ロボット競技大会当日。ついに会場到着。
でもその途端僕に湧き上がる、寒さに身を締められるような変な震え。
そして、下半身にじりりと広がる不快な痺れ。
緩めてしまえばたちまち溢れ出してしまいそうな、それは、尿意。
天馬君と2人で作ったロボットを信じて精一杯やってみる。
高専の人たちを見てそう誓ったものの、僕の体はまだ心についてこないみたいだ。
緊張で強張る体、その末端の栓を閉めることを意識する度、返って尿意は強まる気がする。
もうがまんできないよ。
「天馬君ごめん、僕ちょっと……その、トイレに行ってくるよ……。」
「そっか?あ、じゃあ俺も行っとこうかな。」
天馬君は僕とは対照的にとても余裕の表情だ。
いや余裕というよりはむしろ、いつもより楽しそうな風でさえある。
楽しみにしてた大会なんだから当然なのかな。
僕は天馬君と2人で何かができるのは嬉しいけど、
大会自体に期待するような、そういう楽しさは正直まだよくわからないや。
「連れション♪連れション♪」
ぽんぽん、と背中を叩かれた。
天馬君なりに緊張をほぐそうとしてくれてるのかな?
そのままの勢いでトイレへと向かう僕たち。
人のいないトイレの、いちばん奥の白い小便器に陣取った僕の隣で、
天馬君ももぞもぞとズボンの前をまさぐってる。
「そういえば沖野学園、またなんか仕込んでるのかな。
せっかく星沢が来てくれてるんだし、いきなり初戦では当たりたくないなあ。」
「沖野学園?」
天馬君の意味深な呟きに、ブリーフの前開きを開く手を止めて僕は尋ねた。
「そ。いつも対戦相手の妨害をして勝つようなロボットを作ってくるんだ。
人呼んで『魔改良』。」
「魔改良……。」
精一杯やると決めた僕にず〜んと何かが圧し掛かってくるような感覚。
いやいや不安に負けちゃいけないと思い直すも、その間、一瞬の沈黙と硬直。
そんな僕を見てはっっ、と青ざめる天馬君。
「ご、ごめん!俺、無神経にまたつい……。」
天馬くんはこっちを向いて手を合わせて頭を下げる。
それはいいんだけど……ちんちん、出しっ放しで謝られても……。
ああ、あと、用を足す時はちゃんと皮をめくろうね。
ん?ズボンの前開きから白い布が覗いてる?
そういえばこないだ貸したブリーフ、まだ返してもらってなかったっけ。
パンツ返してなんてあんまり聞くものでもないから、特に催促はしてなかったんだけど。
ほのぼの(・∀・)イイ!!
ついぼやんと湧き上がる回想。
それはパンツを貸した日の放課後の部室。
制服に下半身だけ紺ジャージの長ズボンという姿でテーブルに腰掛けた天馬君。
腰にブリーフラインの浮かんだジャージの中が気になっていた僕は、早速切り出した。
「で、どうなの?」
「なにが?」
きょとんとしている天馬君を、ちょっときつめに問い詰めてみる。
「パンツだよパンツ。今君の穿いてる僕のパンツ。
まさか汚したりしてないだろうね?」
彼は困ったような顔で上を見上げて視線をそらしながら答える。
「う〜ん。そんなこと言っても、下着って汚すものだろ〜?」
「まあ、程度によるかなあ。」
僕は答えながらにじり寄った。
「せっかく貸してくれてワリィんだけど、ちょっと汚しちゃったかもしんない。
ちゃんと洗って返すから、勘弁して。」
「ちょっとねえ……どれどれ?とりあえず確かめさせてね。」
天馬くんのジャージに手をかけて、内側で結んだ腰を締める紐を解く。
「わっ!?」
ジャージをずりおろしてパンツの前を見る。
「あれ?なんか染みてるなあ。」
顔を赤くして沈黙する天馬君のブリーフの前をぺろりと裏返すと、
そこには黄色い染みが2つ、そして上の方にパリパリした染みがじんわりと。
「天馬君……これなに?」
意地悪な質問に、そっぽを向いておずおずと答えてくれる。
「なにって……ん、その、授業中にふと星沢のパンツ穿いてること意識しちゃって、
そしたらなんかこう、込み上げてきちゃったっていうか……。」
うわ、ほんとにそんなことになってるなんて。
そんなこと言われたら、僕だって、もう、我慢できなくなるじゃないか。
「天馬くん、ちょっと、そのままにしててよ。」
「え?あ、うん。」
天馬くんのジャージを下ろして、僕もズボンのベルトを外す。
「ほしざわ?」
「いいから。」
ズボンをストンと落とすと、僕ら2人ともおんなじ白いブリーフだ。
制服に、靴下に、生足に、白いパンツ。
僕はその格好で天馬君に抱きついて、彼の股間にもう硬くなってた僕のをすり付けた。
「わわっ!」
「天馬くん、僕だって君のことを考えたらこうなるんだよ。」
はっ、はっ、と息を吐きながら腰を動かす。
すぐに天馬くんのも固くなって、僕ら布越しに同じ熱を確かめ合う。
ほしざわ、と天馬くんがとろんとした声で囁き、腰を揺さぶる。
自分の敏感な芯で相手の硬さを上下になぞったり、右に左に動かしてごりごりとこすれ合わせたり。
ほしざわ、天馬くん、そう声をかけながら、時折あ、とかん、とか甘い声を漏らしながら、
やがて僕らはそれぞれの快楽を極める。
「よごしちゃうよ……。」「いいよ、このまま……。」
極めて、突き抜けた。瞬間訪れるどくんびくんという性の鼓動。
先に弾けた僕を感じて天馬くんも震える。
僕らはぴくんぴくんと繰り返す互いの絶頂を感じながら、2人でパンツの中に熱い液を溢れさせた。
はぁ、はぁ、と息を整えて、僕は囁いた。
「ほら、僕もこんなに汚しちゃった。」
「んっ……んっ……、お、俺も……。」
「だから、いいよ。おあいこだもん。おんなじだもん。」
ふるふると快感の余韻を体にめぐらせながら、僕らはそのまましばらく抱き合っていた。
結局その日はそのまま帰ったけど、僕は家で服を脱いだ後もう一回自分でしてしまった。
僕のパンツを穿いて帰った天馬くんがそれからどうしたのかまでは、さすがに未だ聞いてない。
はっと我に返り、自分のがこんなところでガチガチになっていることに気付いて、
慌てて深く小便器に身を近づける。
そして謝り続けている天馬君にちょっと聞いてみた。
やっぱり少し恥ずかしくて、伏目がちになっちゃうけど。
「あのさ……今日のパンツ。ひょっとしてこないだ貸した僕の?」
天馬君はちょっと照れた風になりながら答えた。
「うん。あれっきり学校に持ってくの忘れててさ。今朝気がついて穿いてきたんだ。
ほら、勝負パンツってやつ?」
「そっかあ。はは……。」
天馬くん、何か微妙に違う気がするよ?
心の中でツッコミながら乾いた笑いを返す僕に、天馬くんはニコっと笑って言った。
「けっこう、気合い入ってるぜ。おかげで。」
彼を見ていたら、なんとなく体が彼と彼が楽しみにしてるこの場所に馴染んできた。
緊張がほぐれる。
「それ、そのまま持っててよ。役に立つならその方がいいや。
さ、早くすませて会場に行こう!」
「ありがと。うっし、やるぞー!」
並んで、2人でたくさん出した。
緊張も、不安も、体の外に抜けてく感じ。
もう大丈夫。僕たちは、イケる。
そう心と体に決めて、2人で一緒に開会式へと向かった。
<了>