「俺」には自分のことを当てはめて妄想をお楽しみ下さい。
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「奈良、去年みたく浴衣で来いよ」
「うん。そのつもりだけど」
今夜、キメてやる。
俺は自分のシングルベッドに奈良用の枕を置きそれにパンチを食らわした。
ビデオデッキにはコメディもののビデオをセットした。ビデオ見ながら笑い転げて、
じゃれあいながら彼のボディにタッチ。ホラーもので怖がりの彼をビビらし俺に抱き
つかせようとも思ったが、俺自身がビビってしまう可能性があるため却下。
冷凍庫にはオレンジ味のアイスキャンディ。棒状だ。これを風呂上りの彼にすすめる。
バスローブ姿の奈良。彼の可愛い口を出たり入ったりする棒状の物体。想像しただけで
勃起ものだ。
これまではお互いに相手の家に泊まったりしたことがなかった。俺が彼の家に遊びに
行くパターンが多いのだが、俺と彼の家は歩いて15分程度なのでどんなに遅くなっても
戻ってきていた。彼の家には母親と姉さんがいて両方共すごく良い人なのだが、長時間
相手をしているとどっと疲れてしまう。
この間いつものように彼の母親、姉さん、俺と奈良でゲームをしている時、俺が頻繁
に奈良をじっと見つめていることを姉さんに突っ込まれて、咄嗟に「奈良の顔、モロに
俺のタイプなんですよ。女の子に生まれれば良かったのに」
なんて嘘をぶっこいてしまった。彼女はニヤニヤして俺を見つめてた。一瞬俺の奈良
への気持ちがバレたかと思い焦った。
奈良は美形だが女っぽいというわけではない。男としてはかなり華奢だけど。もう少
し男らしくなると本当に俺好みになるだろう。彼とは高校に入ってから初めて知り合っ
たが1年生の頃から妙な色気がある奴だった。俺はかなり前から彼に対して恋愛感情を
抱いていた。彼にも周囲にも気づかれないようにそっとその感情を育ててきたのだ。
夜は矢神川の花火大会。去年は不良仲間10人くらいでぞろぞろ見に行った。でも今年
は俺と奈良と二人っきり。去年彼の浴衣姿を初めて見たのだが、時間が経つにつれ浴衣
が崩れてきて胸がぱっくり見えてきた。胸の中央には俺の彼への誕生日プレゼントの銀
のネックレス。もうちょっとで彼の乳首が見えそうで見えなかった。
初めての合体……は無理か。フェラまではクリアしたい、そんな16歳の一つの夜なのだ。
おっと、シーツを取り替えよう。丁寧にベッドメイキング。皺一つ無い。このシーツ
が乱れるわけだ。奈良用の枕を壁際にセットし、ティッシュをベッド脇に置いて準備完了。
彼を壁に押し付けて逃げられないようにする。そして……ああ、妄想はこれくらいにしな
いと。だって現実は予想通りには進みはしない。障害物はつきものだし。だいたい奈良と
は普通のクラスメイト関係なのだ。いきなり今夜ホモ行為に走るというのもかなり非現実
的なのだが、この暑過ぎる夏が俺を前へ前へと押しやる。