【一見さん】時計購入相談【大歓迎】Part15

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高校三年のときだった。僕には当時、二年付き合っていた彼女がいた。
五月の終わりくらいだったかな
お茶してたら、背中のほうが痛いって言うんだよね。
医者に行って観てもらったほうがいいよ
と言って彼女を抱えて家まで送った。

そしたら、翌日から何の連絡も無く、学校休んだんだよね。
携帯なんてまだ高い頃で、ポケベルしか連絡手段が無くて。
彼女の家に電話を掛けてみたら、母親が出て、入院したっていった。

お見舞いにいったら、真っ青な顔した彼女が寝てて。
病室の外で母親の話を聞いたら
すい臓ガンで、あと一ヶ月だって言うじゃない。
冗談でしょう?一昨日にはあんな笑顔で楽しそうにしてたんだぜ?
病室に戻ったら、彼女の顔をまともに見れなった。
あんなにも一秒が惜しいって思ったことは無かった。

学校の帰り、毎日病院へ行った。
一日一日と目に見えて痩せていく彼女に対して
何もできない自分が本当に情けなく。
悲しい雰囲気を出すと、心配までしてくれて。苦しいのは自分なのに。
だから、笑顔で接して
彼女に出会えてよかったっていう気持ちが精一杯伝わるようにしようと。

亡くなる二日前、もう冷たくなってしまった手で
ありったけの力で、僕の手を握り締めて、
『ありがとう、本当にありがとう。』って何回も言ってくれた。
ぼくは彼女の手を握り返し、声を上げて泣いてしまった。

ありがとう、っていう言葉が
こんなにも重いものだとは思わなかった。