矢吹健太朗のBLACK CAT★ 黒猫No.264

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誰にも知られず最後の命が燃え尽きる

昭和49年5月、千葉県南房総の畑から、まだ死後間もない若い女性
の死体が発見された。この死体は、畑の所有者Nさん(68歳)が久し
ぶりに肥溜めの手入れをしようと、ひょいと中を覗き込んだ時に発見さ
れた。警察の調査によって、その女性は一ヶ月前から行方不明となっていた、
東京都中野区に住む女子短大生K子さん(19歳)であることがわかった。
現場の状況から、自殺や他殺と考えることはできなかった。K子さんに
なんらかのやむをえない事情があって肥溜めの上にしゃがみこんでいるうち、
誤って落ちたのだと推理された。というのは、肥溜めの内側の壁には
無数のひっかき傷があり、K子さんの爪も全部はがれてしまっていたからだ。
K子さんは事情により、誰もいない場所を選んでおり、また、若い女性
として絶対に見られたくない姿であった、という理由もあり助けを呼ぶに
呼べない状況だったろう。解剖の結果、K子さんは、死ぬまでに3リットル
の糞尿を飲んでおり、肥溜めに落ちて少なくとも12時間は、糞尿に
まみれて生きていたことがわかった。