県内約40の病院でつくる「県院内感染対策研究会」(事務局・信大病院)は、ほとんどの抗生物質が効かない「多剤耐性菌」の早期発見や封じ込めに向け、全県レベルで感染症の情報を共有するネットワークを構築する。
多剤耐性菌の保菌者や発症例の情報を各病院が共有、監視を強めることで効果的な対策につなげる。年度内にも運用を始めたい考えだ。23日、信大病院で開いた会合で骨格を固めた。
9月には帝京大病院(東京)で、多剤耐性アシネトバクター菌による院内感染で多数の死者が出ていたことが判明するなど、多剤耐性菌への対策強化は医療現場の大きな課題となっている。
新たなネットワークでは、参加病院が最低月1回、多剤耐性菌を含め、各病院で検出された細菌名や発見日時、患者情報などを入力。
県内のどこでどんな細菌が出現しているかをデータベース化し、参加病院に公開する。各病院は、ほかの病院と自らの状況を比較することで、有効な対策を取ることができる。
また、検出状況を信大病院臨床検査部の医師らが確認し、特に注意が必要な菌が報告された場合は個別に対策を助言。参加病院からの相談も受けるという。
研究会によると、現時点では信大病院をはじめ、県内の23病院が参加を検討している。システムの細部や運営経費の負担、入力する情報の詳細などは今後詰める。
同病院臨床検査部長の本田孝行医師は「感染症で亡くなる人をなくすため、県を挙げて対策に取り組むための基盤になるシステムにしたい」と話している。
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