西野つかさを応援するスレ Part54

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804挑戦者 ◆7MUNiShino
「淳平くん、私達別れよう」
『え?』
「きっと、私達このままじゃ駄目になっちゃうと思うの。淳平くん言ってたじゃない、大学卒業したらアメリカに行って映画監督になるための修行がしたいって」
『西野は、その、ついては来てくれないの?』
「そりゃ淳平くんと一緒に行くことは出来るよ。私だってそうしたいって気持ちはある。でも今のままじゃ、お互い前に進めないと思うの。
私、淳平くんといると幸せすぎて、このままでいいんじゃないかって思ってしまうことがよくあるの。それはお互いの夢に対して足枷になってると思う」
『確かにそうかもしれない・・・・・・俺も同じことを感じる時はある。西野さえいれば、他には何もいらないって。
それは、ある意味、前進することを拒んでることになるもんな。でも、だからって・・・・・・』
「何もこのまま一生離れ離れになるつもりじゃないよ。今は距離をおいて、それぞれの道を進んでみようってことだよ」
『でも俺アメリカに行くんだよ?隣町に引っ越すのとは訳が違う。そのまま疎遠になってしまう可能性だってあるよ・・・・・・西野だって新しい男を作らないとも限らないし』
「何言ってるのよ、私が淳平くん以外の男に惹かれる訳無いじゃない」
『ヘヘ、アリガト。でも・・・・・・』
「それに、大丈夫。お互いの夢を追いかけて自分の道を歩んでいれば、きっとまた会える日が来る」
『え?それどうゆう意味?いったい西野の夢って何なの?』
「それは今は言えない。言うと淳平くんの為にならないと思うから」
805挑戦者 ◆7MUNiShino :03/08/13 11:56 ID:JE2x/Pay
あれから3年が経った。アメリカに来てから西野とは一度も連絡を取ってない。話し合って決めたことだ。連絡を取ってしまえば、距離をおいた意味が無いと。
未だに西野が発した−お互いの夢を追いかけて自分の道を歩んでいれば、きっとまた会える日が来る−という言葉の意味はわかってない。訳もわからず、ここまでやってきた。
順風満帆とは言えないまでも、それなりに収穫のある日々を過ごせたと思っている。
「おーい、ジュンペー!早く来い!」
声の主はコミヤーマ氏。アメリアかでもなかなか名うての実力派映画監督である。
アメリカに来てからずっと、公私に渡ってお世話になっている人だ。あの人にはいくら感謝してもしきれないくらい感謝している。
コミヤーマ氏についていこうと思った動機は、当初は不純なものだった。
アメリカに来て右も左も分からない状態、英語さえ儘ならない状態の俺に優しくしてくれた、それだけのことだった。
しかしコミヤーマ氏にお世話になっている内に、映画を撮る技術の高さに惚れ込んでしまった。
凡人には無いただならぬセンスを感じ、自分の未熟さを痛烈に実感した。名監督とはこうゆうの人のことを言うのだなと。
この人についていって教えを乞い、技術を盗めば俺は成長出来る、そう感じた。そして俺のコミヤーマ氏への心酔ぶりは次の言葉で決定的となった。
(ジュンペー、俺は誰にでも優しくする訳じゃない。俺はお前が映画を撮るセンスがあって、映画へ対する情熱も凄いものを持ってると思ったからこそ、
お前のことを目にかけてやってるんだぞ。今はがむしゃらに勉強をしろ。映画はセンスだけでは撮れない、経験がモノを言う。頑張れ)
俺はこの時、一人前になるまでこの人に絶対ついて行こうと心に決めた。ついて行かなければならないと思った。
コミヤーマ氏のあの言葉は、このアメリカでの修行生活を支えてくれている。辛いときがあれば、あの言葉を思い出して頑張れる。
『はーい、今行きまーす!』

でも俺という人間を、この決して強いとは言えない人間を、根底から支えてくれているのは、やはり西野の存在だ。もう3年も会ってない。
でも時間の経過とは関係無しに、西野の存在は今でも俺のなかで大きいもので在り続けている。
西野も俺のことを想い続けてくれてるのだろうか・・・・会いたい・・・・
国境を隔てているとはいえ、同じ地球という惑星に住んでいるのだから、無理にでも会いに行こうと思えば行ける。
でもそれをしてしまうと、西野のあの覚悟を無駄にしてしまうし、自分自身にとっても良くない。
会いたいという気持ちに嘘はつけないが、今は堪えて頑張るしかない。
むしろその会いたいという気持ちこそが、俺を前へ前へと邁進させているのだから。今はただ夢に向かって突き進むしかない。
806挑戦者 ◆7MUNiShino :03/08/13 11:57 ID:JE2x/Pay
「ジュンペー、今度結構でかい作品を撮ることになったんだ。ケアヌ・ルーブスとかが出演するんだが、その作品の助監督をお前にやってもらいたいと思う」
『えっ!?本当に俺がですか?だって、俺まだまだ若造だし、俺より経験がある人だっていっぱいいるのに・・・・・』
「イヤなのか?なら止めにしてもいいぞ」
『い、いえ!とんでもない!やらせて下さい!俺、やります!』
「お前の助監督抜擢は、異例中の異例のことなんだ。周りの目も厳しいだろう。頑張れよ」
『はい、ありがとうございます!』
西野やったよ・・・・・・何と助監督に任命されてしまったよ。今まで雑用的な仕事ばかりだったけど、これでやっと本当の意味で映画制作に携われるよ。
しかもあのケアヌ・ルーブスも出演するんだぜ。昔、二人で一緒に見た映画に出てたあのスターと一緒に仕事が出来るんだぞ。やったよ。
『ケアヌ・ルーブス氏が主演なんですか?』
「いや、違うぞ。今回の主演は女優だ。お前と同い年くらいの、若手の。名前はまだあまり売れていないが、凄い大物らしい」
『へー、そうなんですか』
凄い人っているもんだな。この年で大作映画の主演女優か。俺も負けてられないな
「明日早速、この映画撮影に携わる人間の初顔合わせがあるから。寝坊しないように早く寝ろよ」
『はい!俺、頑張ります!』
「ハハ、頑張るのは良いが、あまり気負うなよ」
興奮して殆ど眠ることが出来なかった。夢に見た、本当の映画撮影。それが現実のものに・・・・・・。
夢の始まりはいつからだったか。泉坂高校で映研を発足した時?入学祝いにビデオカメラを買ってもらた時?映画が好きだと気づいた時?
その答えはわからないけど、映画監督が俺にとって天職であることは間違いない。
こんなに幸せな夜は、西野とやり直そうとお互いの愛を告白しあった日の夜以来だ。嬉しすぎる。
807挑戦者 ◆7MUNiShino :03/08/13 11:58 ID:JE2x/Pay
「今夜は新作映画<石の巨人>の撮影のためにご尽力して頂く皆様にお集まり頂きました。まずはメンバーの紹介から始めたいと思います」
「こちらは、監督のコミヤーマ氏です」
「どうも、皆さん力をあわせて素晴らしい作品を作り上げましょう」
「続いては助監督のジュンペイ・マナカ氏です」
『ど、どうも。ジュンペイ・マナカです。未熟者ですが、頑張りますのでよろしくおねがいします』
心臓がバクバクなっている。今までに経験したことの無いくらい緊張してる
「こちらは皆様ご存知、ケアヌ・ルーブス氏です」
「ヘイ!ミンナ!よろしくね!」
「そしてこちらは、まだ新人ながら今回主演女優に大抜擢された―――――――」
俺は目を疑った。
「今回主演をやらせて頂くことになりました、西野つかさです」