☆。.・'゜☆。ONCE UPON A TIME 3☆。.・'゜☆

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86氷雪 ◆jKdJ051mHQ
三戦英雄傳
第四十六回〜洛陽炎上、そして遷都へ〜

 さてさて、偽クマッタという一人の狡知に長ける人物の登場によりさらに乱れを見せる後漢。
 三公のうち、空席になった司空の座。大尉・小魔玉は黄巾賊討伐に出かけたとのことですが、
どうなっていたのでしょうか。

 黄巾賊は内部の統率が乱れてはいるものの、野望という名の結束で繋がっており、人々の国へ対する厭世と
絶望が新たな入隊者を呼び込み日に日に勢いを増してゆきました。
 当初、黄巾賊と官軍は渭水を挟み長きに四月に渡り膠着状態を見せておりました。しかし、黄巾賊の士気と
兵力は底を見せず、官軍は敗退に敗退を重ね、とうとう賊軍は都・洛陽にまで迫っておりました。

 小魔玉は急ぎ晋国にまで援軍を要請、晋国は袁術を総大将に副将を学徒出陣、配下として奇矯屋onぷらっと、
ひょーりみ、中常侍うんこ、荀攸、郭図、文醜など大将百名、総勢十万もの援軍を送りました。

袁紹:「公路……お前は子が生まれて間もない。子の父親をみすみす死なせては、儂も伯父としての面目が
立たぬ。なにもお前でなくとも人材は他にいよう」
袁術:「いえ、行かせてください。どこにいようとも死ぬ者は死ぬのです。ここで死ぬならば、俺の
天命もそこまでということでしょう。戦で父を亡くすのなら、それも運命。我が子うんぴも兄上を怨みますまい」
袁紹:「じゃが、お前」
袁術:「うんぴには八戸のぶながという守り役と、公爵という一流の役者、それにスコティッシュフォールドなる
胡人から買い受けました猫があります。母親から受けない分の愛情もめいいっぱい、受けて育ちましょう。
そもそも、この乱世に於いて父も母も二親とも居らぬ子のなんと多いことか。そうした世を立て直すのが兄上と俺の
夢でしょう。失敗を懼れていては夢など、波間に揺れる泡の如く消えてゆきましょう」
袁紹:「体に、気をつけてな。お前はいつも寝相が悪いから腹を出して冷やすことがある」

 袁紹は袁術の手を取り、別れを惜しみました。
87氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/03(水) 19:51:53
袁術:「いつのことですか。全く、兄上はいつまでも俺が三つやそこらの子供だと思っておられる。
もう会えないような湿っぽい空気は止めて下さいよ。また会えますよ」
袁紹:「奥方の丁原殿はいかがする」
袁術:「奥は元々賢い者。今は、うんぴを愛することができなくとも、いずれ和解するときは来ましょう」

 丁原はうんぴを無事出産したは良いものの、「目が二つあるところが小魔玉に似ている」だの
「鼻の穴が二つあるところが小魔玉を思い出す」だの「手が二本あるのが、足が二本あるのが」と
うんぴを見る度に小魔玉を思い出し、乳さえ与えぬ状態でありました。

 身分の高い家の奥方は乳母をつけ、自分で授乳するということをしない場合もあります。
 しかし、丁原自身が己の気持ちとうんぴの存在に一番苦悩していたのでした。

 後漢・晋連合軍と黄巾賊は洛陽で激突、霊帝は幽州へ遷都なさいました。

楊彪:「お止めください。この洛陽の都はずっとずっと後漢の皇帝が治めておられた先祖伝来の地。
それをどうして捨てることができましょうか」
董卓:「大尉殿のご命令なのだ」
まあc:「ふぉふぉふぉ、遷都とな」
李儒:「まあc殿……大尉殿の命にご不満とでも?」
まあc:「ふぉふぉふぉ、洛陽の空気も焦臭くなってきおったからのお。幽州の澄んだ空気も体に
良いじゃろう。のお、長文?」
陳羣:「はい。お祖父様」
楊彪:「陳長文様……清流派を代表するあなた様まで……見損ないましたぞ」
陳羣:「人聞きの悪い。私に何を期待されていたのです? あなたから私が伯丕に見えるならば、
私は伯丕なのでしょう。私が屈原に見えるならば、屈原なのでしょう。結局は、見た者の認識なのです。
それで良いではありませんか。訂正などしますまい」
楊彪:「……」
陳羣:「それに此度は晋国よりあなたの義兄様が援軍に駆けつけてこられるとか。義兄様を
もう少し信じてはいかがです?」
楊彪:「わかり…ました」
陳羣:「さあ、わかったのならもう行きなさい。私は偽クマッタとやることがあるので」
88氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/03(水) 19:53:31
 陳羣の側には偽クマッタが控えておりました。
 一方そのころ、城外では賊と官軍が対峙しておりました。

聖天使ザビエル:「この世に神なんていません!! なぜなら、僕が神だからです!!! アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
馬元義:「聖天使ザビエル様は、この戦に勝てば後宮の美女でも宝物でもお前らに褒美としてくださるぞ!!
励め!!!」
黄巾賊1:「ひゃっほー! さすがザビエル様、話せるお方だ!!」
聖天使ザビエル:「そうだよ。後宮なんて幼女から熟女まで選り取り見取りだよ!! エロゲなんていらない世界だ」

 やりたい放題の黄巾賊。官軍総大将の小魔玉もこれには手を焼きました。しかし、小魔玉は小魔玉で
元・医師の経験を生かし、どんなに身分の低い兵士の病も手当てし、体に膿を持った兵士を見つけては
口で膿を吸い出し治療するという念の入れようでしたので「小魔玉様のためなら死ねる!!」という兵士ばかりでありました。

小魔玉:「う〜ん、ザビエル君もなかなかやるなぁ。楽しくなってきました( ^∀^)ゲラゲラ 」
袁術:(……これが、後漢の大尉、か……)
学徒出陣:(馬鹿馬鹿しいぞ。ヴォケ)
袁術:「あ、これ、学徒出陣よ。どこへ行く」
学徒出陣:「厠へ行くのに断りも必要ですか?」

 学徒出陣が厠と偽り、場を離れようとしたそのとき、城のほうで火の手があがりました。

偽クマッタ:「賊軍になぞくれてやる宝物は、一つもないわ!! ざまあwwwwww」
陳羣:「フフフフ……」

 どうやら火を点けたのは偽クマッタと陳羣のようでございます。
89氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/03(水) 19:55:23
袁術:(なんと、漢室内の内部分裂もここまできておったとは……)
黄巾賊:「美女は? 宝物は?」
馬元義:「むう、さすが役人。やることが一々汚ねぇ」
学徒出陣:「と、とりあえず消火だ。ヴォケ」

 学徒出陣が郭図と共に消火に駆けつけると、城の中から不思議な光が差してきました。

学徒出陣:「な、なんだ……あの光は」
郭図:「何やら井戸の中からのようですな。埋められているようですが、掘り起こしてみますか」

 郭図と学徒出陣が井戸を掘り起こしてみると、中より宮女なのでしょう。一人の美女の死体が
出てきました。

学徒出陣:「推定Eカップ……惜しいことだ」
郭図:「女の胸が輝いておりますぞ」
学徒出陣:「神の領域、Eカップなのだ。輝くこともあるだろう。ヴォケ」
郭図:「失礼!!」
学徒出陣:「あ、郭図、いくらEカップとはいえ、死後硬直後の胸では……いや、死姦はよくない!!」

 郭図が宮女の胸をはだけると、そこには宝玉でできた印がありました。

郭図:「受命于天 既寿永昌……こ、これは」
学徒出陣:「なんだ? 本を百冊読んだ俺様でもわからんぞ。ヴォケ」
郭図:「で、伝国の玉璽ですぞ!! これさえあれば皇帝の座も思いのままですぞ!!」
学徒出陣:「な、なんだとー!! ヴォケ!!!!」

 伝国の玉璽を見つけてしまった学徒出陣と郭図。果たして、二人の運命は?
 権力という魔物は人を狂わせるとは言いますが、この二人、正気を保つことができるのでしょうか。

 三戦英雄傳、続きは、また次回。