界は、異世界でもましてやギンタの妄想でもなく、
れっきとした地球、ただし現代より100年の後の世界だと言う。
100年前、人類の中に「ワクワクしたい」「冒険がしたい」「戦争がしたい」と考える者が増え始め、
その思いは満たされることなく膨張し、遂には最悪の形で暴発した。
ある者は増長し、ある者は制裁し、世界は混乱の渦へと墜ちて行った。
やがて戦争は終わり、残されたものは退廃した大地と女たちと男。
他の男たちはすべて殺しあって果てたと言う。
女たちと男には不思議な力が宿っていた。
癒しの力、破壊の力、あるいは創造の力…
それは、現代で言うところの魔法に酷似していた。
女たちは魔女の国を作り、一人残された男は淋しさからメルヘブンを創り始めた。
花、草、木など自然はすべて魔法で創り出した紛い物、
そこに住まう者も人間の男女をモデルに創造したものだった。
メルヘブンは平和な世界だった。
「ワクワクしたい」「冒険がしたい」「戦争がしたい」などと考える者がいなかったからだ。
たまにチェスのようなものも現れたが、誤差の範囲に過ぎなかった。
男は、自らの創った世界に満足し、魔女の国へと旅立っていった。
しかし、多くの時が流れ、ひとつの歯車にずれが生じた。
ギンタの降臨である。
ギンタは平和な世界に再び混乱をもたらした。
「ワクワクしたい」「冒険がしたい」「戦争がしたい」……
それらの身勝手な欲求は争うことを知らぬ世界を破壊するに十分なものであった。
男は決断する。
メルヘブンを消滅せしめるべく、自らの化身とも言えるつくりものの人間を創造し、ギンタの元へと送り出した。
彼らは、目に映るもの全てに破壊をもたらすようプログラムされていた。
「増長するものには制裁を」「ギブアップする敵にも制裁を」「レディファースト」「ゆきちゃんドーン」
また、自らの作ったチェスのコマたちにも同様の暗示をかけ、同士討ちを始めさせた。
今頃は、メルヘブンも滅びている頃だろう。
「…最後に、お前たちを破壊すれば、争いは消え、全ては元に戻る」
驚愕の事実に驚きを隠せないギンタたち。
特に、自らがつくりもののロボットであることを告げられた、
アラン、ナナシ、スノウ、ジャックたちの衝撃は測り知れないものだった。
「ちがう!!ロボットじゃない!!」
(煽り:悲しすぎる…現実。)
証拠画像
http://f56.aaa.livedoor.jp/~shinisoh/upbbs/src/1100346195338.jpg