【ネカマ】うんぴ◆BMWhZ4BQa6に謝罪を要求する。【コテ厨】
朝か夜かは分からなかったが、10日目に氷から引き上げられた時に、悪魔の姫君が俺のことを見物しに来た。
病的に白い肌をしていて、目と唇は薔薇のように赤かった。
「ごきげんよう、居心地はいかがかしら?」 この第一声は今でも頭に染み付いて離れない。
ふん、俺は答えてやった。「貴女にお目にかかることができたのですから、全く悪いことばかりとはいえません」。
気まぐれだろうが、姫は口元に微笑を浮かべて、貴方と踊ってあげてもいいのだけど…と切り出した。
この地獄のどこかに、兄チェーザレが植えた聨娟の薔薇が咲いているから、それを探して取ってきて頂戴……
途方も無い要求だったが、束の間でも氷の外へ出たかったから、その申し出に飛びついた。
許可証のようなものだと歪な形の黒い人形を渡されて、行動の自由を保障された。
起点が最下層だったのは却って楽だったかもしれない。上へ上へと進めばいいんだからな。
口で言うほど楽じゃなかったが。五日間の探索で、やはり色んな奴を見たぞ。
w名無しが棘をあしらった鎖で繋がれてギリギリと締められていたりな。
聨娟の薔薇が咲いていたのは、第六圏の異端者の地獄だった。
炎が噴出す湖の対岸に、艶やかな光を帯びて薔薇が咲いていた。
飛び込んだら焼け死ぬのではないかと怖かったが、もう地獄にいるのだからと自棄になって飛び込んだ。
ここからが大変だった。炎がまるで煮え湯のように噴出していて、手を伸ばしても熱で頭が真っ白になってな。
対岸にたどり着いたのは、後から計算すると飛び込んでから17日後のことだった。