☆。.・'゜☆。ONCE UPON A TIME 3☆。.・'゜☆
1 :
八戸 ◆M911CbdudQ :
2 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 01:50:51
一乙
前スレでwiki未編集の部分は貼っといたほうがいい?
まーた糞スレか
4 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 02:33:17
>>2 落ちる前に編集するか、このスレに貼るかだな
5 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 03:05:05
専ブラだからログは残ってる
編集の仕方さえ教えてくれれば俺がやる
6 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 03:13:49
さすがに教えれん
7 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 04:26:04
氷雪の書いた風俗モノもwikiにのせるべき?
8 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 04:57:25
三戦英雄傳の42話までとのぶながの野望の1話を編集しておいた
かなり疲れたんで感想は他の人よろしく^^
9 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 11:59:47
チンポにしていい?
10 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 13:10:52
11 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 13:12:47
12 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/25(金) 13:20:28
聖三戦学院・・・
13 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/07/25(金) 22:31:48
八戸のぶながさん、スレ立てありがとうございます。スレを立てたばかりなので、
助かりました。
>>7 恥ずかしいので、そっと忘れていただければと思います。お気遣いありがとうございます。
>>8 早朝にもかかわらず、まとめ、ありがとうございます。
お疲れ様です。
14 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/26(土) 02:41:03
腐女子のオナニー小説まだぁ?^^
早くしろよKY女wwwwwwwwwwwwwww
そんなんだからリアルでもてねぇんだよ喪女がwwwwwwwwwwwwww
15 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/26(土) 15:17:03
うんぴ小説まだぁー?
16 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/07/29(火) 00:38:34
期待age
17 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/02(土) 05:57:17
期待age
18 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/09(土) 22:53:22
落ちる
19 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/10(日) 06:02:38
【三戦キチガイ四天王】
・クマッタ…四天王筆頭。非常識で矛盾に満ちたクマッタ理論の提唱者。強きに阿り弱きを嬲る卑怯者。
・アダルト…元は反クマッタの急先鋒だが、キチガイ同士意気投合し今やクマッタの右腕に。
・うんぴ…八戸につきまとうKY腐女子。発狂するとAA連投荒らしをする古いタイプの荒らし。
・氷雪…オナニー駄文を垂れ流す自称職人。上三人とは違い気持ち悪い文章を投下して陰湿に荒らす。
【糞クマッタ派一覧表】
・クマッタ
・うんぴ
・氷雪
・雑魚丸
・ロコ次郎三郎
・氷雪萌え
・熊谷左衛門尉彰憲
・w名無し
・四本指アダルト
20 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/12(火) 09:38:35
糞クマッタ派関連スレ晒しage
21 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/16(土) 04:28:42
^^
22 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/18(月) 22:44:39
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/三戦英雄傳・第三部予告_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
連載開始から数えること数ヶ月――。
そのあまりの下品さとグロ描写から、数々の波紋を投げかけてきた問題作『三戦英雄傳』。
西暦2008年冬、あの問題作が帰ってくる。
まだ出ていない固定は出演するのか? 影の薄いあの固定の行方は?
あの固定は悪役に終わるのか? 三馬鹿兄弟は無事天界へ帰還できるのか?
果物キラーの謎の行動は? 黄巾賊と後漢の関係は?
反逆者・うんぴの知られざる過去とは?
中原の鹿を射止める真の覇者の名は……?
さてさて、今回こそ完結なるのか。
三戦英雄傳・第三部は今冬投下予定。
23 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/18(月) 22:45:29
保守がてら予告。
24 :
永井 ◆5ld/Tu1ZSk :2008/08/18(月) 23:04:39
うんぴが本当に腐女子か調べてみたいものだ。今日からまのつく・・・
とか、クラスターエッジとか竜撃隊、も待てなんかをかたらせればある程度真偽がたしかめられるのだが・・
25 :
うんぴ@民部少輔 ◆9xUXn28CPE :2008/08/18(月) 23:10:07
(v=ФωФ)ρ だーかーらー俺は腐女子じゃなくてちょいオタだって何回言わせる気だ貸す!!!!!!!!!!11
26 :
永井 ◆5ld/Tu1ZSk :2008/08/18(月) 23:22:26
すまん、あんさんのことをよく知らんかったのだ
27 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/19(火) 06:27:52
キモホモとKY腐女子のスレ晒しage
何か書くか。何でもいいわけだろう。
さて、何書くかな。
■1話目
西の果てで救世主なる人物が生まれてから180年とちょいの時が流れた。
その頃、東の国の後漢は極盛期を向かえていた。市場には品物が溢れかえり、
国の倉は食品が腐ってしまうほどだった。
だが、いついかなる世にも不満を持つ者はいるものである。
ムシロ織りの劉備もその一人だった。
31 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/25(月) 23:25:42
>>30 携帯から投下ありがとうございます。
広夢さんは、劉備がお好きですね。
続き、楽しみにしています。また、お時間のあるときによろしくお願いします。
上げますね。
広夢さん、すみませんが、投下しても宜しいでしょうか?
投下します。
32 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/25(月) 23:27:29
三戦英雄傳
第四十三回〜丁原と袁術〜
胎児よ
胎児よ
何故躍る
母親の心がわかって
おそろしいのか
――夢野久作『ドグラ・マグラ』――
袁術:「おい、英梅! 丁原殿は、軍師殿は何処に?」
英梅:「それが、公路様……」
英梅と呼ばれた侍女は袁術の怒号に小さな体をびくりと縮めました。
時は栄安二年十二月十三日、冬のこと。木枯らしは凍てつくような寒さを運んで参ります。
英梅は困惑した様子で庭のほうを指さしました。
袁術:「また、池か!! なぜ、止めなんだ。相手は身重の女だぞ」
袁術は外套も身につけず、庭へ飛び出て行きました。
33 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/25(月) 23:28:40
庭の木々は、すっかり葉を落とし灰色の空に溶け込みそうな寂しさでございます。
「パシャ…バシャ……」
全てが死んだように動きを見せぬ庭の隅から、しきりに水音が響きます。
袁術:「何をしている!!」
「パシャ…」
欄干の掛かる大きな池には一人の美しい女が、寝間着のまま何度も頭の上から池の水を浴びておりました。
丁原でございます。
袁術:「丁原殿!!」
パンっと嫌な音が弾けました。丁原は池の中に倒れ、袁術は丁原を引き上げました。
丁原と袁術は庭石に凭れました。薄絹は水に濡れ、丁原の白い腿は青白く露出しておりました。唇も不健康な紫色を帯び、
目は虚ろ、ただ長い黒髪が衣に、肌に蛇のようにまとわりついているのでした。
西施捧心の故事ではありませんが、やはり美女は何をしても美しいものでございます。
袁術:「なにをしているのだ。丁原殿。貴殿は、一人の体ではないのだぞ」
丁原:「丁…原……? ああ、そうでした。私は丁建陽という男でした。
しかし、逆賊・小魔玉に嬲りものにされ、あの男の種を宿してしまった……
穢れてしまった……なんども、なんども湯浴みしても私の体は元には戻らない。
冬の冷たい水を浴びても腹の中の汚物は、私の体から流れ出ない……
私は、私は何者なのだ? 確かに私の体なのに、小魔玉の亡くなった奥方の子宮があり、
そこには小魔玉の種がある。私は女だから穢された、そうであろう?」
袁術:「小魔玉の医術は、神をも超えたのだ。貴殿は、確かに男、であった」
丁原:「男を男が穢すだと? そんな忌まわしい。私は男でありながら、男の劣情の対象に
されたというのか。違う! 私は男では無い! 女だったのだ。そう、私は女だ!!
…しかし、そうなると丁原という男はどこの誰なのだろう……」
34 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/25(月) 23:28:46
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
35 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/25(月) 23:30:13
丁原は、ふと唇へ手を当て、何か思い出すように細い首を傾げました。
袁術:(発狂のフリ、か……いや、芝居にも見えぬ……)
丁原の顔からは憎悪の表情が消え、まるで童女のような顔をしておりました。
袁術:「腹の中の子には、罪はあるまい」
丁原:「腹? 子……ぐぇええええ!! おぅぇえええええ」
袁術:「大丈夫か!?」
水に濡れ、黒光りしていた庭石は山芋のすり下ろしたもののような吐瀉物に塗れました。
丁原は背を深く曲げ、数回、汚物を吐き出しました。庭石を伝い、黄色い物体が
池の中に流入してゆきます。
丁原:「ええい! 忌々しいこの汚物め!!」
丁原は己の口元を袖で拭いながら、拳で己の腹を殴りました。
袁術:「止めんか!! お主のつらさはわかる。おまけに、この悪阻だ。怒りのやり場が
無いのもわかる。だが、子供には何の罪も無いのだぞ」
丁原:「しかし、これは逆賊の種だ! 生かしておけばあの逆賊の如き人間になろう」
袁術:「漢朝にこの人ありと言われた丁原殿が呆れるわ。それでは、貴殿は人の一生は
生まれながらに決まるとでも? それは孔子の教えに反しませぬか?」
丁原:「だが、これは紛れもない逆賊の血をひく忌まわしき赤子なのだ」
袁術:「しかし、母であるそなたを頼り、動いているではないか。子宮が種が他人のものであろうと
赤子にはそなたの血が流れておるのだ。たった一人頼るべきそなたに捨てられては、
赤子はどうして生きてゆけば良いのだ? 天下万民、漢朝のためとか申しながら、
赤子一人満足に幸せにできぬ人間にどうして大事を任せることができようか。なあ、軍師殿」
36 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/25(月) 23:31:14
丁原:「……蹴ってる…思えば不憫な赤子です。生まれながらに逆賊を父に持ち、母はその敵なのですから」
袁術:「俺が、父親になれば良い」
丁原:「ハッ、名門・袁家のお坊ちゃまの気紛れは犬猫のように人の子の運命をも弄ぶのですか」
丁原は自嘲するように、庭石の上に寝転びました。
袁術:「いや、気紛れではない。本気だ。俺には妻も妾もまだ無い。俺はその子の父親になりたいのだ。
共に、育てようではないか。漢朝を助ける忠臣として」
丁原:「公路様……」
袁術:「俺は小魔玉のように好色では無い。勘違いしてもらっては困る。ただ、目の前の赤子を
幸せにしたいだけなのだ」
袁術も丁原の横にごろりと寝転びました。二人の鼻先や眉に冷たいものが降りてきました。
袁術:「雪だ……」
丁原:「雪、ですね……」
遣りきれない二人の思いを消し去るように、空からは羽毛のような雪が舞い降りてきました。
ふわりふわりと。
袁術:「もっと、雪、降ればいいのにな。積もって、積もって、全部隠してしまえばいいのにな」
それから、五ヶ月の後、栄安三年夏五月。
晋国に一人の赤子が産声を上げました。
英梅:「旦那様! う、生まれました!!」
袁紹:「おお、無事か!!」
英梅:「はい、母子共に無事にございます」
袁術:「して、男か? 女か?」
英梅:「奥方様にそっくりの、可愛らしい姫様にございます!!」
37 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/25(月) 23:32:11
袁術:「おお、そうか!! では見に行くぞ」
英梅:「いけませぬ。産後の部屋は不浄のものでして縁起が悪うございます」
袁紹:「公路よ。お前がそんなに子煩悩だとは思わなかったぞ」
曹操:「名を決めねばなりませぬな」
袁紹:「そうじゃな」
袁術:「いえ、子育ては俺だけのものではありませぬ。二人で決めたく思います」
名門・袁家の袁術を父に持ち、美貌の母・丁原を持つこの赤子。
なんと幸せな赤子なのでしょうか。恐らく、これ以上幸福な赤子はいなかったでしょう。
袁術は待ちました。赤子と会えるその日まで。
やがて、五ヶ月の月日が過ぎ、丁原の産後の肥立ちも回復したとのことで袁術は
出産後初めて丁原と赤子に対面することになりました。
袁術:「奥よ、大儀であった……!?」
見ると部屋は荒れ放題、赤子の泣き声さえしません。
袁術:「どうしたというのだ!!」
38 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/25(月) 23:33:50
室内では丁原が髪を乱し、膝を抱え座っておりました。
床には赤子がキャッキャと笑っておりました。可哀想に母親に構ってもらえなかったのでしょう。
赤子の手には己の便が握りしめられていました。
袁術:「裕福な袁家に生まれながら、己の糞尿を玩具にしなければならぬ境遇……なんたる不幸……」
そのとき、袁術の口から思わず言葉が漏れました。
袁術:「うんぴ……」
そう、これが生まれながらの反逆者・うんぴ誕生の瞬間でありました。
さてさて、後漢の世はさらに乱れる様子。これから、どうなるのでしょうか。
三戦英雄傳、続きは、また次回。
※毎回のことながら、固定さん方には本当に申し訳ありません。
笑って許していただければと思います。
39 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/25(月) 23:44:27
袁術かっけー
40 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/25(月) 23:54:29
>>39 早速のご感想、ありがとうございます。
早く完結させたくて、投下しました。
完結まで見守っていただければと思います。
ありがとうございます。
41 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/25(月) 23:57:09
>>34 なるべく早く完結させたいので(遅くても、来年春中には)、
投下できるときに投下したいと思います。
それまで見守っていただければと思います。
ありがとうございます。
42 :
うんぴ@蝦夷大酋長 ◆9xUXn28CPE :2008/08/26(火) 00:07:38
(v=ФωФ)ρ これからはゲラゲラのことをお父さんと呼ばなくてはいけなくなるな・・・
43 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/26(火) 00:12:13
>>42 うんぴさんの反応が実は心配でした。
書き込んでくれて、ありがとうございます。
是非、「お父様」と呼んでみてください。
なるべく早く完結させたいので、見守っていてくださいね。
できれば、春中には完結させたいのです。
でも、思えばあと四話ほどで無理矢理完結できなくもないかもしれません。
44 :
うんぴ@蝦夷大酋長 ◆9xUXn28CPE :2008/08/26(火) 00:15:26
(v=ФωФ)ρ 全50話ならアニメ化できるNe!!!!!!!!!!11
45 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/26(火) 00:18:54
>>44 そうだNe!!!!!!1111!!!!!
うんぴさんの『のぶながの野望』も楽しみにしています。
46 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 16:00:08
三戦英雄傳
第四十四回〜偽クマッタの大いなる野望〜
晋国にて新たな禍の種・反逆者うんぴが誕生したころ、洛陽は相変わらずの乱れっぷりでございました。
霊帝は官位を売買し、商人ごっこと女遊びに興じ、後宮では小銀玉と中野区民憲章による小競り合い。
何年経っても、どうも中華というものは同じ歴史の繰り返しのようでございます。
毒舌美女・小銀玉と暴言インテリ巨漢・中野区民憲章……霊帝の寵愛の軍配は未だどちらにもついては
おりませんでした。
丁原を失った大尉・小魔玉は麻雀に耽る日々でしたが、黄巾賊対策に忙しく洛陽を離れることが多くなり、
司徒・王允は静かに時を待ち……三公と言えば大尉、司徒、司空でございます。司空に就任した中山幸盛は
どのようになったのでしょうか。
皆様は、以前陳羣が奴隷商人より買いました「春梅」なる混血の少女を覚えておいででしょうか。
陳羣という男はまこと恐ろしい男でございます。
陳羣は周公旦よろしく、春梅を中山幸盛好みの女に育成し、機を見計らいわざと中山幸盛の機嫌を損ない
詫びの品物として春梅を献上したのでした。
47 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 16:02:15
春梅:「ねえ、中山様。あの官吏気にくわないわ」
中山幸盛:「そうだな……アイツ俺より目立って気にくわないな。後でこっそり名無しで陛下に糾弾しておくか」
春梅:「私、陰湿な人、だーいすき☆」
中山幸盛:「あんまり褒めないでくれ。照れるじゃないか」
春梅:「照れてる中山様もかっわいいわ☆ 丸いお腹も頼りがいがあって素敵」
春梅は陳羣の意図を理解してかしまいか、清流派の敵となりそうな官吏を粛正させ、民から宝物を
強奪させ、内外から中山幸盛への反発を強めてゆきました。中山幸盛は中山幸盛で、春梅に溺れていました。
「男女はキスをしたころが一番楽しい。次に楽しいのは初エッチの後」とはよく言ったものですが、
中山幸盛も晴れて童貞を捨て全く周りが見えておりませんでした。政務を放り投げ、朝から帳を深く下ろし、
春梅と時が経つのを忘れ戯れる日々でございました。当然、民の不安、宮中の怨嗟の声は日を追うごとに
強まっていきました。民衆は勝手に投票所なるものを設け、「続投か、解任か司空・中山幸盛の進退」などと
中山幸盛の存在の是非を世に問いました。
――暴動寸前。ここに野心を秘めた一人の男がおりました。
三馬鹿兄弟の次男・偽クマッタでございます。
偽クマッタ:「やれやれ、大衆は俺様を休ませてくれないようだな^^」
偽クマッタは、ニヤニヤしながら蹴鞠をつきました。ポーンポーンと高く、高く鞠が宙に舞います。
48 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 16:03:28
三戦に舞い降りた天使:「偽クマ、なにを企んでるの? あなたの癖はお見通しよ。あなたはなにか企んでるとき、
必ず蹴鞠の話題を出すか蹴鞠をするのだわ」
渦中の司馬懿:「兄さん、止めくださいよ……僕、天界に帰りたいのですから」
偽クマッタ:「バーカ^^ もう中華は乱れに乱れてんだよ。これをどうこうしようってのがおかしいの。
つーかよぉ。もう俺様が統一しちゃえばいいんじゃねぇの? 俺様世界史検定2級持ってるし」
三戦に舞い降りた天使:「あなた、なに言ってるの? 私たちの目的は中華に平和をもたらし、天界へ帰ることでしょう?」
偽クマッタ:「あ? だから兄さんは馬鹿だって糞コテだって言われんだよな。あ、今は姉さんか^^」
渦中の司馬懿:「……兄さん」
偽クマッタ:「渦中の司馬懿よぉ、俺様も彼女がいるしいつまでも弟のお前の面倒なんか見てらんないわけ。
だから、いつまでも弱いうさぎちゃんやってるなら守ってくれる男見つけるなりなんなりしろよな。
糞コテだって言われるのも、自業自得^^ 叩きやガチホモが怖けりゃ家から出ないで、オナニー文章でも書いてれば?^^」
渦中の司馬懿:「……天界の彼女は、どうするの?」
偽クマッタ:「バーカ^^ 支配者になれば中華の巨乳は全部俺様の物なんだよ^^」
三戦に舞い降りた天使:「サイテー。女の敵ね」
偽クマッタ:「で?^^」
渦中の司馬懿:「どうやら、僕と、クマッタ兄さん、は袂を、分かつ時が来たようですね」
偽クマッタ:「せいぜいガチホモと発狂に気をつけるんだな^^」
49 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 16:05:00
渦中の司馬懿はしゃくり上げ、声を震わせながら偽クマッタに別れの言葉を吐きました。
三戦に舞い降りた天使は愛人生活から抜け出すわけにもいかず、ただオロオロとするばかりでした。
こうして三馬鹿兄弟はバラバラの道を進むことになりました。
偽クマッタ:「さてと……大衆をさりげなく扇動するか^^ 俺様賢いよなぁ」
偽クマッタは鞠を地面に置くと、さっそく洛陽の民衆の扇動に掛かりました。
民1:「無能なばかりか、出仕もしない中山司空には、もう我慢ならねえ!!」
民2:「解任じゃ!!」
黒人一揆:「一揆じゃ、一揆じゃ!!」
民3:「中山捕らえて腹の脂肪で人間蝋燭にしてやるだ!!」
偽クマッタ:「おいおい、止めとけよ。本人は能吏のつもりでいるんだからよ^^
今頃真っ赤な顔でぷるぷるしてるかもしれねぇけどよぉ(いいぞ、もっと俺様を
楽しませろ^^)」
使命を忘れ、暴走してしまった偽クマッタ。
なまじ才能を持った人間というものはなかなか生きにくいのが、この世のこと。
人に従うにも見ておれず、野心は募るばかり……偽クマッタのこの賭け、吉と出るか、
凶と出るか。
三戦英雄傳、つづきはまた、次回までのお楽しみ
50 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/30(土) 16:14:13
いつから三戦英雄傳はロコふるーちぇ伝説になったんだ?
51 :
八戸将軍 ◆djVAbnh0OI :2008/08/30(土) 16:22:26
更新乙
毎回楽しみに読ませてもらっている
これ将軍出てたっけ?
53 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/30(土) 16:55:58
うせろ^^
54 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 20:09:50
三戦英雄傳
第四十五回〜中山幸盛の末路〜
偽クマッタ。字、出身地共に不明。元は大将軍・何進の営む肉屋で働いていた。
蹴鞠と棒球が大変巧みで、何進肉店の運営する棒球集団の熱烈な信者であった。
何進肉店で働いたのも棒球好きが高じてのことと思われる。
TDNなる男色笑話も好んだ。
勉強熱心で面倒見は良いものの、奸智に長け、いつも悪巧みをする際には
蹴鞠の話題をするか蹴鞠に興じていたという。
弟には文弱で知られた渦中の司馬懿がおり、渦中の司馬懿の存在が彼を度々苦しめたとも
言われる。肉親の情愛を捨て非情に徹することができなかったことは彼の最大の誤算であり、
人間らしい逸話でもある。
偽クマッタの辣腕ぶりは古の名政治家・向こうの888、袁 宏道の再来とも賞賛されるも、
本人は詩歌には興味が無かったと言われる。彼の性質は占術師・八戸のぶながの
「治世の能臣、乱世の奸臣」という言葉に集約されるのではあるまいか。
惜しいことである。
――『晋書』偽クマッタ傳より――
さてさて、古の名政治家・向こうの888、袁 宏道の再来とも言われた偽クマッタ。その策略の行方たるや、
如何に……。
55 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 20:10:35
下男:「だ、旦那様、大変でございます!!」
中山幸盛:「なんだ…さっき寝たばかりだというに」
下男:「それが民が暴動を起こし、旦那様の首を寄こせとお屋敷の門前まで押しかけております」
中山幸盛:「門番に適当にあしらうように申しつけておけ…ったくそんなくだらないことで起こすな」
下男:「門番も既に殺されており、ここに暴徒が押しかけるのも時間の問題かと……」
中山幸盛:「だったら、大尉殿のお屋敷に加勢を頼むのだ。隣のようなものだ。すぐに駆けつけて
きてくれよう」
こうして、中山家の下男は大尉・小魔玉の屋敷へ応援を要請に行きました。
リンリン大友:「だーれー? パパ? パパは黄色い頭の人たちと戦うって、どっか行っちゃったよ」
下男:(大尉殿もこれが跡継ぎとは……気の毒に)
リンリン大友:「ねえ、おじさん僕とお話しよーよ」
下男:(……うわあ…天下の学者を何人も家庭教師につけて、これか……)
◆W0wczkw01o :「なにか、御用かな?」
下男:「それがし、中山司空の家の者。実は斯く斯く然々でして……」
◆W0wczkw01o :「それはお困りだろう。よし、俺が行こう」
リンリン大友の家庭教師で義侠心溢れる◆W0wczkw01o が和睦の使者を買って出たので、下男と
◆W0wczkw01o はさっそく門前の賊徒たちに交渉にあたりました。
56 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 20:13:33
中山幸盛:「なんだ。ちゃんと加勢が来たではないか」
春梅:「どうしたの? 中山様」
中山幸盛:「な、なんでもないよ」
偽クマッタ:「オラ、隠れてないで童貞司空中山幸盛出てこいよ。童貞の臭いが門までプンプンするぞ^^」
中山幸盛:「ど、童貞ちゃうわ!!」
偽クマッタ:「なに? 童貞の上に皮被りかよ^^ どうりでくせーわけだ^^ どっかの広告みたいに
タートルネックでも着てれば?^^」
中山幸盛:「ほ、包茎ちゃうわ!!!!!」
偽クマッタ:「ほらほら語彙が乏しいぞ。そんなんじゃ俺様たちは帰らないぞ^^」
中山幸盛:「疲れた……誰かに仕事押しつけたい……小魔玉様のように、小魔玉様のように」
春梅:「自己逃避する中山様もかっわいいわ☆」
偽クマッタ:「こいつ疲れるわけだ。民衆の声を装い、潜伏し自宅と街を行ったり来たりしてんだからな^^」
◆W0wczkw01o :(ここは民衆の長たるこの男と話し合ったほうが早そうだ……)
「お主、名は?」
偽クマッタ:「偽クマッタだ。お前は?^^」
◆W0wczkw01o :「◆W0wczkw01o だ」
◆W0wczkw01o は偽クマッタになんとか引き下がるよう頼もうとしました。が、その光景を
眺めていた中山幸盛は「小魔玉家の◆W0wczkw01o が偽クマッタに自分を売り渡した」のだと
思い込み、厠で首を吊り自害してしまいました。
57 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 20:14:44
そうとは知らない◆W0wczkw01o がいったん偽クマッタ一味を退却させましたが、報告に来たときは
既に遅く、中山幸盛は事切れ、首の縄は体重で切れ梁も折れておりました。
◆W0wczkw01o :「遅かったか……」
偽クマッタ:「あーあ、この巨体埋めるのも大変だぞ。民衆に渡して好き放題させて気持ちを
宥めて貰おうや^^」
◆W0wczkw01o :「やむを得まい」
中山幸盛の遺体は賊徒と化した民衆に引き渡され、臍には火を点けられ、その炎は約二ヶ月
洛陽の街を照らし続けたと言います。
臍蝋燭が灯ってから一ヶ月後、赤々と燃える炎を望楼から眺める青年が一人。中山幸盛の幼なじみ・陳羣でございます。
陳羣:「なんだ。張り合いの無い……」
まあc:「長文や、お前が消したのであろう。我が孫ながら怖いわい」
陳羣:「卑しい家の出の癖に、名門たる私の夢を先に叶えた中山幸盛が目障りなだけです。お祖父様。
その他にもいろいろありましたが……忘れてしまいました」
まあc:「おお、怖い。では、此度の騒動を起こした偽クマッタなる男も消すのかえ?」
陳羣:「あの男はしばらく泳がせておきましょう。陛下の覚えも目出度い男をわざわざ消す必要も
ありますまい」
まあc:「ほお、あの男が。陛下の覚えが目出度いとな?」
陳羣:「今、陛下は麻雀には飽き、蹴鞠に興味をお持ちです。蹴鞠で疲れた隙に偽クマッタが
甲斐甲斐しく冷たく冷やした茶を献じ、さらに偽クマッタの蹴鞠の上手いことが知れると
陛下は尚書令にまで任ずるご寵愛ぶり……」
58 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 20:15:46
陳羣は苛ついたように己の爪で親指を何度も弾きました。
まあc:「これ、長文や」
陳羣:「はい?」
まあc:「血が出ておる……」
陳羣の白く華奢な親指からは熟した柿のような鮮血が、ぷっくりと浮かんでおりました。
まあc:「まるで恋する女人のようじゃのお。ふぉっふぉっふぉ」
陳羣:「……」
まあc:「今度こそ、なれると良いのお。司空に」
陳羣はわずかに形の良い眉を潜め、親指から流れる血を舌で舐めました。
まあc:「しかしのお。仮に司空になれなんだら、また司空になった者を誅殺するのかえ?」
陳羣:「また? 止して下さい。お祖父様。人聞きの悪い。私の手はいつも白く清らかですよ。
代わりに汚してくれる者がおりますから」
まあc:「ふぉっふぉっ。そういうことにしておこうかの。……ところで春梅が来ておったぞ」
陳羣:「春梅? ああ……そうですか」
陳羣は抑揚の無い調子でまあcに返事をしました。陳羣が客間に移動すると一人の少女がおりました。
春梅でございます。
59 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 20:17:45
春梅:「長文様。お久しゅうございます」
陳羣:「久しいな。変りは無いか」
春梅:「長文様、私、上手く働いたでしょう?」
陳羣:「残念だ……せっかく賢いお前と出会えたというのに」
春梅:「え……」
春梅が顔を上げるより早く、陳羣の刀剣が光を放ち、春梅の丸い顔は鮮血で塗れました。
陳羣:「頸動脈をわずかに逸らした。少しだけ時間がある。息絶えるまで己の愚かさを
反省するが良い」
春梅の返事はありませんでした。気味の悪い重い、重い音がして春梅が前のめりに倒れました。
陳羣:「陸に上げた鯉のようだ……」
春梅の口はわずかな酸素を求めるかのようにパクパクと鯉のように開いては閉じておりました。
飛び散った鮮血は陳羣の扇に赤い染みを作りました。陳羣は満足げに扇を広げ眺めました。
陳羣:「素晴らしい。まるで桃花のようだ」
この故事より戯曲『桃花扇』は作られたということでございます。
それにしても、悪意無き悪意、純粋な悪意というものは恐ろしいものでございます。
霊帝の覚えも良いという偽クマッタ、さてさて陳羣の悪意から逃れることはできるのでしょうか。
三戦英雄傳、つづきはまた次回。
※三国時代には少なくとも今のような和紙でできた扇は存在しません。
また、今回に限らず人物の年齢年表などは都合の良いように改竄してあります。
本物の袁 宏道は明代の文人です。
60 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/08/30(土) 20:18:42
中山あっさり死んだな
61 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 20:32:19
>>50 固定さんの好みや人間関係、歴史は以前よりある程度は入れてあります。
例えば小銀玉皇后とアダルト日出夫王貴人との関係とか。
オリジナルがほとんどですが、中国史のエピソードに元ネタがある話も
結構あると思うので関係書を読むと「ニヤリ」とできるかと思います。
広範囲かと思いますが。早速のご感想、ありがとうございます。
62 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/08/30(土) 20:38:37
>>51 八戸将軍さん、ひゃくものがたりスレでも、こちらでもありがとうございます。
早く完結させたいと思っていますので、見守っていただければと思います。
ありがとうございます。
>>52 八戸のぶながさんが、小魔玉大尉の奥方を辺境で見たと商人たちに言わせて
蔡文姫奪還に持って行く場面で自演民主党員として、八戸将軍さんが出ています。
コメントありがとうございます。
>>53 すみません。しばらく完結までは投下させてください。よろしくお願いします。
>>60 早速のご感想ありがとうございます。
元ネタが誰か、調べてみるとニヤリとできるかもしれません。
最終回付近ははほとんどオリジナルですので、予測はつかないかと思います。
ありがとうございます。
63 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/01(月) 23:54:58
※かなり病んでて、長文で、自分語り、かなり気持ち悪い、オナニー作文
(ちょっと男色入ってる)です。
苦手な方は回れ右でお願いします。
元ネタは太宰の『人間失格』。原文そのままの部分もあります。
できればドージエや公爵あたりの感想を聞きたいところ。
とりあえず投下します。
64 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/01(月) 23:55:47
臣下失格〜司馬仲達の手記〜
青は、之を藍より取りて、藍よりも青く、 冰は、水之を為して、水よりも寒(つめた)し。
――『荀子』より――
恥の多い生涯を送って来ました。
自分には、人間の生活というものが、見当もつかないのです。
いくつの時分であったかは定かではありません。こんな記憶があります。
「お前は、役人よりも容赦ない。情というものがないのか」
吐き捨てるように幼い自分に言った声の主は、父でした。なんで、そのような言葉を父に言わせたのかは
覚えていません。父は、京兆尹でした。
役人の父親が我が子に役人よりも非情だという。なんと、滑稽で皮肉な喜劇なのでしょう。
自分は食事というものが苦手な子供でした。
おおよそ暖かみのない室内で蝋燭の灯火だけが煌々と室内を照らし、父の毛先まで真っ直ぐで固い髭が動くのを
眺めながらおどおどと砂を噛むように飲み込む食事。味などというものを考えたことはありませんでした。
ただ、口に物を入れ、喉に流し込む儀式のようなものでした。厳正なる呪い師、父。
少しでも父に気に入られようと踊る巫女たる自分たち、子供。思えば自分の生涯というものは、踊りと演技の
人生でした。
どうすれば、父に情があると思ってもらえるか。毎日が儒学との睨めっこでした。夢の中に孔子が出てきて講義をするほどでした。
遣り手だと言われる泣き女の泣き顔を真似、少しでも具合の悪そうな下男や下女を見れば「大事はないか?」と
女のように優しい声を出して心配して見せたものです。そうした努力もあり、自分たち兄弟は『司馬家の八達』などと
持て囃されました。
65 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/01(月) 23:56:45
自分は酷く人の感情に対し、敏感であるのに、人の感情というものは全くと言って良いほどわかりませんでした。
なにか、自分は他の人たちとは違う生き物で流れている血からして違っていて、善悪の観念というもの自体が、
言葉の捉え方が違うのではないだろうかと思えるほどでした。
例えば自分には、禍いのかたまりが十個あって、その中の一個でも、他人が脊負ったら、
その一個だけでも他人は重さに耐えきれず潰れてしまうのではないかと、思った事さえありました。
つまり、わからないのです。他人の苦しみの性質、程度が、まるで見当つかないのです。現実的な苦しみ、
ただ、めしを食えたらそれで解決できる苦しみ、しかし、それこそ最も強い痛苦で、自分の例の十個の禍いなど、
吹っ飛んでしまう程の、凄惨な阿鼻地獄なのかも知れない、それは、わからない、しかし、それにしては、
よく自害もせず、発狂もせず、天下を論じ、絶望せず、屈せず生活のたたかいを続けて行ける、苦しくないんじゃないか?
自己中心的になりきって、しかもそれを当然の事と確信し、いちども自分を疑った事が無いんじゃないか?
それなら、楽だ、しかし、人間というものは、皆そんなもので、またそれで及第なのではないかしら、わからない、
……夜はぐっすり眠り、朝は爽快なのかしら、どんな夢を見ているのだろう、往来を歩きながら何を考えているのだろう、
金? まさか、それだけでも無いだろう、人間は、めしを食うために生きているのだ、という説は聞いた事があるような気がするけれども、
金のために生きている、という言葉は、耳にした事が無い、いや、しかし、ことに依ると、……いや、それもわからない、
……考えれば考えるほど、自分には、わからなくなり、自分ひとり全く変っているような、不安と恐怖に襲われるばかりなのです。
自分は他人と、ほとんど会話が出来ません。何を、どう言ったらいいのか、わからないのです。
そこで考え出したのは、演技でした。
66 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/01(月) 23:57:47
それは、自分の、人間に対する最後の求愛であり賭けでした。
自分は、人間を極度に恐れていながら、それでいて、人間を、どうしても思い切れなかったらしいのです。
そうして自分は、この役者としての一線でわずかに人間につながる事が出来たのでした。おもてでは、絶えず笑顔をつくりながらも、
内心は必死の、それこそ千番に一番の兼ね合いとでもいうべき危機一髪の、油汗流しての綱渡りでした。
自分は子供の頃から、自分の家族の者たちに対してさえ、彼等がどんなに苦しく、またどんな事を考えて生きているのか、
まるでちっとも見当つかず、ただおそろしく、その気まずさに堪える事が出来ず、既に演技上手になっていました。
つまり、自分は、いつのまにやら、一言も本当の事を言わない人間へと成長していたのです。
自分の家には幾人かの下男や下女がいました。小李もそうした下男の息子の一人でした。あれは自分が六つのころのことでした。
十年上の小李は十六の少年でした。小李は少女の着る煌びやかな着物を持ってくると、着るように言いました。
桃花のように淡い色の着物。慣れない手つきで帯を締めると、小李が溜息ともなんとも判断のつかない声を出しました。
すると急に視線は空になり、竹藪のざわざわと風に揺れる音が耳元で煩くなり、きらきらと埃が舞っていました。
小李が上にのし掛かり、人一人分の重さがのし掛かり、人一人分の体温で気分が悪くなり、生暖かい感触を腹に感じると
やっと小李は解放してくれました。拒絶の言葉は口にしました。しかし、どうすれば儒教的か、どうすれば情があるように
思われるか、それだけが先走って言葉が出てきませんでした。やっと口にした言葉は「やめてください」という懇願でした。
67 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/01(月) 23:59:04
忌むべき相手にも礼儀を尽くそうとする……自分はなんとも馬鹿で、下手な役者です。自分がなにをされたのか、
小李が自分になにをしたのか、当時はその意味を知ることはありませんでした。ただ、母の取り乱した様子と
父の険しい目が自分に「お前はなんて駄目な役者なのだ」と烙印を押したように思えました。
穢れた、人と同じ感情を持たぬ不完全な存在。これは後々まで自分を苦しめました。演技の課題は、より難解なものへと変化しました。
感受性豊かな、清らかな、完全な人間。どれも自分とかけ離れた存在です。自分と正反対の自分を演じなくては
自分は人間では無くなる。存在してはいけない存在になってしまう。一種、脅迫観念でした。
春華と夫婦になったのは、自分が二十三、春華が十三のときでした。男は十六、七で妻を娶るのが普通でしたから
遅い結婚でした。自分が子供というものを作って、果たして、それは人間という生物として育つのだろうか。
それだけが気掛かりで恐ろしくて、とても婚姻などする気にはなれませんでした。
春華が下女を殺したとき、春華の目を見て自分は初めて「ああ、自分と似た生物を見つけた」と感じました。それは、広大な
草原で狼が仲間を見つけたような感動でした。春華の目にも、感情は宿っていませんでした。自分と同じ孤独な苦悩を
持つ妻。もしかすると、苦悩自体にも気がついていないのかもしれない。自分は初めて他人を愛おしく、守ってやろうと
いう気持ちになりました。春華という好敵手、蔑み、愛でる対象の出現。自分の演技と演目はいよいよ精彩を帯びてきたのでした。
※ ※ ※
荀令君と出会ったのは、春華と出会うより少し前のことでした。
68 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/02(火) 00:00:02
荀子様の末裔――孔子の末裔である孔文挙のように尊大であってもおかしくないのに、荀令君は柔和で凜として、女人のように佳い香りがしました。
なにひとつ、自分の持っていないもので作られた人間が荀令君でした。
荀令君はこんな自分を他人と同じく、感受性豊かで、清らかで、博識な人間として扱ってくれました。とても嬉しく光栄でむずがゆく、
胃が重くなる思いでした。「この人の前でだけは、完全な演技をしなくては」それだけでした。不完全で穢れた人間を
普通の人間と信じて疑わない荀令君の信頼を穢したくはなかったのです。これこそ聖人たる人間だけが持つことの許される
穢れない純潔に近い魂なのだと思いました。
荀令君という最高の観客がいる限り自分の演技は、水準以上のものになると信じていました。荀令君は自分の演技上なくてはならない
神でした。
さいわい自分は職場環境というものに恵まれ、曹子桓様の教育係となり陳長文、呉季重、朱鑠と共に四友とさえ
呼んで下さいました。自分はずっと、荀令君は終劇まで自分の観客でいてくれるものと思い込んでいました。
曹操様の魏公就任問題。たった、ひとつのことで後継者問題にまで直結する。やはり、この世は自分の
理解できないものが重要視され、自分が懼れ、怯えるものなど他人にはどうでもよいことなのだと今更ながら自分は驚きました。
なにも教えていないのに、指示も与えていないのに教え子である子桓様は荀令君のお気持ちを知ろうと見舞いに行きました。
荀令君は子桓様に対し、礼を欠かない程度にしか接することがなかったそうです。子桓様は焦りました。
曹操様が魏公に就任したなら、即、後継者の任命問題だ、もしも後継者から外れたなら――と。
69 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/02(火) 00:01:19
「荀令君は魏公就任に反対なさっておられます。これは、後継者問題を少しでも先延ばしになさろうということでは」
「先延ばしにしても、やがては浮上する問題だ。いつまでも逃げてはおられぬ。それに荀ツは子建の友人ぞ。信頼できるものか」
「しかし……」
「おれが見舞いに行っても、なんの好意も見せず儀礼的な対応だけだった。あいつは子建を支持しているに違いない。
先延ばしにするにも、子建に利するものがあるからやもしれぬ」
「荀文若。父の張良と呼ばれた男。殺すには惜しい男だ。韓馥に仕え、袁紹に仕え……文和と同じく主を変えていったが、
主を見る目は文和のほうが上だ。安心しろ仲達。文和はおれに付いた」
「賈文和様が……殺すって、相手は病人ですぞ」
賈文和様は処世に優れ、自分が言うのもなんですが、なにを考えているのかわからないところがありました。
同病、相憎むとでも言いましょうか。自分と賈文和様は表面上は曹操様や子建様を間に挟み
にこやかにしてはいても、互いに腹を探り合い、気味の悪いなにかを感じていました。
「仲達、お前は文若を慕っておったな。安心しろ。病人はいずれ死ぬものだ。手を下さなくともな。
しかし、仕えるべき相手を違えては長い春も楽しむことはできまい」
なにも教えることなどありませんでした。なにも、教えたこともなかったと思います。
子桓様は生まれながらの王者にして支配者、誰かの下に付くなど考えることもできぬお方なのです。
70 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/02(火) 00:02:36
「なあ、仲達。荀子という聖人はなかなか画期的な思想を世にもたらした。人間の本質は悪であるから
律しなければならぬ、とな。その子孫が雪のように白く汚れを知らず、真冬の氷のように固いとは
なんとも皮肉なものだなあ。固く、曲がることを知らなくては折れて壊れることもあろうに」
子桓様は卓を斬りつけました。卓は曲がることを知らず、壊れ崩れました。
それから後、病を得ている身にもかかわらず荀令君は孫権討伐軍へ行軍するよう命ぜられました。
当時の荀令君の身分からして不可解な命令でした。荀令君の身を案じる以外自分には、なにもできませんでした。
「仲達、文若のところへ見舞いに行くが良い」そう言ったのは、曹操様と子桓様でした。同じ日に、お二人から
同じ内容の命令を書状にて自分は受け取りました。曹操様から託かったものは木箱いっぱいの山査子でした。
血流を良くし、病人の気を治すと言われる山査子。しかし、この季節には滅多に手に入るものではありません。
まして木箱に埋まるほどなど、どうして手に入れることができるでしょう。よほど、苦労して手に入れたに
違いありません。自分は、曹操様の荀令君へ寄せる信頼を知り、嬉しくなりました。
子桓様から託かったものは、ただの空箱でした。「これを父、曹操からの見舞いの品だと言って渡せ」ということでした。
なにも、教えていない我が弟子、子垣様。
教えていないものも吸収する恐ろしい我が主、子垣様。
「青は、之を藍より取りて、藍よりも青く、 冰は、水之を為して、水よりも寒(つめた)し」
自分は知らず知らずのうちに、荀子にある言葉を口ずさんでいました。時は建安十七年。
寿春にも氷は張っていました。
71 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/02(火) 00:03:25
氷のように澄んでいて、固く曲がることを知らず、見た者を映し出し恥じらわせる。荀令君は、氷のような
方でした。
いつのまにか自分や荀令君という水を、子桓様や曹操様は超えてしまわれた。そろそろ、引き際なのかもしれないと思いました。
「ご先祖の荀子様の言葉を思い出して」との願いを込め手近にあったので、自分は空箱に道ばたから拾って割った小さな氷を入れました。
自分は荀令君の聖人たる頭脳と性質に賭けるつもりでした。
氷は荀令君の手元へ届くころには溶けてしまっているかもしれない。室温が高ければ、蒸発に近い状態にもなることでしょう。
なにもない空箱を見て、荀令君はどうするのか、奇跡的に残った氷を見て荀令君はどうなさるのか。
きっと、凡人で俗人、醜悪な出来損ないの自分には考えもつかない綺麗な受け取り方をするに違いない。
自分より強い相手に碁を打つときのような高揚感。久しぶりに感じる緊張。真冬だというのに、
自分の心臓は元気に動いていました。
荀令君へ二つの木箱を渡しました。
「山査子は子桓様から。こちらは曹操様からです」
自分は初めて荀令君に嘘を吐きました。二つの木箱を目の前に、荀令君は子供のような嬉しそうな顔をなさいました。
やはり、心の中では曹操様を慕っておいでだったのでしょう。曹操様以外を慕う荀令君など荀令君ではない。
わかっているのに、どうして最高の観客の視線の先にいるが自分ではないのだろうかと暗い苛立ちを覚えたのも確かでした。
72 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/02(火) 00:04:20
荀令君は山査子の山を見つけ意外そうなお顔をなさり、もう一つの箱を覗き、顔を強張らせました。
箱の中は空でした。水滴くらいは付いていたかもしれません。子桓様の言いつけを結果的には自分は守ったことになります。
今、訂正すれば荀令君の顔を元に戻すことができるかもしれません。しかし、最高の観客の視線が自分にないことを知った
自分に残ったのはどす黒いねちゃねちゃとした嫉妬でした。
生かしておいてもこれから先ずっと荀令君の拍手は自分だけのものにはならない。ならば、いっそ、今のうち。
耳元で子桓様が囁いている気がしました。
「仲達殿」
「なんでしょう」
「失礼ですが、これだけでしょうか」
困惑漂う弱々しげな荀令君の言葉。
「ええ、なにか?」
氷のように固く透る自分の声。
「そうですか……」
荀令君は細い首をわずかに落としました。荀令君がお亡くなりになったという報せが届いたのは、その夜のことでした。
子桓様は教えてもいないのに、どの泣き女よりも素晴らしく泣きました。自分でさえ貰い泣きしたほどです。
曹操様は静かに涙をお流しになられました。
しまった――そのとき初めて自分は思いました。荀令君は死ぬまでずっと曹操様の真意を考えていたに違いない。
死ぬ瞬間、脳が停止するその瞬間まで。息絶える瞬間まで曹操様のことだけを考えていた。そのきっかけを与えたのも
自分なのだと。やはり、自分は愚かで下手な役者のようです。
73 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/02(火) 00:05:38
※ ※ ※
蜀の降将孟達と出会ったのは荀令君という最高の観客をなくした後でした。
自分にはもともと詩の才能などないことはわかってはいましたが、子桓様を始め、周りは皆
文才輝く者ばかりでしたから自分はいつも詩会では道化を演じていました。
韻もなにも関係無い、酷い詩ばかり披露したものです。披露したあとに波のように押し寄せる聴衆の
野次がたまらなく快感にさえ感じるのでした。その日も自分は拙い詩を披露し、皆自分の詩に笑いました。
「今日も自分は道化という役を無事終えたのだ」ほっとしていると、孟達が自分の背中をつつき、低い声でこう囁きました。
「故意。故意」
にやつく孟達の嫌らしい笑顔。
自分は震撼しました。故意に文盲を演じている事を、人もあろうに、孟達に見破られるとは全く思いも掛けない事でした。
自分は、世界が一瞬にして地獄の業火に包まれて燃え上るのを眼前に見るような心地がして、わあっ! と叫んで発狂しそうな気配を必死の力で抑えました。
それからの日々の、自分の不安と恐怖。
表面は相変らず哀しい道化と善人をを演じて皆を安心させていましたが、ふっと思わず重苦しい溜息が出て、
何をしたってすべて孟達に木っ葉みじんに見破られていて、そうしてあれは、そのうちにきっと誰かれとなく、
それを言いふらして歩くに違いないのだ、と考えると、額にじっとり油汗がわいて来て、狂人みたいに妙な眼つきで、
あたりをキョロキョロむなしく見廻したりしました。
できる事なら、朝、昼、晩、四六時中、孟達の傍から離れず彼が秘密を口走らないように監視していたい気持でした。
そうして、自分が、彼にまつわりついている間に、自分のお道化は、所謂「故意」では無くて、ほんものであったというよう
思い込ませるようにあらゆる努力を払い、あわよくば、彼と無二の親友になってしまいたいものだ、
もし、その事が皆、不可能なら、もはや、彼の死を祈るより他は無い、とさえ思いつめました。
しかし、さすがに、彼を殺そうという気だけは起りませんでした。
74 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/02(火) 00:06:54
自分は、これまでの生涯に於いて、人に殺されたいと願望した事は幾度となくありましたが、
人を殺したいと思った事は、いちどもありませんでした。それは、おそるべき相手に、かえって幸福を与えるだけの事だと考えていたからです。
荀令君の失敗から学んだことでした。
しかし、自分の危惧は杞憂に終わりました。自分の氷たる子桓様死後、馬鹿な孟達は反乱を起こしたのです。
正直、安堵の溜息をつきました。それからも曹爽を痴呆老人の役で楽しませ、自分は全速力で駆け抜けるように観客のいない
座席に向かって演技を続けました。
いまは自分には、幸福も不幸もありません。幸福など荀令君を見殺しにした瞬間から捨ててしまったのか、罰が当たったのでしょう。
不幸など六歳のあのときから迎えていたのでしょう。春華との間には子が二人出来、孫もいます。
ただ、一さいは自分を置いて過ぎて行きます。
自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来た所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
自分はことし、七十三になります。白髪がめっきりふえ生気というものがないので、たいていの人から、幽鬼と間違われます。
荀令君の視線を奪った曹操様。可愛くて恐ろしい教え子、子桓様。曹家の王朝など壊してしまいたくなりました。
自分はどうやら、臣下という役も完全に演じきれないようです。
〜完〜
75 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/02(火) 00:09:30
書いた動機→なんとなく、太宰の世界に仲達を置いてみたかったから。
あと、荀子の例の文が頭にあったから。
……後悔は、していない。
いつも自己満足だから。
やあ、とても面白かった。
読んでいて、ふと自分に重ねられるような描写もあって
嫌な気持ちになった箇所もあったけど、
そう思わされたというのは文章が巧い証拠だからね。
>>76 公爵にお会いできて、とっても嬉しいです!!
まさか来て下さるとは思いませんでした。ありがとうございます!!
なんとなく、三戦住人で太宰とか読んでハマッたことがありそうな人と
いうこととその道のプロということで真っ先にドージエと公爵が浮かんだので。
途中、太宰の『人間失格』原文そのままのところも結構あります。
思いつきでばばーっと打ちましたが……病んでいますよね。氷溶けたは蒼天の雪の
エピを意識してもあります。
公爵も、また三戦にいらしてください。楽しみにしています!!
ありがとうございます。
私よりもあなたの方が、よほどその道の表現のし方が巧いと思う。
令君のような人への劣等感や執着、
そして曹操への嫉妬とそこから来る行動、固く強ばる声。
すごく共感できるから、そこを通じて感情移入しやすかった。
それじゃあ、またね。呼んでくれてありがとう。
79 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/02(火) 02:11:54
80 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/02(火) 02:23:44
あちこちに投票所貼ってるのって作成者?
作成者と日課のように投票してる特定の奴以外
みんなこれには飽きてるだろ
マルチのせいで余計ウザイし
最近は1日4〜5票ペースかな
82 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/02(火) 02:33:08
>>80 氷雪乙、とか言われるからやめとけ
別に飽きてはないが
また、来て下さいね。公爵。
なんか皆さんお気遣いありがとうございます。
今日初めてひゃくものがたりのまとめウィキ作ってみました。すごく時間がかかるので
びっくりしました。
今まで、まとめ更新してくださった方々、
制作者の広夢さんの苦労がわかりました。
本当にありがとうございます。
84 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/02(火) 02:46:40
85 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/02(火) 05:22:52
公爵は自分のとこのスレをどうにかしろ
86 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/03(水) 19:50:34
三戦英雄傳
第四十六回〜洛陽炎上、そして遷都へ〜
さてさて、偽クマッタという一人の狡知に長ける人物の登場によりさらに乱れを見せる後漢。
三公のうち、空席になった司空の座。大尉・小魔玉は黄巾賊討伐に出かけたとのことですが、
どうなっていたのでしょうか。
黄巾賊は内部の統率が乱れてはいるものの、野望という名の結束で繋がっており、人々の国へ対する厭世と
絶望が新たな入隊者を呼び込み日に日に勢いを増してゆきました。
当初、黄巾賊と官軍は渭水を挟み長きに四月に渡り膠着状態を見せておりました。しかし、黄巾賊の士気と
兵力は底を見せず、官軍は敗退に敗退を重ね、とうとう賊軍は都・洛陽にまで迫っておりました。
小魔玉は急ぎ晋国にまで援軍を要請、晋国は袁術を総大将に副将を学徒出陣、配下として奇矯屋onぷらっと、
ひょーりみ、中常侍うんこ、荀攸、郭図、文醜など大将百名、総勢十万もの援軍を送りました。
袁紹:「公路……お前は子が生まれて間もない。子の父親をみすみす死なせては、儂も伯父としての面目が
立たぬ。なにもお前でなくとも人材は他にいよう」
袁術:「いえ、行かせてください。どこにいようとも死ぬ者は死ぬのです。ここで死ぬならば、俺の
天命もそこまでということでしょう。戦で父を亡くすのなら、それも運命。我が子うんぴも兄上を怨みますまい」
袁紹:「じゃが、お前」
袁術:「うんぴには八戸のぶながという守り役と、公爵という一流の役者、それにスコティッシュフォールドなる
胡人から買い受けました猫があります。母親から受けない分の愛情もめいいっぱい、受けて育ちましょう。
そもそも、この乱世に於いて父も母も二親とも居らぬ子のなんと多いことか。そうした世を立て直すのが兄上と俺の
夢でしょう。失敗を懼れていては夢など、波間に揺れる泡の如く消えてゆきましょう」
袁紹:「体に、気をつけてな。お前はいつも寝相が悪いから腹を出して冷やすことがある」
袁紹は袁術の手を取り、別れを惜しみました。
87 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/03(水) 19:51:53
袁術:「いつのことですか。全く、兄上はいつまでも俺が三つやそこらの子供だと思っておられる。
もう会えないような湿っぽい空気は止めて下さいよ。また会えますよ」
袁紹:「奥方の丁原殿はいかがする」
袁術:「奥は元々賢い者。今は、うんぴを愛することができなくとも、いずれ和解するときは来ましょう」
丁原はうんぴを無事出産したは良いものの、「目が二つあるところが小魔玉に似ている」だの
「鼻の穴が二つあるところが小魔玉を思い出す」だの「手が二本あるのが、足が二本あるのが」と
うんぴを見る度に小魔玉を思い出し、乳さえ与えぬ状態でありました。
身分の高い家の奥方は乳母をつけ、自分で授乳するということをしない場合もあります。
しかし、丁原自身が己の気持ちとうんぴの存在に一番苦悩していたのでした。
後漢・晋連合軍と黄巾賊は洛陽で激突、霊帝は幽州へ遷都なさいました。
楊彪:「お止めください。この洛陽の都はずっとずっと後漢の皇帝が治めておられた先祖伝来の地。
それをどうして捨てることができましょうか」
董卓:「大尉殿のご命令なのだ」
まあc:「ふぉふぉふぉ、遷都とな」
李儒:「まあc殿……大尉殿の命にご不満とでも?」
まあc:「ふぉふぉふぉ、洛陽の空気も焦臭くなってきおったからのお。幽州の澄んだ空気も体に
良いじゃろう。のお、長文?」
陳羣:「はい。お祖父様」
楊彪:「陳長文様……清流派を代表するあなた様まで……見損ないましたぞ」
陳羣:「人聞きの悪い。私に何を期待されていたのです? あなたから私が伯丕に見えるならば、
私は伯丕なのでしょう。私が屈原に見えるならば、屈原なのでしょう。結局は、見た者の認識なのです。
それで良いではありませんか。訂正などしますまい」
楊彪:「……」
陳羣:「それに此度は晋国よりあなたの義兄様が援軍に駆けつけてこられるとか。義兄様を
もう少し信じてはいかがです?」
楊彪:「わかり…ました」
陳羣:「さあ、わかったのならもう行きなさい。私は偽クマッタとやることがあるので」
88 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/03(水) 19:53:31
陳羣の側には偽クマッタが控えておりました。
一方そのころ、城外では賊と官軍が対峙しておりました。
聖天使ザビエル:「この世に神なんていません!! なぜなら、僕が神だからです!!! アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
馬元義:「聖天使ザビエル様は、この戦に勝てば後宮の美女でも宝物でもお前らに褒美としてくださるぞ!!
励め!!!」
黄巾賊1:「ひゃっほー! さすがザビエル様、話せるお方だ!!」
聖天使ザビエル:「そうだよ。後宮なんて幼女から熟女まで選り取り見取りだよ!! エロゲなんていらない世界だ」
やりたい放題の黄巾賊。官軍総大将の小魔玉もこれには手を焼きました。しかし、小魔玉は小魔玉で
元・医師の経験を生かし、どんなに身分の低い兵士の病も手当てし、体に膿を持った兵士を見つけては
口で膿を吸い出し治療するという念の入れようでしたので「小魔玉様のためなら死ねる!!」という兵士ばかりでありました。
小魔玉:「う〜ん、ザビエル君もなかなかやるなぁ。楽しくなってきました( ^∀^)ゲラゲラ 」
袁術:(……これが、後漢の大尉、か……)
学徒出陣:(馬鹿馬鹿しいぞ。ヴォケ)
袁術:「あ、これ、学徒出陣よ。どこへ行く」
学徒出陣:「厠へ行くのに断りも必要ですか?」
学徒出陣が厠と偽り、場を離れようとしたそのとき、城のほうで火の手があがりました。
偽クマッタ:「賊軍になぞくれてやる宝物は、一つもないわ!! ざまあwwwwww」
陳羣:「フフフフ……」
どうやら火を点けたのは偽クマッタと陳羣のようでございます。
89 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/03(水) 19:55:23
袁術:(なんと、漢室内の内部分裂もここまできておったとは……)
黄巾賊:「美女は? 宝物は?」
馬元義:「むう、さすが役人。やることが一々汚ねぇ」
学徒出陣:「と、とりあえず消火だ。ヴォケ」
学徒出陣が郭図と共に消火に駆けつけると、城の中から不思議な光が差してきました。
学徒出陣:「な、なんだ……あの光は」
郭図:「何やら井戸の中からのようですな。埋められているようですが、掘り起こしてみますか」
郭図と学徒出陣が井戸を掘り起こしてみると、中より宮女なのでしょう。一人の美女の死体が
出てきました。
学徒出陣:「推定Eカップ……惜しいことだ」
郭図:「女の胸が輝いておりますぞ」
学徒出陣:「神の領域、Eカップなのだ。輝くこともあるだろう。ヴォケ」
郭図:「失礼!!」
学徒出陣:「あ、郭図、いくらEカップとはいえ、死後硬直後の胸では……いや、死姦はよくない!!」
郭図が宮女の胸をはだけると、そこには宝玉でできた印がありました。
郭図:「受命于天 既寿永昌……こ、これは」
学徒出陣:「なんだ? 本を百冊読んだ俺様でもわからんぞ。ヴォケ」
郭図:「で、伝国の玉璽ですぞ!! これさえあれば皇帝の座も思いのままですぞ!!」
学徒出陣:「な、なんだとー!! ヴォケ!!!!」
伝国の玉璽を見つけてしまった学徒出陣と郭図。果たして、二人の運命は?
権力という魔物は人を狂わせるとは言いますが、この二人、正気を保つことができるのでしょうか。
三戦英雄傳、続きは、また次回。
90 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/03(水) 19:58:04
八戸は?
91 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/03(水) 20:01:22
>>90 八戸のぶながさんは、うんぴさんの守り役になりました。
>>86に少しだけ袁術の台詞で書いてあります。
いつもご愛読ありがとうございます。
なるべく更新できるときはしたいと思いますので、
見守っていただければと思います。
早速のコメントありがとうございます。
92 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/03(水) 20:03:05
個人的にお気に入りのコテが最近出てない・・・
93 :
氷雪 ◆jKdJ051mHQ :2008/09/03(水) 20:35:00
>>92 早速のコメントありがとうございます。
このエピソードだと、あの固定さんかなあといった具合に出しているので
いろいろあるかとは思いますが、最終回まで見守っていただければと思います。
ありがとうございます。
94 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/04(木) 13:04:53
洛陽炎上に勃起した
>>94 人の性癖は人の数だけありますよね。
コメントとご愛読ありがとうございます。
今の位は、些かの天恵と地神の祝福があって得られたものだ。
私は根元を質せば帝室の枝葉であって、敢えて優れた先人と自らを比較しようとは思わない。
そうとはいっても、この身は漢から天命を継いだ地上の中心たるべき大魏の一人なのであるから、
かつて夏王朝が衰微し帝相が力尽きて滅びたとき、人心を集めて皇統を復興した少康のように
この国を然るべき姿に復さなければならない。況や、内憂が年過とともに勢いを増し、
外患の脅威も収まるべくもない現代の政情に於いてをや。
「漸く参ったか。遅かったな、おまえ達らしくもない。」
魏帝曹髦は太極東堂に臣下を集めること頻繁であった。
中護軍司馬望、侍中王沈、散騎常侍裴秀、黄門侍郎鍾会等々、魏国にその人ありといわれる
錚々たる学人を集めて講義や宴を行い、共に文章を作して世の人の賞賛されるところとなっていたのだが、
帝の召集に誰よりも先んじて参ずるのは決まって王沈であった。
にも関わらず、此度の召集から王沈が参ずるまで如何許りの時を要したろうか。
傍らに控える王業、王経も浮かぬ顔をしている。遅参のおかげで憂鬱な物思いに耽ってしまった。
「今夜だ。今夜、あの老賊めの頸を掻ッ切ってやる。」
「……。」
三者は押し黙って物を言おうとしない。驚いた様子もなく、表情を伺えばああ、やはりといった按配である。
さしずめ内密の召集とあって、如何なる用件なりやと話し合っていたのに相違ない。
殊に王沈は帝のサロンの得意様である。日頃、帝が経書や古の帝王について論ずる有様を見ては
その内心の憤懣や野心を察していたのであろう。彼はつとめて感情を表に出さず、
あたかも帝の学論に答弁を行うかのように切り出した。
「ご心中は察して余りありますれど、臣の浅はかな見解を申しますれば、
司馬大将軍の本朝への貢献は覆い隠すべくもあらず、ご信望もようよう高くなりゆき、
また大将軍に叛意ありという確たる証拠もないものでございますから…」
「止めよ」
王沈の言葉を遮る帝の声は何時になく硬く、竜顔を拝せば血の気は引いて蒼白であった。
「止めよ、文籍。私はもう耐えられんのだ。司馬昭の野心は三尺の童子とて知っておる。
況や大魏の百官に於いてをや。皆、その権勢に恐れをなして貝のごとく押し黙っているに過ぎぬ。
情けないことだ。このような国が、古の夏や周に及ぶことができようか。できる訳がない。
それでどうして中華の正統といえようか。そなた太祖、世祖の遺功に申し訳無いと思わんのか。
…私は起つぞ。逆賊司馬昭をこの刀のもとに斬り捨て、朝廷に清風を取り入れる。
見よ、外には雷鳴が轟いておる。地はさぞかしぬかるんでおろう。
だが私は下は見んぞ。前を見、上を見、雲間が晴れた時には顔を出すであろう日輪を望む!」
もはや三人は帝を翻意させるべくもあらず、謝辞もそこそこに退室した。
少しずつ高貴郷公の小説を書いていこうと思います。
>>98 どうも。初めまして!! のほうが宜しいでしょうか?
銀狐さんはきっちり丁寧派ですね。
高貴郷公が主人公ですか。
楽しみにしています☆
>>99 初めまして、おじゃましています。
三国志の晩鐘が鳴るような時代にあって、三国の皇帝は傀儡や暴君が多いなか、
高貴郷公は一際輝いた流星のような皇帝だと思うのです。
ただ威勢が良いだけでなく、名だたる人士を集めての講義の内容が
史書に残っていますが、それを読んでも興味深い。
ちょっと小説のようなものにしてみたくなったのです。
人は互いの作る木陰で暮らしている。この美しい言葉は時に冷厳な選択をひとに突きつける。
殊に宮廷という社会で生きる官僚にとって、集団の調和は己の生命線であり、
重要な局面に於いて保身を心がけるか信念を貫くかという選択は、彼らの死活を直接的に左右した。
──どうしたものか。知れたこと。では帝のご意向に背くのか。已むを得まい。
帝の意を押し止めることのできなかった王沈、王業、王経も額を揃えて身の振り方を定めていたが、
その額が知らずと汗ばんでいたのは保身を勤皇に優先させる後ろめたさから来るものであろうか。
王沈は共に論を戦わせ、盃を交わした二十歳の皇帝を内心愛しい同胞のように見なしていたから、
心中の悲痛も一入であったろう。それでも三人は恐るべき事実を密告すべく、足早に相府へと歩を進めた。
ふと、王経が足を止めたのは相府のかげが小さく見えた辺りであったろうか。
後の二人は暫く気づかずにいたが、すぐに振り返って友をたしなめた。
「さあ、参ろう。」
「否。嗚呼、呪うべき性分かな。この命を繋ぐことは最早望めまいが、それでもやはり帝は裏切れぬのだ。」
「帝に殉じて死ぬと申すか。よく考え給え。君には妻子があろうし、悪くすると累は三族に及ぶぞ。」
王沈は語気を荒げて説得にかかるが、王経は聞き入れようとしなかった。
却って清々しい面持ちをして、魏に殉じた忠臣となって死ねるならば王氏の誉れだとまで言うものだから、
後の二王氏も諦めて今生の別れの挨拶を済ませて相府へと向かった。
王経は最早言葉を交わすことも叶わない友の背中を見守ると、一寸目を閉じ、自邸への帰路についた。
──兵を整えよ。
これから家令に下す命を幾度も反芻しながら。
洛陽の相府は、途絶えることなく官僚の群れが行き交い甚だ煩雑な有様である。
殊に丁度散会の刻限となり、百官もいざ帰らんという頃合であったから、
某府の何々と大仰な肩書きを提げた者も大口を開けて大笑し、
下世話な話に興じる声でその場はがやがやとした喧騒に満ちていた。
宮城に静謐が保たれ、それがために帝の下で学問の場としての恰好の環境が整えられたのは、
最早天下の決裁が司馬昭によって執り行われていることに由来するのは皮肉と言うべきだろう。
人もまばらになった頃を見計らって、王沈、王業は相府の舎人に司馬昭との面会を申し入れた。
火急の用あり、人払いを願うと言伝を頼み、幾らかの金子を握らせるに至り、二人はすぐに奥へ通された。
司馬昭は訝しげな顔で二人の顔を交互に睥睨している。その横につと立っている仏頂面の男は、
国政の暗部には必ず関わっていると噂される懐刀・賈充である。
自分の密告は魏国の根幹を揺るがすに相違ない。本来関わるべくもなかった枢機に関わっているという重圧に、
王沈は暫し言葉を発することができなかったが、やっとの事でかすれた声で事態を述べた。
「では……、帝はきっと、今夜事を起こすのじゃな。」
「相違なく。」
「然様か。ご苦労、下がれ。」
「御意……。」
二王氏が退室し、足音も遠ざかるのを待ち、司馬昭は賈充に胸中を述べた。
「あの……痴れ犬の若造めが。面倒を起こしてくれよるわ。……よりにもよって、帝が兵を率いて決起じゃと。」
「何、丁度良いではありませんか。代わりの皇族は幾らでもおりますよ。」
「それとて、余は皇帝殺しの汚名を避けられまいが。」
「主公。天子とて、敗者になってしまえば評価は幾らでも調整できましょう。
…無論、手を汚すのは主公御自身ではございませぬしね。」
「ふうむ。して、王沈と王業はいかがする。」
「放っておけば宜しい。所詮は素人です。わが身可愛さに主公の側に付いた男、害にはなりますまい。」
「わかった。そちに任せよう。」
賈充は命を承ると、事の終わった後には罪を背負って始末せらるべき哀れな生贄を呼びつけた。
賈充に召喚された太子舎人成済の命運は、既に荒波に漂う木の葉のようなものであったろう。
皇帝が今宵決起するゆえ南闕に兵を備えて押しとどめよと命を下された時には、
内心戦戦恐恐として、此度のことが偽報であったならばと如何ほど願ったか知らない。
それでも成済は頼みの後ろ盾を持たぬ寒門の出でありながら、腕一つ、気概一つで位を得た男である。
粛粛と下命に従うべしと私情を抑え、直ぐに兵を召集した。
「善し。それにしても厭うべきはこの天候である。否、むしろ天命の彼奴を見捨てたるが故か。」
雨はいよいよ勢いを増し、五歩も離れれば霞んでよく見ることができない。
空は雲が立ちこめて暗澹とし、轟音を聞けば雷は余程近いと見える。
嘗て後漢の霊帝の治世に宮城に雷が落ち、現れた蛇を侍従が切ったところ大水が起きたという記録は
賈充とて知るところであった。楽しからぬ天候を司馬氏にとっての吉兆であると思い直すと、
自らも甲冑を着て兵を率いるべく、闇の中へと消えていった。
その頃、帝は皇太后との面会も済ませ、召集した数百名の近衛兵を叱咤激励していた。
帝の胸中を知った皇太后は黙して語らず、半ば気まずく退室したばかりであるから、
兵を励ます言葉の端々にも憤りの色が垣間見えるのも已むを得まい。
信を置いている者でさえ、如何なる理由で悲観的なものの見方しかできないのか。
自らの行動を肯定的に捉え、その結果が花開くのを待ってはどうか。
心の中に緑の枝を持つのなら、いずれ小鳥がやってきてさえずる筈である。
古来、偉大な功績を挙げた者は、その貴賎を問わず危機に際して果断だったではないか。
少康も光武帝も、わが大魏の始祖曹操とてそうだったのだ。
そなた達は本朝の中興を望むか。たとえ志半ばで斃れ、その身を泥中に横たえようとも本朝の中興を望むか。
宜しい。そなた達の一人ひとりが本朝の最後の忠臣であり、比類なき烈士である。
者ども、起てや。天佑は近くにあり。暗雲を払って光明を拝まばや。
若い帝は思いのたけを言葉に託し、その熱弁は冴え渡った。
──才、陳思に同じく、武、太祖に類ず。
あの鍾会をして斯く言わしめた器量は伊達ではあるまい。
その場の誰もが、帝の姿を亡き曹操に重ねていた。
105 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/08(月) 13:30:50
曹髦はかっこいいよなあ
曹髦と劉ェは特に何もしてないのに
その最期だけで悲劇のヒーロー扱いされているよね。
107 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/09/08(月) 15:14:27
>>106 曹髦は伝が沢山残ってるよ?
主に学問関係だけど
>>106 曹髦は何もしなかったのではなく、情勢が彼に何かを為すことを許さなかったのであるかと。
東堂に開かれた学術サロンでの学論の展開は『魏氏春秋』や『高貴郷公集』、『晋諸公賛』に詳しいです。
些か理想主義的で視野狭窄な意見を述べている箇所もありますが、まだ十代で若年であったこともありますし、
それにしても魏の錚々たる人士や儒学者達と学問に勤しむ姿勢は皇帝としては理想の姿の一つであると考えます。
題材も経典や古の天子などの考察であり、国を如何に治めるかという曹髦の気概を伺うことができます。
『魏書』の少帝紀や裴松之注を見ても、三公九卿や郭太后に才能を買われて即位を望まれたという記述があり、
決して中身の無い人物で、最期のみをもってヒーロー視されるべき人物ではないと考えます。
差し迫った危機に対して特に手を打てたわけではないのに、
自暴自棄的な最期で華々しく描かれているという点でね。
>>109 ええ、小説を書いていて楽しい人物であるという実感があります。
実際、如何なる帝が立ったとしても魏帝室が司馬氏の権勢を覆すことはかなわなかったでしょう。
一代前の曹芳は側近に司馬師排斥を命じたものの露見して廃位に追い込まれ、
一代後の曹奐は主導権の奪取すら試みることなく司馬炎に位を譲っています。
その間にあって、才気に満ちた若い皇帝が逆境に反発し、逆に殺されるという展開は
ドラマ性に満ちていると思うのです。それゆえに、今回の題材といたしました。
あ、途中で送信しちゃったorz
決して両人の能力に懐疑的だったりケチをつけている意味ではなく、
一般的な扱われ方・論じられ方が単なる悲劇のヒーローだなという意味。
特に曹髦の方は傑物の素養を有していたことを示す文献は少なくないが、
結局「司馬氏の専横に我慢できずに無謀な挙兵」という部分ばかり取り上げられるからねえ。
曹髦は劉ェではなく、むしろ孫亮に近いのではと思いました。
>>110 ごめんなさいね。
変なタイミングでレスつけちゃったから、
余計な茶々を入れてしまう形になっちゃいまして。
興味深く拝見していますよ。
>>113 いえ、応援ありがとうございます。
大したものは書けませんが、完結だけはさせようと思います。
それでは、失礼いたします。
九五の位は中華の頂であり、天の下にあるものをなべて統治する資格を意味する。
それは最高の黄金であると同時に、最悪の毒婦である。
持つ者を次第に蝕み、破産した栄華の残り香をあとに新たな持ち主の手に渡るのだから。
帝は一身に有り余るほどの才に恵まれ、その才をもって世を治めることを望んだ。
今のような、権臣の手に玩ばれるようなまがい物ではなく、
純然たる統治者の資格を望んで兵を挙げた。
と、皮肉にも、そうした途端に九五の位は今の帝のもとにあることに厭いてしまった。
「退かれよ、戻られよ! 正気の沙汰ではございませんぞ!」
東止車門にて大音声で呼ばわるのは、司馬昭の弟で屯騎校尉を拝する司馬伷である。
日頃の職責を全うすべく、宮城の警護を務めていたところで帝の兵と鉢合わせしたものであるから、
その驚きは如何ほどのものであったろうか。
目前の事態に心を乱し、自分の口にしている事さえ定かならず、
ただ諫言を叫ぶ一武官に何ができよう。帝が一喝するに及び、道を開けてすごすごと退散した。
帝の心情を紐解けば、この時までは些かの迷いを抱いていたというのが実情のようである。
事の失敗を危ぶむ気持ちをひた隠し、最早後戻りは出来ないのだと自らを叱咤していたのであるが、
司馬伷を退かせたことで自信を取り戻したとみえて、ただ一心に己の勝利を信じ、
それと気づかぬうちに抜き身の剣を振りかざして兵を励ましていた。
やがて南闕に差し掛かった時に、帝は短慮の代償を払うこととなる。
目に入った賈旗に一片の忠節を期待するにあたり、九五の位は帝の手をすりぬけて飛び去ってしまった。
116 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/10/15(水) 00:43:13
三戦英雄傳は?
117 :
無名武将@お腹せっぷく:2008/12/10(水) 15:49:22
保守
118 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/01/13(火) 23:29:47
保守
119 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/09(月) 18:07:11
ここが今日から真文民党だ!
果物キラー、氷雪、陳Q
三戦の物書きは全員引退してしまった
その遺志を継ぐ名無しによって継続されるべきだ
120 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/09(月) 18:15:08
【゜Å゜】文民党の名を掲げるなら、能書きよりもまずネタを落とすんだ
121 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/09(月) 18:40:55
まずは組織を整える事だろう
122 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/09(月) 18:54:45
まずは頭がおかしくなります
選挙でもやるか
124 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/09(月) 19:40:53
果物キラーも氷雪も陳Qもアンジェもだけど
三戦で文章書いてるコテって一通り叩かれた経験アリだよね?
125 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/09(月) 19:44:02
叩かれたことのないコテがいるのか?
126 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/09(月) 19:46:03
叩かれ方に傾向があるじゃん
新党系のコテとは違う感じ
127 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/09(月) 23:06:03
佐倉と一応アダルトの名前もいれてやれよw
128 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/11(水) 00:27:19
氷雪の頭の中じゃ自分の発言は綺麗さっぱり記憶から消えてんのかね
129 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/11(水) 00:34:31
絡んだ相手の気分を害させる才能では右に出るものはいない。
なかなかいないよ、あんなヤツは。
130 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/02/11(水) 01:15:01
ロコふる名無し潜伏乙
131 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/03/21(土) 16:22:39
アンジェ出てこぉ!
50年の乱世ここに始まる。
小説なんか書かないよ
いそがしいし
西晋は八王の乱を回避しなんとか西暦450年頃まで続きました。
しかしあまりの宗族重視、門閥貴族体制は後漢以上の腐敗を生みやがて・・・。
という妄想。
じゃあ、おれが投下
とうとうとまくし立てるレスは果てしなく
記憶に消えしコテの名前数知れず
是非成敗も自演によりうたかたに
暇人一人残りて
レスを待ちつつ朝日を迎えるそもいくたび
古参名無しになりて潜伏し
新参名乗るも正体見破られ発狂する
利害一致して相逢えば
過ぎしいくたのことどもも
いまはむかしのかたりぐさ
――民明書房『三戦志演義』冒頭より――
第一回 民草の敵氷雪 食べ物の怨みをひょーりみ司徒から買い
乱世の奸雄クマッタ 董卓暗殺をひょーりみの前で誓う
そもそも天下の大勢は、分かれること久しければ必ず合し、合すること久しければ
必ず分かれるもの。少年もやがては老人となり身体にがたがくるのと同じく、長ければ良い
というものでもない。天下も同じこと。高祖・劉邦が興した漢王朝も四百年近くなり、時代は
霊帝の御世となった。
四百年――漢朝は「治世が長かった」というよりは長く続きすぎたのかもしれない。
漢朝という国家のがたは徐々に表面へ現れ始めた。
張譲、趙忠、封?、段珪、曹節、侯覧、蹇碩、程曠、夏ツ、郭勝ら宦官十名「十常侍」による奸悪、
邪教の徒「黄巾党」による黄巾の乱。追い打ちをかける霊帝の崩御に逆賊・董卓による国家の私物化……
麻雀で言うところの三元牌が揃ったようなものである。
董卓、字は仲頴。董相国と呼ばれていた董卓は剛毛で胴回りが五尺(一尺約二四センチ)を超える巨漢でその容姿は現代で言う淫乱テディベアに似ていた。
古来より観相があるように、容姿の似た者は趣味嗜好も似るようで董卓は色を好んだ。ただし、女色のみである。
長安近くに?塢城城を建て、そこに幅広い年代の美女を収集した。いわば董卓だけの後宮であった。一人の男を待つ
大勢の女たち……数多くの美女を抱えながらも董卓が最も寵愛したのは?塢城ではなく洛陽の都に居た女だった。
女の名は氷雪といい、中華に並ぶ者のいない美女ではあったが残虐と血を好み己のことしか頭にない「世の童貞の敵」を
絵に描いたような自己中心的な女であった。
氷雪は元々霊帝の寵愛を一身に受け、帝を政から遠ざけ腹上死に至らせた張本人だと言われている。それだけではない。
こともあろうか張譲とも通じていたのだ。張譲は浄身していない宦官であった。
「私、陛下ともっと一緒にいたい…離れたくない」と氷雪が切なげに帝に訴えると、帝は
「そうじゃな…誰かに政は任せよう。誰がよいか……」
「張譲様はいかがでしょう。私も安心して陛下と楽しめますわ」とすかさず氷雪が張譲をとりなすといった様子で
宦官たち濁流に対する清流の官吏たちは「氷雪に媚ざれば、功あるも用られず」と眉を顰めた。
またある者は氷雪の多淫を逆手に取り出世を目論むも、飽きやすい氷雪に捨てられ獣の餌にされたという。
「洛陽の民、氷雪の枕風に夜も眠れず」とは当時の詩人・W名無しの言葉であった。正義感の強いW名無しは氷雪の度重なる
言動に怒り、思いを筆にぶつけ氷雪の悪行を中華全土の民へ知らしめた。
「氷雪氏ねよwwwwwwwwwww 病弱ならちょーどいいや。はよ氏ねやwwwwwwwwwwwwwwww この男狂いがwwwwww」などと連日氷雪糾弾の筆を走らせていた。
これに氷雪は「ああ、頭痛がするわ…貧血なのかしらふらふらして今夜はお勤めを果たせそうにないわ……」などと董卓と枕を共にするのを
拒むので、「おお氷雪や儂はいったいどうすればよいのじゃ」と董卓はおろおろするばかりであった。
「W名無しさんがいけないのよ。W名無しさんさえいなければ私の頭痛は起こらなかったはずなのに」「よし、W名無しを僻地に抑留させろ」
こうして国を憂う悲劇の詩人・W名無しは北の酷寒の地へ抑留された。W名無しが姿を消して以来、氷雪のわがままは増すばかりであった。
ある時など司徒のひょーりみが「フリスクうめぇ」と好物の菓子に舌鼓を打っている最中に「董卓さまぁ〜雪ちゃんもあれ欲しい」と宣った。
「おおそうか、では取り寄せようぞ」「いやなの、ひょーりみ司徒の食べているフリスクがいいの」「ひょーりみよ、そういうわけで儂の氷雪が
欲しがってるのじゃ、寄こせ」「フリスクなら他にあんだろ、なんで俺のを欲しがるのヨ。この男狂いが。きめえ。氏ねよや」
「酷いわ…あのフリスクの一粒があれば、私も健康になったかもしれないのに……私はもう死ぬのだわ。ひょーりみがフリスクをくれないから」
「死ぬ死ぬうぜぇ。フリスク一粒で死ぬ運命ならはよ消えろや」「お前もW名無しのようになりたいか? ひょーりみよ」
「しょ、しょんなぁ〜」哀れひょーりみ司徒は残りのフリスクを氷雪に取られてしまった。
「く、くそお〜俺の俸禄一ヶ月分のフリスクを奪いやがって……!!」
明代の作家・裸貫通はこのときの故事をこう振り返った。
「世にも恐ろしきは食べ物の怨み。氷雪は司徒の怨みを食べ物で買い、己の運命を決定づけた」と。世に言う「フリスクの怨み」である。
また、ある時董卓が氷雪の顔色が悪いのを気に掛けると「董卓さまぁ〜やっぱり貧血には血よね。白雪姫のママは美人の白雪姫を食べれば
美人になれると信じていたのよね。雪ちゃん美人だけど頭が悪いから、頭がいい人の血を飲んでみたいわ」と賢人の血をねだった。
「賢い者の血か…邪魔者の張温がちょうどよかろう。呂布よ、やれ」「はっ」こうして国家の司空の命をも己の思いつきで弄び、挙句
「なんか臭いがいやだわ」と一口だけ口にすると地に捨ててしまったという。これを聞いたひょーりみは「あの糞アマ売女、ビッチが!!」と怒りに顔を
震わせたという。張温はひょーりみの親友でもあった。
氷雪を囲っていた董卓は評判の悪い男であったが、董卓の評判を悪くさせていた者は氷雪の他にもう一人いた。
クマッタである。クマッタ、沛(はい)国?(しょう)県の人である。クマッタの祖父は中常侍曹騰であり、父は司馬の曹崇であった。
祖父の曹騰は宦官であるから、父の曹騰は養子である。つまり曹騰とクマッタに血の繋がりはない。血の繋がりはないものの、曹騰と
クマッタは容姿と才器において親子のように似ていた。曹騰と曹崇はクマッタを溺愛した。祖父と父の溺愛をいいことにクマッタは村娘を
拐かし、近所の不良共の頭になった。これを快く思わなかったのがクマッタの叔父の中山幸盛である。中山幸盛は地味で目立たないものの、
実の甥のクマッタの将来を思う心優しき叔父であった。中山は曹崇にクマッタの行いを報告し、「このままでクマッタのためにならないよ」と
それとなく注意した。弟に息子の素行を注意され面目を失った曹崇は烈火の如く怒り、クマッタを呼び寄せ罰としてラーメンを三日間食べるのを禁止した。
「くそ…中山め。小者の癖に生意気な^^」ここにも食べ物の怨みが関係した。ラオタのクマッタは中山を激しく怨み、中山が来たのを見計らい、
「あわわわわわあっわぁあああああああ」とテンカン発作のふりをした。可愛い甥の異常事態に中山は慌てて曹崇を呼び寄せた。
中山と曹崇がクマッタの元に駆けつけるとクマッタが何事もなかったように蹴鞠の練習をしてる。
「クマッタ、おまえなんともないのかえ?」「へ? 誰がなにを言ったんです^^」「いや、中山が『クマッタがテンカンを起こした』と
慌てて知らせに来てくれたのだが…」「叔父さんは俺様のこと憎んでるからなぁ。そうなればいいと思ったこと言ったんじゃね?^^」
以後、曹崇は中山の忠告を無視するようになった。
クマッタの人となりを許子将が一言で表した言葉に「治世の能臣、乱世の奸雄」がある。これを聞いたクマッタは^^の顔文字をいつもより
多く使い、愉快そうに笑ったという。幸か不幸かクマッタは氷雪に慕われていた。董卓の寵姫に好かれるというのは出世を約束されたものであるが、
きっかけは単純なものであった。
いつもの如く氷雪がわがままで癇癪を起こし、周囲がうんざりし子供扱いしていたところに、「あーあ、派手に暴れてるなあ^^」と発言し、
「いやならその身分捨てて気ままにやりゃいいじゃねーの^^」とごく普通の意見を言っただけである。氷雪はしゃくりあげながら、
「クマッタさん大好き」などとコロリと態度を変え、周囲を唖然とさせた。その変わり身の早さに人々は殺意を覚えたという。
そんなある日のことひょーりみは名だたる官吏を自宅に招待した。
「今日は俺の誕生日なのさァ」
宴もたけなわ酒がほどよく回り始めた頃、ひょーりみは突然泣き出した。
「帝はお亡くなりになり、董卓と氷雪と宦官たちによる濁流の世になってしまった。汚泥に塗れて生きるなら、いっそ綺麗なまま
死んでしまいたい」ひょーりみの言葉に集まった官吏たちは貰い泣きし、場の空気は湿っぽくなった。
「ブハハハ…ゴミ官吏が^^ 泣くだけしかできねーから厨房扱いされんのよ^^」
「なっ、クマッタ!! 貴様に何がわかる!! 俺なんかフリスクを奪われ、董卓の専横を見ていながらなにもできないんだぜ!!
この司徒ひょーりみでさえ!!」
「まぁまぁ、俺様が董卓や氷雪の機嫌伺いしていたのは今日の為よ^^ ひょーりみ、お前の家に七星剣っつーキレキレの剣があるらしいな。
俺様に貸せよ。董卓なんか斬ってやるよ^^ 俺様も暗殺デビューしてやる^^」
「おお、クマッタ!! 大事の為になんで剣の一本や二本惜しむものか!! ささっ、あの逆賊どもを殺してくだされ」
クマッタの自信満々の一言にすっかり気を良くしたひょーりみは七つの宝石で彩られた「七星剣」をクマッタに貸し出した。
世は乱世、乱世の奸雄クマッタの考えはいかなるものか。董卓の命はどうなるか。続きはまた次回。
これは面白い
続きに期待
144 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/06/24(水) 10:50:00
面白いか?
面白いと思う。
146 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/06/24(水) 16:41:19
なのか
つづき きになる
ひょーりみもかわいそうに
第二回 乱世の奸雄クマッタ 董卓に取り入り
司徒ひょーりみ 愕然としW名無しの囁きに耳を傾ける
さて、クマッタはひょーりみより七星剣を受け取ると満足げに「^^」の顔文字と共に呟いた。
「鑑定団に出したらいくら行くんだろうな^^ 『スタジオへ』って最近見ねーな」「おい、クマオてめー七星剣だけパクろうだなんて
考えてねーだろうな」「うっせゴミ官吏が^^ 俺様には考えがあるのよ」「どうせねーんだろ。はよ言えや」「董卓には懐刀の李儒がいるだろう
あいつは敵に回したくねー 李儒のこと今日の宴も知ってるだろうよ しばらくはおとなしくしておいたほうがいいな^^」「あ? いつ董卓を
やんのよ」「とりあえず俺様たちは不仲のフリをしたほうがいいな^^」「クマオも考える脳みそはあるんだな」
クマッタの一言により、クマッタとひょーりみは元々接点がなかったところをさらに不仲に見せることにした。
一方、宮中は皇帝不在のまま相国である董卓が実質の施政者となり、後宮など裏方は張譲が、そして張温の後任としてクマッタが司空の位に就いた。
董卓と氷雪とクマッタはビ塢城で連日乱交パーティを開き、爛れた生活に飽きつつある氷雪は遠目で男女の嬌声を肴にして杯を傾けるだけだった。
クマッタの突然の出世に民は「あの氷雪の寵愛をつなぎとめるとは…よほどの巨チンか真珠でも埋め込んでいるに違いない。しかし陛下の二の舞になるだろうな」と
クマッタの一物を羨んだと同時にクマッタを憐れんだ。
霊帝は氷雪を満足させようと一物に玉を入れ、昼夜交わり続けたが満足させることなく腹上死したのである。
実際クマッタは巨チンでも何でもなく、氷雪と枕を共にしたことはなかった。飽きられないためには寝なければいい。こんな簡単なことに
クマッタ以外誰も気がつかなかったのである。
同衾しない二人であったが性的な趣向は似ていると言えば似ていた。
二人とも騎乗位が好きであった。氷雪はがりがりに抉れた乳を少しでも多く見せたいから、ラオタのクマッタは単に動くのが面倒なので
女が勝手に動く騎乗位を好み、巨乳好きなので揺れている乳が見られて二度おいしいだけであった。裸貫通は、こうも言う。
「正常位のほうが『胸、流れちゃった』と女性は言い訳ができるものとされるが、それは並の女性の話である。超貧乳には
使うことの許されぬ奥義なのだ」と。
中華一の美女の誉れ高い氷雪であったが、如何せん超のつく「ど貧乳」であった。天はやはり二物も三物も与えないものである。
クマッタは毎日董卓たちと乱痴気騒ぎ、一方で自分は童貞のまま仕事に追われる日々――ひょーりみの心は何か釈然としないものを抱えていた。
ある日ひょーりみは「クマッタさーん俺もビ塢城に来たよー仲間に入れてちょうだい」などと不仲に見せる協定を破りビ塢城にやってきた。
返ってきた言葉はクマッタの「なんだよゴミ官吏が^^」だけであった。董卓にも氷雪にも「なかったこと」にされ、エアー官吏ひょーりみの心は
折れそうになった。「やっぱうぜぇよ。あのビッチが!! 貧乳が!!」その夜ひょーりみの枕は涙で濡れたという。
ひょーりみの悲劇はこれだけではない。ある日などクマッタの声が聞きたいとぐずがり寝ようとしない氷雪のため、ひょーりみは
「ファビョッタ」と名乗り「呼んだか?^^」と顔文字まで真似て姿を現した。ところがこれもなかったことにされ、「プライド捨ててクマオの
物まねしたのによォ。完璧だったはずなのによォ」とひょーりみは男泣きした。
またある日のことである。
この日も涙でぐしょぐしょになった枕に顔を埋めながらひょーりみはある夢を見ていた。洛陽にいないはずのW名無しが枕元に立っているのだ。
「ひょーりみ司徒wwwwwwwww 司徒の癖に童貞wwwwwwww 何で氷雪にこだわんのwwwwwwwww 童貞の目覚めちゃいけない本能が蘇ったかwwwww」
「うっせー」「お前、氷雪に馬鹿にされてんぞwwwwww 童貞だし田舎者だしなwwwwwwwwww ヤリマからすりゃ、童貞なんか臭いし面倒だし
そりゃ馬鹿にされるわなwwwwwwwwww」「そうか…そうなんだ。あのアマは俺を馬鹿にしていたのか。
どーりで気にくわないわけだ。教えてくれてサンキュ」「いや、馬鹿にされてんのは事実だけど、童貞ってほんと手間掛かるよな。お前それは恋だよwwwww」
「恋…?」「だっさwwwwww 初恋もまだだってかwwww いいこと教えてやるよ。初恋って実らないものなんだぜwwwwww つまりお前は永遠に氷雪を手に入れられない」
「誰が誰に恋してんのヨ」「お前が氷雪にだよwwwww 」「だってあの淫売のこと考えると怒りで血圧が上昇し、夜も眠れないんだが」「じゃあ、何で気になるんだよ?
プライド捨ててまでクマッタの物まねしなくてもいいじゃんか。お前のは歪んだ恋だなwwwwwww」「俺があの女に恋だと? 俺はまいんだけを心の妻としていたのに!!」
わけのわからぬ奇声をあげるとそこは寝床だった。相変わらず枕は濡れていた。「変な夢だ」とひょーりみは頭を掻いた。
しかし、ひょーりみの脳裏にはW名無しが夢の中で最後に残した「手に入らないものは壊しちまうんだよwwwww 誰にも手に入れられないようにwwwww
俺はいろんな女を発狂させ自殺させたけどサイコーだぜwwwwwww 発狂している間、女は俺だけのこと考えてくれるんだからなwwwwww」という言葉が焼き付いていた。
この日よりひょーりみは鬱々とすることが多くなり、その様子を人づてに耳にしたクマッタは「そろそろかな」と七星剣を手にした。
曹操は董卓の元へ行くと、寝転んだ董卓の背へ七星剣を翳した。
七星剣は日の光を天井に鋭くうつし、董卓は光の強さにクマッタを振り返った。
「クマッタ何事だ?」「はっ。聞けば相国と氷雪様は最近マンネリ気味だとか^^」「うむ。儂はまだまだイケるのだが、
氷雪が儂に飽きてきたようなのだ…かといってこの体で若い女を満足させるのにも限度があってな」
「女性は血を好むものでございます。この七星剣で流血プレイをされてみてはいかがでしょう^^」「儂が死んでしまうわ」
「では柄をバイブ代わりに使い、相国が受け手になりませ。たまには男女の役を変えるのも新鮮でありましょう^^」
「むむむ…では試してみるとするか……」クマッタと董卓が破廉恥な会話をしていると氷雪が「クマちゃんみっけ!」といつものうざさでやってきた。
「ねークマちゃん、どーしていつも遅いの?」「ははっ、それがしのヤフーなる馬は老馬、どうしても遅くなってしまうのです^^」
「じゃあ、クマちゃんにいい馬あげてよ」「うむ。それがいいな。呂布!」「はっ」「クマッタに良い馬を与えよ」「ははっ」
「クマッタ殿、この馬でいかがか」「おお!! これは良い馬^^ 相国試し乗りをしても?」「うむ」
「そろそろ逃亡しようかな^^」
こうしてクマッタは暗殺に失敗し、逃亡生活に身を置くこととなった。
董卓と氷雪の強運は未だ続く様子。さて、司徒ひょーりみと司空クマッタの次なる策は。あるのか、ないのか。それは次回で。
>>152 「曹操」じゃなくて「クマッタ」な
サーセン
絶妙な狂いさ加減が良い
面白いけど端折りすぎだろ
156 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/06/25(木) 09:04:47
ちんどん屋
第三回 クマッタ 旧友と再会し
クマッタの旧友アンジェ 霊帝の遺言を反芻する
さて董卓暗殺を失敗したクマッタが逃亡先に選んだのは、意外や意外洛陽の郊外にある旧友の家であった。
「アンジェよーしばらく匿ってくれや 世話になるぞ^^」「なんだクマッタか 馬鹿」「語尾に『馬鹿』つけんのやめてくれねーかな 俺様
一応北大卒なんだが^^」「知るか 馬鹿」
アンジェ、豫州汝南郡汝陽県の人である。容貌は倭国の作家・太宰治に似ていたという。アンジェの家は「四世三公」の袁家と呼ばれ、
四代にわたって三公(大尉・司空・司徒)を輩出した名門中の名門であった。アンジェとクマッタは共に父を三公に持つ者として
自宅が近所だったこともあり、幼い頃から友情を育んできた。
二人の資質を語るエピソードとして次の二つが挙げられる。
アンジェとクマッタがまだ青春真っ盛りだった年頃のこと、クマッタは童貞のアンジェの為「花嫁泥棒」を思いついた。
友人の脱童を計画したのである。
「なーに 四世三公のお前に貰われたほうが花嫁も幸せってもんよ^^ 俺様が女なら感謝するね 女は男で人生決まるからよー^^」
「しかし、人様の物を盗むというのは…」「盗むなんて人聞きが悪りぃなー^^ まぁ行こうや はっなよっめさーん」「キャー!!
離して!!」「離してって言われて離す奴がいるかよ^^」「お、おいクマッタやっぱり…」「モタモタすんなや^^」
しかし二人は異変を察知した花嫁の家の者たちに追い込まれ、さすがのクマッタも花嫁を小脇に抱え逃走するのには疲れた。
「むぅ…重いし捨てるか…いや、この壁を乗り越えれば^^」「痛ぁーーーーーーー!!!!! 馬鹿馬鹿馬鹿!!!」
「あ? なにやってんだよ アンジェ^^」「見てわからんか 馬鹿 足を捻挫してしまったんだ 馬鹿!!」「この壁乗り越えれば
逃げられんぞ 早くしよーぜ^^」「痛くて動けん 馬鹿」「さすがの俺様も女とお前まで脇に抱えるのはなぁ…^^^^^^」
「痛いぞ 馬鹿」「アンジェ お前パスタばっか食うからピザるんだぜ 体重がこの女より軽けりゃおぶってやったのによ^^」
「煩いぞ 馬鹿 お前だってラーメンやイタリアンばっか食ってピザってるじゃないか 馬鹿!」「…おーい なんかピザ二匹が
暑苦しい言い争いをしてる声がするぞー」「やべ 追っ手だ^^」「もう俺を置いて逃げろ クマッタ」「ダチ残して行けるかよ^^」
ここでクマッタは機転を利かし大声で叫んだ。「花嫁泥棒はここだぞーーーーーー^^」
これを聞いたアンジェは足の痛みも忘れ、脱兎の如く駆けだした。逃亡、無事成功といったところである。
また、アンジェが妻を娶ったときのことである。アンジェの妻は自治新党氏といった。華燭の典もそろそろ終演となってきたころ、
肝心の花嫁の姿が見えない。心配したアンジェが邸内を見回ると、そこには自治新党氏の上で腰を動かしていた友人の姿があった。
「自治新党…クマッタ…お前たち…」「あ、アンジェ様…」「…ふぅ よぉーアンジェ お先に^^」
「アンジェ様これは違うのです クマッタ様が無理矢理に…わぁああああ」「大事な友人の嫁さんがどんなものか毒味してたわ^^
刀とか持ってたら危ないからな 異常はなかったぜ さぁ、アンジェ、お前も抱け^^」
自治新党氏は顔を両手で覆い泣き崩れた。クマッタは「^^」の顔文字を保っていた。
普通なら絶交するところを「いや、クマッタは友人の俺のために俺が挿れやすいように妻の穴を広げてくれたのだ 馬鹿」と
顔面蒼白のアンジェは流したという。二人の友情はこのように目に見えぬかたい絆で結ばれていた。
「クマッタ、お前匿ってくれって何かやらかしたのか 馬鹿」「うむ 董卓暗殺未遂だな^^」「なにぃ! どういうことだ 馬鹿!」
「董卓にへいこらして、寵姫氷雪にも取り入って安心させてからグサっと刺し殺してやろうと思ったけどよー 駄目だった^^」
「クマッタ…お前…」「一応俺様も代々漢室の禄を食んでいるからな^^」「ぅおおお!! クマッタでさえ逆賊を殺そうとしたというのに、
俺は、俺はっ!!」「なんだよ 今更忠臣かよ^^」
アンジェは懐から一つの緑色に輝く玉の印綬を取り出し、クマッタの目を捉えつつ語った。
「これは帝からお預かりしたものだ 馬鹿」「あ? 霊帝からか^^」「そうだ 馬鹿」「いったい、なんの印綬よ^^」
「帝は死の床に伏してもなお、氷雪の不貞を恐れていたんだ 馬鹿」「不貞って、『貞操』なんちゅー言葉はあの淫乱の辞書にねーぞ^^」
「どんな女でも惚れた男の目には貞淑な聖女に見えるものだ 馬鹿」「ふぅん そんなもんかね しかし不貞を恐れるということは
少しは帝もあの女狐の本性を気づいていたんかね^^」「どうだろうな…寵姫の不貞を恐れた帝に俺は『では、帝の後を追わせましょうか』って
聞いたんだ 帝は『いや、あれには天寿を全うさせたい ただでさえ体も頭も弱いのだから』って否定されたぞ 馬鹿」
「じゃあ、その印綬はなんだよ?」「『天寿を全うさせたいが、もし氷雪が朕以外の男をくわえ込むことがあったなら――そのときはアンジェよ
迷わずこの印綬を使い氷雪を殺すのだ』そう帝は俺に伝え、この印綬を握らせたんだ 馬鹿」「なるほどなー 帝もあの奸婦に権限を持たせすぎたからな
印綬でもお前に持たせぬ限り氷雪が怖くて宮中の者たちも信用すまいよ^^ つか氷雪って男くわえ込みまくりじゃん 何人と寝てんだか
宮中は穴兄弟だらけだろうな^^」「うむ そうだな 馬鹿」「じゃあ、その印綬を使う時が来たということだな^^ お前そんな便利なもん
あんならもっと早く言えよー 俺様無駄足だったじゃねーの^^」
クマッタの楽観的な様子をよそにアンジェは顔に影を落とした。
「あ、どうしたってのよ 早くその印綬で董卓もろとも氷雪を殺そうや^^ 一回くらいお願いしてみたかったが、氷雪消さねーと世の
gdgdは治らねーよな お偉いさん方はあのビッチを巡って争うしよ^^ あのアマがいる限り乱世は続くべ」
「…待てクマッタ、お前ほんとうにそれでいいのか 馬鹿」「あ?」「いや、なにも殺すころはないだろうというのが
俺の本音だ だいたい女一人になにができよう 無駄な血は流したくないのだ 殺すのは董卓だけでいいだろう 馬鹿」
「アンジェお前、知らねーのか お前の上司・何進大将軍も氷雪と寝てんだぞ^^」「なにぃ! 何進様までか!!」
「アンジェ、お前甘めーよ どうせ相手が女だってことで同情しちまってんだろ^^」「そういうクマッタだって実はそうなんだろう 馬鹿」
「まぁなぁ…ただよ 俺たちは個人の前に一人の官吏だということを忘れちゃなんねーよ 犬だって食いものくれた奴のことは覚えているもんよ^^」
「そうだな…今の俺は犬以下だな…俺の馬鹿…」「さっさと印綬使おうぜ^^」「ちょっと、一人にさせてくれないか 勝手に飲み食いして
今日は寝てくれ 馬鹿」「へっ?」「ラーメンでも食って寝ろ 馬鹿」「おーラーメンか ちょうど腹が減ってたのよ 夜に食うラーメンって
格別だよな ピザるとわかっててもやめられねー^^」
ラオタのクマッタはラーメンと聞き、印綬のことからすっかり感心をラーメンに移した。
クマッタに山岡家のラーメンを与えるとアンジェは屋敷の庭へ出た。
生暖かい夜風がアンジェの頬を撫で、どこかで虫が鳴いていた。アンジェは印綬に問いかけた。
「…陛下…臣・アンジェはどうあるべきでしょうか 臣は女を手に掛けるなどできません しかし、一方で
陛下のご恩に報いたい気持ちもあるのです どうすれば…お教え下されっ!!」
月に照らされた印綬は冷たく光るだけであった。
さて、アンジェは霊帝から託された印綬を使うのか。それとも使わずに漢室を救い出すことができるのか。
つづきはまた次回。
161 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/06/25(木) 20:44:20
クマッタ外道過ぎワロタwwwwwwwwwwww
162 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/06/26(金) 08:04:46
コマッタ
163 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/06/26(金) 08:49:49
仲良くしなさい
コミカルで面白い
165 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/06/27(土) 01:06:29
続きまだぁ?
続きマダガスカル
167 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/06/27(土) 09:03:48
スリランカ
168 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/07/03(金) 13:54:46
SS厨の特徴
・アンチ叩きにやっきになる
・完結したのに続きを書き始める(主に携帯が多い)
・日付が変わる前に酉を付けることを推奨する
・草レスが異常に多い。むしろこれで誤魔化す
・自称絵師様(笑)が見たくもない下手糞な絵を貼る
・どんなクソ内容でもとりあえず「wktk・わっふるわっふる」と書き込む
・
>>1が再開すると「キター」と無駄レス
・作者を特定しようとする
・PCと携帯で争い出す
・先読みを始める
・平気でパートスレを立てる
・SSの意味を分かってない。むしろ勘違いして理解している。
・ゆとり・ニコ厨・休暇厨が主な住人である←これ重要
・求められてないのに自己主張を始める
例@「これからバイトなのに…」
A「気になって寝られない」
B「やっと追いついた」
・エロ展開になると似たようなレスが多くなる
例@「ふう…」
A「下半身が寒いのだが」
B「イイヨーイイヨー」
・支援と保守の意味を知らず、或いは混同して使っている。←New!
・以上の項目に当てはまってもSS厨であることを認めようとしない。
VIPPER(笑)
170 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/07/04(土) 09:18:06
比布
171 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/07/18(土) 23:05:39
なんでこっちに続き投下しないんだ?
173 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/09/25(金) 04:09:44
氷雪出てこぉ!
174 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/10/01(木) 16:13:52
エレキバン
175 :
無名武将@お腹せっぷく:2009/12/04(金) 12:25:35
続きまだ?
176 :
SAAB ◆KWBc4aCEQbEi :2010/01/08(金) 16:03:47
むかしむかしのそのむかし。
大陸のはるか西方にサンセンと呼ばれる国がありました。
この国には学徒家という王家があり、代々国を治めておりました。
ところが学徒出陣という者が王になった頃から、この国の様子がおかしくなり始めました。
名門貴族であったロコ家が力を伸ばし、王家の威信を脅かし始めたのです。
学徒出陣はロコ家の専横の前に王位を追われ、サンセンはロコ家当主のロコ三郎を筆頭とする元老院に支配されることになったのです…。
177 :
SAAB ◆KWBc4aCEQbEi :2010/01/08(金) 18:09:58
act.1「春の祭典」
元老院による学徒王家からの政権奪取、後に「トリワリ革命」と呼ばれる事件からすでに20年の月日が経っておりました。
この間に元老院は着々と国家体制を改革してゆき、サンセンは一見すれば共和政治を敷く民主的な国家に生まれ変わったかのように見えました。
ところが、実態はどうかと言えばロコ家や金家、可児家といった王政時代に名門貴族として勢力を伸ばした者たちが国政を牛耳る貴族政国家だったのです。
そのうえ学徒王家という押さえを失った貴族たちは互いに権勢を争い、サンセンは内乱寸前の様相を呈しておりました。
また一方では都を追われた哀れな学徒出陣王になりすましては国民を不必要に煽動する者も各地に現れ、サンセンの民は大いに動揺していたのでした。
サンセン全土がそんな暗い雰囲気に包まれていた頃、サンセンのちょうど中央部にあたるツヅリの地に焼肉ぷらすという名の商人がおりました。
彼は商売の為ならば一日に千里を駆け、東でリュートを売っては西で焼いた肉を売り、それはもう精力的に商売に励んでおりました。
ある新月の晩のことでした。
焼肉ぷらすが仕事に疲れベッドで眠っていると、突然寝室が眩い光に包まれました。
焼肉ぷらす「何だ光は!?いったい何が起こったんだ!?」
???「焼肉ぷらすよ、目覚めなサイ」
焼肉ぷらす「お前は誰だ!?なぜ背中に翼が生えているんだ!?」
???「焼肉ぷらす、落ち着きなさい。ワタシは聖天使ザビエル、神の使いです」
焼肉ぷらす「えっ、それは本当ですか?」
聖天使ザビエル「ワタシの言うことが信じないのデスか?」
焼肉ぷらす「いえ決してそんなことは。ですがいきなり聖天使と言われましても」
聖天使ザビエル「では証を見せましょう。今から神のお力の片鱗をアナタに与えます」
そう言うやいなや聖天使ザビエルの左手から真っ赤に輝く光球のようなものが浮かび上がりました。
そしてそれが焼肉ぷらすのほうへすぅーっと近づきました。
当然焼肉ぷらすは驚き、ベッドの枕のほうへ逃げようとしましたが、それより早く光球が奇矯屋onぷらっとの胸に潜り込みました。
焼肉ぷらす「アッー!?」
聖天使ザビエル「落ち着きなサイ、焼肉ぷらす。今アナタは神のお力のほんの一部を手に入れマシタ。」
-------------.「ほんの一部とはいえ普通の人間には無い不思議な力デス。その力がアレば民を救う数々の奇跡を起こせるデショウ」
-------------.「アナタは神に選ばれた特別な存在」
-------------.「この国をアナタが正しい姿にすることを神は望んでいマス」
-------------.「タダシ。その力をもしアナタが間違ったことに使うようであれば、ワタシはまた新月の晩に現れるデショウ」
聖天使ザビエルはそう告げると霧のように消え、寝室は再び静寂の闇に包まれました。
焼肉ぷらす「この国を正す力だと…?」
---------..「オレにそんなことが出来るのだろうか…」
178 :
SAAB ◆KWBc4aCEQbEi :2010/01/08(金) 18:11:21
それから数ヶ月後、サンセンである不思議な噂が流れていました。
サンセンでも有数の大都市ゴミバコに、奇跡を起こす不思議な術者が現れたというのです。
ただでさえ頻発する偽学徒出陣出現事件に手を焼いていた元老院は、噂の真相と術者の素性調査のためにロコドール卿をゴミバコに派遣したのでした。
ロコドール卿はその名の通りロコ家の者でありましたが、傍系であるという理由でロコ三郎に次ぐ長老格でありながら元老院ではあまり権力を持っておりませんでした。
本人も常々そのことには不満を抱いており、今回も本当かどうかもわからぬ噂の調査で出張させられることに不機嫌を隠しきれておりませんでした。
彼はことあるごとに従者のひょーりみに愚痴をこぼし、自分の境遇を呪っておりました。
ロコドール「この歳にもなってこんな埃っぽいスラムに体よく追い払われるとは嘆かわしい…」
--------..「わしは三郎卿とともに革命を成功させた国家の元勲であるぞ!」
ひょーりみ「そうだねグリーンだね」
ロコドール「それなのにこの仕打ち…。元老院の若僧どもは古参に対する礼儀を知らんのか!」
ひょーりみ「んなことよりドール卿さァ、あそこのレストラン、美味そうなナポリタン出してるぜ。そろそろ昼時だしどうよ?」
ロコドール「嗚呼ロコロール卿、あなたに仕えていたあの日々が懐かしい…」
ひょーりみ「おい無視すんなオッサン」
ちょうどその時、二人の前に人だかりができていることにひょーりみが気づきました。
ひょーりみ「おゐおゐ、元老院議員ロコドール卿のお通りだぞ。道を空けなさいヨ」
群集A「ぷら様マンセー!」
群集B「神はぷら様のみ!」
ひょーりみ「神とかお前らマジ頭おかしいだろ。きめえ。氏ねよや」
ロコドール「…!こらひょーりみ、わしの話を聞かんか!よいか、わしは本来なら今頃元老院議長にな(ry」
ひょーりみ「ちょっとドール卿は黙ってて。もしもしそこのお兄さん、これはいったい何の騒ぎなんだい?」
群集C「お前ぷら様を知らんとか田舎者だろ?情弱乙」
ひょーりみ「は?俺っち出身はヒョウゴだからマジ近畿だし。氏ねよ」
???「君たち、無為な喧嘩は止めろ。オレがその昂ぶる心を癒してやろう」
群集C「ぷら様!?なんと私のような下賤な者にお声をかけてくださるなんて!」
ひょーりみ「おめー誰よ?」
???「オレの名は奇矯屋onぷらっと。この国に生きる民のために非力ではあるが力を尽くしている者だ」
群集A「ぷら様!ぷら様!神降臨!神降臨!」
群集B「俺はぷら様のためなら死ねる!」
ひょーりみ「ふーん、もしかしてオッサンが噂の奇跡を起こす術者ってやつ?」
奇矯屋onぷらっと「奇跡と呼べるほどのものでもないがな。オレは民のために持てる力を使っているだけだ」
ひょーりみ「胡散くせー。マジ偽善者とか氏ねばいいのに」
ロコドール「おお、でかしたぞひょーりみ。この男が噂の術者なのだな?」
ひょーりみ「アンタ今まで何聞いてたのヨ」
奇矯屋onぷらっと「その議員バッヂ…。元老院の議員か?」
ロコドール「いかにも。わしは元老院議員のロコドールである。奇妙な幻術で民を徒に惑わすペテン師の噂を聞きつけ、はるばる都から来たのだ」
179 :
SAAB ◆KWBc4aCEQbEi :2010/01/08(金) 18:12:04
群集A「ぷら様はペテン師じゃないぞー!」
群集B「議員なら議員らしく元老院にこもってろ!」
群集C「かーえーれ!かーえーれ!」
ロコドール「な、な、な、なんだと!?わしは革命を導いた元勲であるぞ!平民ども頭が高(ry」
奇矯屋onぷらっと「皆さん、静かにしなさい」
奇矯屋onぷらっとの鶴の一声で群集は静まり、ついでにロコドールも気圧されたのか黙りました。
奇矯屋onぷらっと「ドール卿、オレはペテン師なんかじゃない。この国を正しい方向へ導こうと日々市井を這っている者だ」
ロコドール「国を正すだと?君は革命体制を否定するつもりかね!?」
奇矯屋onぷらっと「そうではない、ドール卿。オレは学徒を追放したことに異論は無い。だが元老院はその後民衆を救済することをしなかった」
--------------..「だからオレが民を救うんだ。元老院の代わりにな」
ロコドール「言わせておけば!わしら元老院でさえ救済できぬ貧民をどうやって救済するというのだね!?」
奇矯屋onぷらっと「オレには奇跡を起こす力がある。それで充分だ」
ロコドール「奇跡だと?」
奇矯屋onぷらっと「あぁ、奇跡だ。たとえば、このように…」
そう言うと奇矯屋onぷらっとは持っていた杖で地面を突きました。
するとどうでしょう。そこから綺麗な水が湧き出したではありませんか。
ロコドールは驚き奇矯屋onぷらっとを見ました。
今度はそばにいた群衆の禿げ上がった頭を撫で回すと、フサフサのブロンドヘアーが生えているではありませんか!
ロコドールは驚きのあまりその場にへたり込むと、奇矯屋onぷらっとの右足に接吻をし、高らかに叫んだのです。
ロコドール「ぷら様マンセー!」
群集がどっと歓声を挙げ、広場はぷら様コールに包まれました。
そんな中、ひとりの若者が人だかりをそっと離れました。
ひょーりみ「うわドール卿まで洗脳されたのかヨ。俺ァもう知らね。腹減ったしさっきのパスタ屋でナポリタンでも食お」
元老院議員の心まで掴んだ奇矯屋onぷらっとの目指すものとは。
そして一人ナポリタンを求めパスタ屋に向かったひょーりみを待つものとは。
続きはまた次回。
180 :
ひょーりみ ◆00/FP3k5IQ :2010/01/08(金) 20:08:34
ABBA
い
182 :
無名武将@お腹せっぷく:2010/01/27(水) 14:09:54
ドラマやってる。
183 :
無名武将@お腹せっぷく:2010/03/18(木) 15:20:44
しゃしゃぶのいとこはぐいみ
184 :
無名武将@お腹せっぷく:2010/04/19(月) 19:55:12
三戦コテで昼ドラ
タイトル:精液とミルク
登場人物
○公爵・・・公爵家の唯一正当な血筋。お上品な美少女。陳Qとは相思相愛の仲。
○アンジェ・・・公爵と瓜二つだが、精液精液と叫ぶお下品な美少女。公爵の死後、公爵として生きていくことを選ぶ。
○陳Q・・・公爵を守るために公爵家に貰われた養子。
○氷雪・・・公爵の出来の悪い弟。男の娘という名のガチホモ。ガチホモなのを棚に上げクマッタが振り向いてくれないのは爵位がないせいだと思い込んでいる。
○クマッタ・・・公爵の親友だが、陳Qに惚れている。公爵とは学習院女子時代からの親友。
○うんぴ・・・公爵家の執事で野心家。「俺は公爵家に叛逆する!!!!!!1111!!!!!」
○ととのえ老臣…俳優。アンジェとクマッタ共通の友人だが、女癖が悪い。
186 :
無名武将@お腹せっぷく:
クマッタの乱