無双先生ネギま!! ドキッ!! 男だらけの学園生活
(ー‘; ) ←佐倉
⊂ ヽ
ィ^
>>1(;ヽ _)_) )) カポカポ
(__人__,つ ∪J
276 :
鬼神:2006/09/18(月) 23:22:10
人
(__)
(__)
(,,・∀・) ))
/つ( ̄`ヽO_ノ⌒ヽ さてと、そろそろ寝るか
ノ ) \ ))
(__丿\ヽ :: ノ:::: )
丿 ,:' ))
(( (___,,.;:-−''"´``'‐'
人
(__)
(__) < 寝る前にウンコー!!
( ・∀・ )
/ _ノ⌒⌒⌒`〜、_
( ̄⊂人 //⌒ ノ ヽ)
⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃
277 :
無名武将@お腹せっぷく:2006/09/19(火) 00:19:09
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/:::::::::::::/,,ヽ ,●
● i:::::::::::::::i ii`!l/
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/⌒ヽ⌒ヽ(( |:::::::::::::| し/
/ ヽ ヽ::::::::;;t_ノ
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| つ / 八 ヽ/ ,`''
| | ( __//. ヽ ,, , ) /
| | 丶1,,,,;;::::::::::: 八., ''''''! /
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\ `ヽ i___,,」
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ノ _>
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278 :
無名武将@お腹せっぷく:2006/09/23(土) 08:54:23
〜藤甲先生 ゴツま!〜
超巨大な総合学園都市『於夫羅学園』の女子中等部にやってきた新任先生は、なんと身の丈十二尺のお子ちゃま!! しかも藤甲兵だったのです!!
お子ちゃま先生・ゴツ先生と31人+αの美少女クラスメイト+αたちが繰り広げるドッキドキなハイスピードラブコメに山頂バトルも炸裂しながら、
お祭り好きな於夫羅学園の人たちを巻き込んで、てんやわんやの大騒ぎ中! 加速を続けるゴツま!ワールド、この魔法はまだまだ解けない!!
「ええと…あ…あの…ボク…ボク…今日からこの学校でとう…歴史を教えることになりました
『ゴツ・スプリングフィールド』です。3学期の間だけですけどよろしくお願いします。」
洛陽高校の中で最も危険度が高いと言われているクラスがある。それが、中等部の3−Aだ。
このクラスは大抵誰かが騒いでいる。それは授業中でも同じで、教師達はそんな生徒の押さえ付けに苦労していた。
しかし、今はその騒がしさは何処かへ走り去ってしまい、代わりにクラスは重々しい沈黙に包まれていた。
昨夜の乱闘騒ぎで伯符を初めとする4人が職員室に連行されていた。そして、もう3時間目になるのにまだ帰ってこない。
このクラスは自習である。他のクラスも、いや、学園中で自習になっているらしく事態はただ事ではない気配を見せた。
「ええい、もう我慢できん!この村上孟起が教師どもに正義を見せ付けてくれよう!」
「落ち着きなさい。貴方のような影の薄い人が行っても無視されるだけです」
儁乂がそう言うと、孟起はすぐに黙り込んだ。この中で唯一まだ騒げる気概が残っているのは彼ぐらいだった。
そして、その孟起と対照的にどん底に落ち込んでいる人間もいた。
「……孟徳、元気を出せ。靴ぐらいすぐに見つかるだろう」
「……そういう問題ではない」
孟徳が得体の知れない嫌がらせを受けていた。数日前の画鋲事件の時から頻繁に物がなくなったり、何処からか小石をぶつけられたりしていた。
子義と子明が側についているので大事には至らないが、見に覚えの無い暴力を受ける事は孟徳の心に大きな傷を負わせていた。
それも、昔受けたことのある物ならなおさらであった。
孟徳は今日も朝から机に突っ伏してうなだれていた。
「……孟徳」
「何だ……」
不意に、孟徳の頭上から声が掛かった。顔を上げる気のない孟徳は突っ伏したまま返事をする。
頭の上に何かが落ちてくる感触を受けて、ようやく孟徳は動いた。頭の上に乗った物を手で掴み、顔を上げてそれが何なのかを確認した。
眼帯だった。
驚いて更に顔を上げると、そこにはいつもしている眼帯を外した元譲が立っていた。伊達眼帯を外してみると、元譲の顔は意外と普通だった。
その元譲が口を開いた。
「お前に足りないのは、ファッションセンスだ」
孟徳は耳を疑った。ファッションセンス。この状況で一体何を言い出すのだろうか。
返す言葉が見つからず混乱していると、元譲はスーツケースを一つ取り出した。中を開けると、彼が普段使っている化粧道具や、小物などが入っていた。
「まずこの眉毛!中途半端に揃えるな、きっちりと2本の線にしろ!
そして目元!隈ができているぞ、このファンデーションで隠せ!
続いて頭髪!オールバックにした所はいいが、お前の背の高さでは似合わない。後ろで括ってやれば良くなるぞ。
そう、身長だ、身長が問題なんだ!……ええい、これは俺でもどうしようもない。
とりあえず、その眼帯はつけておけ。それだけでかっこよさが2倍になる。
後はそうだな、もう少し若さを強調させる服装にして……よし!」
10分ほどで、元譲による孟徳の改造計画は完了した。
そこには、身長こそ低いもののまあ女子には人気が出るんじゃあ無いかと思われるそこそこの隻眼の美青年が立っていた。
元はいいのに服装などをずぼらにしていた以前と比べると、見掛けは大分好感が良くなった。
元譲が孟徳の肩をがっちりと掴んで、話し始めた。
「いいか、孟徳。人の第一印象は見た目で決まる。
世の中には心があればいいとか、見た目だけじゃダメだとか言っている奴らはいる。それは確かにそうだ。
だが、見かけで誰も近寄ってこなかったら心も理解されんだろう?
だから、少なくとも見た目だけは恥ずかしく無いものにしておけ。いいな?」
「更にこの『軍神ペンダント』をつければ女の子にもモテモテ、金運も大幅アップ!今ならサービス価格でたったの……」
「お前は黙っていろ!」
何か怪しげなものを売りつけようとした雲長は、横槍を入れられるのが嫌いな元譲に殴り飛ばされた。流石の軍神も奇襲には対応出来ないらしい。
「あ、ああ……」
孟徳はすっかり気圧されて、元譲の話をそのまま受け入れるしかなかった。だが、そこでふと一つの疑問が浮かんだ。
「元譲、お主はどうするのだ?眼帯ぐらいは返したほうがいいと思うのだが」
確かに、眼帯がなくなると元譲はいたって普通である。そんな状態をクラスのファッションリーダーが我慢できるとは思えない。
「安心しろ。対抗策は用意してある」
そういうと、元譲は懐から『対抗策』を取り出した。それは黄色い手ぬぐいだった。
元譲がそれを頭全体を覆うように巻きつける。すると、物凄いがらの悪そうな盗賊の親分がそこに出現した。
「元譲殿。一般的な服飾感から考えて、それは元譲殿には不適切だと思われます」
子義が冷静に事実だけを報告する。単純に言えば、ダサいということだった。
「そうか。そうだよな……でも、街中じゃ今これが流行って―――」
突然、机が倒れる音がした。目の前からだった。大人しく机に座っていたはずの孟徳が、その机を倒したようだった。
だが、様子がおかしい。顔面蒼白で、手は拳を作って震えている。そして、何かに怯えているような表情であった。
子明が声をかけようとする前に、孟徳はそのまま教室を飛び出して何処かへ出て行ってしまった。一人だけの足音が、次第に遠のいていく。
元譲も、子明も、教室にいた他の人間達も、その普段からは想像できないような孟徳の態度に釘付けになってしんとしていた。
「……どうしたんだ、あいつ」
そう言いながら、元譲が頭の布を外した。
暫くして、再びドアが開いた。先程孟徳が出ていったドアではない。いつも公台が入ってくる前のドアだった。
そしていつも通り公台が入ってきた、と思ったら続いて伯符、その後ろに公瑾、仲康、文長と、朝から居なかった4人が入ってきた。
「……どうだったんだ?」
子龍が恐る恐るといった表情で聞いた。ひょっとしたら、今日で最後のお別れになるかも知れなかった。
最初に口を開いたのは伯符だった。本来なら、これは公台が言うべきセリフだったのだろう。
実際にそれを決定したのは彼女とその同僚達であったし、直接そうなるとも決まったわけではない。だが、彼女の口から喋りたくは無かったし、その理由もあった。
だから、ここで伯符がこう言ったのは適切だった。そして彼らに衝撃を与える事は、誰に言わせても同じだった。
「これから、戦争だ」
〜17時間目 戦場へ〜
怒涛の急展開。
説明は次回まで待って下さいお願いします(´・ω・)
>>273 >>274 レスありがとうございます。
見限ったsageをされた時は本気で止めようかとも考えてましたが、まだしぶとく生き残るようです。
>>278 釣りかもしれないと思いながら言おう。
もしこの話の続きが書けたら、そのネタを拝借してもよろしいですか?
おおおおすごい急展開!
出て行った孟徳が気になる。そして両目あるのに眼帯ww
続き楽しみにしてるよー
;ヾ、,.、,、.、rツ ッッシ、:':' r':' _,、-'゙_, や 公 帰 そ
,、,、,ミッン、,._ _,、-'゙_,、-'゙. っ 園. り ん
、ィッ ,:、 ゙''ゞ=ミ、~.: _,、-'゙_,、-'゙ __, て の 道 な
}; ヾ ゙' {!li;:,. _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,::|_| 来 ト に わ
ゞァ''゙ぐ _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,、-''" .|_ た イ あ け
,ヘ:'_,、-'゙_,、-'゙..::「┴_,エ ┴ ''"_|_| の. レ る で
└i'゙-ニ,ニエ,.:|ニ「 _エ ┴ ''"_|_ だ に
|エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴ __.|_|_
|エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴ 「fj.||__|__| _|
|エ | ニエ, |[8] _エ ┴ └‐_|_|__l__,|⊥ |__
|エ | ニエ, |二 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
|エ | ニエ, |┴ _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__|
|エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
|エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__
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''ーニ_''ー::、_ ゙┷ 工_二'‐-、,_|_|__l__,|⊥ |__
二二二`''ーニ`_''ー-、_¨''━、L|__|__| _|_|_
二二二二二二二`''ーニ_''ー 、_ |⊥ |__
魏延の肛門から信じられないほど大量の大便がひり出された。その量も臭いも凄まじく、
魏延自身も今まで経験したことの無いほどのものだった。そしてそれをすべて愛する
男の顔を便器にして排泄しているという事実が魏延の官能を暴走させていた。
「ふごごっ!!おごおおっ!うぶうううっ!むううっ、むはああっ!おぎょっぉぉっ!げはっ!
おむむむぅ・・・げほおおっ!ごほっ、げほっ!おごぐおっ、おむぅぅ・・・・っ!!」
その大量の大便は当然誇り高い五虎将の口内に収まる筈も無くほとんどが顔面を汚した後
すっかりぬるくなった湯船の中に落ちていく。先ほど黄忠の大便と魏延の大便とが
混ざり合った湯は奇妙な生暖かさを2匹の肌に感じさせていた。
黄忠「おおおぁぁぁーーーーーっ!!文長!!ワシのウンコッ、ウンコッ、汚いウンコ見てくれぇぇっ!!
すごいぞおおっ!ウンコでこんなにいい気もちになったの初めてじゃぁっ!もっと、もっとしたい、
ウンコしたいぞぉ!!おぬしのウンコ食べて、ワシ、ウンコ大好きになっちゃったぞおぉっ!
もう弓はいらないっ!これから、これから毎日ワシに文長のウンコ食べさせてくれええっ!ワシ、
文長のウンコたくさん食べて、もっと、もっとたくさんウンコするからあっ、おぬしの前でたくさん、
たくさんウンコしたいぞぉっ、好きじゃっ!文長…愛してるぞぉっ!!もう、もう、
絶対文長のことはなさないからなっ!!あああーーーーーっ!イク、イクぞッ、
文長ぉっ!ワシ、ウンコしながらイッてしまうぞぉっ!!ワシ、ワシ、あひいいぃぃーーーーーーーっ!!」
ビチビチビチビチビブビイイイィーーーッッ!!ブババッ!ブジャアッ!ブピピッ!
ぬりぬりぬりむりむりりりっ!!ぼちゃぼとぼとっ!ブビブビッ!
ずるずるずるるるるうぅぅーーーーっっ!!ブッボオオオッ!!
文長「ああっ、もうダメッ!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ!
ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!!!
ムリムリイッッ!!ブチュブチュッッ、ミチミチミチィィッッ!!!
おおっ!ウンコッ!!ウッ、ウンッ、ウンコッッ!!!ウンコ見てぇっ ああっ、もう
ダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!!
ブリイッ!ブボッ!ブリブリブリィィィィッッッッ!!!!
いやぁぁっ!わし、こんなにいっぱいウンチ出してるゥゥッ!
ぶびびびびびびびぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!ボトボトボトォォッッ!!!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ!
ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!!!
ムリムリイッッ!!ブチュブチュッッ、ミチミチミチィィッッ!!!
おおっ!ウンコッ!!ウッ、ウンッ、ウンコッッ!!!ウンコ見てぇっ ああっ、もう
ダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!!
ブリイッ!ブボッ!ブリブリブリィィィィッッッッ!!!!
いやぁぁっ!わし、こんなにいっぱいウンチ出してるゥゥッ!
ぶびびびびびびびぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!ボトボトボトォォッッ!!!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ!
ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ! 」
290 :
鬼神:2006/10/04(水) 18:04:22
乙です。
これからが戦争ってどういう意味なんだ。
これからが気になる。
ローションヌリヌリしてニュルニュルになってマンマン見てチンチンおっきになってから
アーシェにチンチンをコキコキされてドピュドピュしたらカイカイになって泌尿器行って
恥ずかしくてムズムズしてたが薬ヌリヌリしてもらったら治ったのでワクワクドキドキしてまた
292 :
無名武将@お腹せっぷく:2006/10/17(火) 20:58:19
「「「「「とうッ!!」」」」」
「「「「「曹魏戦隊、バカレンジャー!」」」」」
張遼「今日も元気だ!バカレーッド!!」
張郃「油断大敵!バカブラック!!」
徐晃「蛙飛び込むバカブルー!!」
于禁「食前食後に!バカイエロー!!」
楽進「みんな仲良し!バカピ」
続く!?
294 :
◆yI4PhQLufg :2006/10/25(水) 00:18:18
〜19時間目 blue sky was dead〜
洛陽から東へ行った所に、広宗と言う土地があった。城があり、畑があり、人がある。ただそれだけの普通の土地だった。
その土地へ向かって、幾多もの人間が歩いていた。甲冑を身に纏い、武器を手に持ち、隊列を崩すことなく歩いている。
その集団の中心には『漢』と書かれた旗が翻っていた。洛陽より出発した、3万人の官軍だった。
「よう、義真」
官軍の丁度中央を馬に乗って進んでいる槍を持った黒いモヒカンの男が、隣にいる馬と一緒に全身を甲冑に固めた素顔の見えない将軍に声をかけた。
「……これで25回目だ。だがあえて言おう。何の様だ、公偉?」
不機嫌そうな声で、後漢左中郎将・足利義真は隣に並ぶ後漢右中郎将・源公偉に言った。
「ただ呼んだだけ」
およそ25回繰り返されたこのやり取りを、公偉はまだ楽しんでいるようだった。そして義真は怒鳴りたい気持ちを抑えつつ、黙々と馬を進めていた。
暫く軍と共に進んでいると、先鋒がざわめき出した。かねてより斥候が報告していた敵が地平線の上に見えてきたらしい。
二人の将軍が指示を出すと、軍勢は一層緊張の度合いを高めた。資材が動かされ、布陣が始まる。
遠くに見える敵影は、およそ5万ほどだった。どれも頭に黄色い布を巻きつけている。最近巷を騒がす黄巾党と言う宗教の信者だった。
漢が滅び、民により新たな国が作られる。そんな根も葉もない噂を流した宗教が広まったのは最近の事だった。初めは誰もがただの詐欺師の新興宗教かと思っていたが、奇跡によって盲目の病を治したところから民衆の見方が変わった。
黄巾党の教祖、麻原張角は主に東部で活動し、病を治し、教えを広め、信者に黄色い布を渡す事によってその勢力を拡大していった。そして、信者が増えるごとに漢が滅びるという予言は、漢を滅ぼすという目標に変わっていった。
そしてある日、信者達は武器を手に取り街を襲い始めた。今まで宗教という事で国もうかつに手を出せなかったが、こうなれば立派な賊徒である。
ただちに地方の太守が軍勢を派遣した。しかし、相手は農民の集まりなのにどの軍勢も討伐する事は出来なかった。それどころが、軍が丸々信者になってしまい相手の力を更に増強させる事もあった。
見かねた皇帝が勅令を発し、官軍5万が討伐に向かった。地方の軍勢とは違う。この国最強の力の一辺である。
「布陣が完了いたしました!」
士官の一人が言った。義真は何も言わずに頷いた。相手もこちらの出方を伺って、陣を組んだまま動かない。敵は方陣を組んでいる。こちらは歩兵を先頭に楔の形に兵を並べていた。
両者の放つ軍の覇気が戦場を覆う。待機したままの兵士達の手を汗が伝っていった。
一瞬、賊徒側の左翼が飛び出そうとした。だが命令違反だったらしく、指揮官の指示ですぐに戻ろうとした。
「「行け」」
公偉の声と義真の声が重なった。それを聞いて、5万の兵が地響きを上げて敵陣へと殺到していった。敵も方陣を組んだまま前進する。ただ、先程の動きで左翼に僅かに乱れがあった。
楔の先頭が、敵の箱の一辺に刺さった。途端に、楔の後方にいた騎兵達が味方の両脇を回って背後に回ろうとする。気づいた敵の指揮官が、両翼に対処させようとする。
「そこだ、押せ!」
公偉が叫んだ。義真は既に先頭を歩いている。楔から鶴翼に変化した官軍の中央は、両脇に敵の注意がそれた瞬間に一気に押した。その先頭には、総大将の義真がいる。
鉄騎馬に乗った甲冑姿の義真は的になりやすい。二人の黄巾兵が飛び掛っていく。義真は動じずに、自らの背丈ほどある斧を高く掲げた。
振り下ろすと、黄巾兵の一人がひしゃげた。だが、反対側から来た黄巾兵が義真に剣を振り下ろした。
金属音。兵の持った剣が折れていた。甲冑には傷一つついていない。あんぐりと口を開けている兵士を、鉄騎馬が蹴り飛ばした。そして、何事も無かったかのようにまたゆっくりと前方に歩き出した。
その頃、左翼に回った騎兵は動きの乱れた部隊を突破し後方から攻撃を仕掛けた。少し遅れて右翼の兵も続いてくる。挟撃を受け、賊徒は壊走状態になった。
指揮官の頭に矢が刺さるのを公偉は後方から欠伸をしながら見ていた。
薄暗い。完全に暗くならないのは、入り口から差し込む光と、中央に置かれた祭壇の炎のお陰だ。
その炎の前に座って、一人の老人が瞑想していた。髪も髭もぼさぼさになっているが、まだ白くはなっていない。老人の前には杖が一本置かれていた。
その老人と祭壇の後ろには五百人ほどの信者が控えていた。頭には例外なく黄色い布を巻いている。
不意に、入り口の方が騒がしくなった。上半身裸で筋肉質の男が駆け込んできた。
「大兄ぃ!官軍が出てきたぞ!」
髭面の顔に黄色い布を巻いたその姿を見て、彼が張角の弟であり人公将軍とも呼ばれている麻原張梁と分かる者はまだ少ない。
弟の切羽詰った声を聞き、黄巾党教祖にして天公将軍、麻原張角は瞑想を止めゆっくりと立ち上がった。
「そうか……」
神々しさと胡散臭さを兼ね備えた声で、張角が言った。
そして、叫んだ。
「答えよ張梁!流派、太平道は!」
先程までの老いは何処かへ吹き飛び、妙な立ちポーズを決めている。
「當に立つべし!」
それに条件反射して、張梁が答えた。
「「とうっ!」」
二人が同時に高く飛び上がり、空中で突き出した右の拳を互いのそれに当てた。
「歳在甲子!」
「天下大吉!」
落下しながら拳を繰り出しあう。その拳は全て鏡の自分に殴りつけるかのように相手の拳と重なっていた。
そして、二人の足が地面にぶつかると同時に、重ねた拳はそのままに空いている手を頭の後方に持っていき決めポーズを取った。
「見よ!蒼天は、已に死んでいるぅぅぅっ!!」
同時に背後の祭壇の炎が爆発的に燃え上がったのは、信者の一人の粋な計らいだろう。
「張梁よ!」
「応!」
ポーズを取ったまま、二人が話し始める。回りの信者は見ているだけで疲れているようだった。
「同志達を信じよ!我らが黄天の子らが、悪しき蒼天の獣を打ち破ると!」
「応!」
「だから我らは耐えねばならぬ、我らに課せられた使命を全うするために!」
ようやく、張角がポーズを解いた。祭壇へと歩いていき、そこに置かれた杖を手に取った。
「天よ……我が祈りを聞き届けたまえェーッ!」
ひっくり返った声と共に、張角は杖を高く掲げた。
「……あにぃっ?!」
欠伸をし終わった公偉は、信じられないものを見た。頭に矢が刺さった指揮官の首を取ろうとした兵士が、逆に死体に首を取られたのである。
死体は頭に矢を刺したまま、馬を駆けさせ始めた。その先には義真がいる。更に体に矢が刺さるが、意に介した様子は全くなかった。
「ちくしょうめっ!」
毒づいて、公偉は馬を駆けさせた。しかし死体の方が辿り着くのが速い。義真が相変わらずゆっくりした動きで死体を迎撃する。横薙ぎに払った斧は、刺さった矢ごと首を飛ばした。
だが、それでも相手は止まらない。首無し死体の振り下ろした矢は鉄騎兵の鎧を打った。そんなものでやられる鉄騎兵では無いが、不気味だ。
「どおぉぉりゃあああぁぁぁぁっ!!」
追いついた公偉が、手に持った槍を死体の胸に突き刺した。刺さったままの槍を高く掲げる。死体はそれでもなおバタバタともがいていたが、やがて諦めたようにぐったりと動かなくなった。
「何だこいつは……」
「将軍!倒した賊共がっ……!」
感慨に耽る暇も無く、兵士の叫びが耳に入った。殺したはずの黄巾兵が、次々と起き上がってきている。常識では考えられない光景に、兵士達は怯え、浮き足立っていた。
「くそったれ……下がれ!一旦下がるぞ!」
刺さった死体を引き抜いて、公偉は馬を駆けさせながら撤退の合図を出した。兵士達が我先にと後方に向かって駆け出していく。殿は重装備のため駆ける事の出来ない義真だろう。
追撃を警戒しつつ、官軍は何百年ぶりかの敗走を味わっていた。
書くの遅くてとってもごめんなさいorz
>>286 伊達眼帯は浪漫です(ぇ
>>290 こういう意味です。
そしてこれが話とどう繋がるのかと聞かれればやっぱり次回を待って下さいとしか言いようg(ry
そして今気づいた事。
>>294は18時間目でした。申し訳ございません。
新作乙!
次回がますます楽しみだよ
;ヾ、,.、,、.、rツ ッッシ、:':' r':' _,、-'゙_, や 公 帰 そ
,、,、,ミッン、,._ _,、-'゙_,、-'゙. っ 園. り ん
、ィッ ,:、 ゙''ゞ=ミ、~.: _,、-'゙_,、-'゙ __, て の 道 な
}; ヾ ゙' {!li;:,. _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,::|_| 来 ト に わ
ゞァ''゙ぐ _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,、-''" .|_ た イ あ け
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└i'゙-ニ,ニエ,.:|ニ「 _エ ┴ ''"_|_ だ に
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|エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴ 「fj.||__|__| _|
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二二二二二二二`''ーニ_''ー 、_ |⊥ |__
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鬼神:2006/10/30(月) 22:37:19
新作乙です。
なんか松●被告がでてますが気にしないで次回作楽しみに待ってます。
305 :
無名武将@お腹せっぷく:2006/10/31(火) 17:26:05
無双ネタは専用板でやれよ珍滓
〜20時間目 車椅子〜
洛陽高校は、厳密には洛陽の中にあるわけではない。洛陽を囲う城壁の一辺を遠くに見る事が出来るほどの場所に砦のような外観で存在している。
いや、砦のようなという比喩はおかしい。何故なら、そこは本当に砦だから。
神楽坂子龍はその洛陽高校から洛陽本城へ向かって歩いていた。道は一本真っ直ぐに本城に向かって通じている。
この道は学校恒例行事のマラソンのコースにもなっていた。道は高校に向かって緩やかな上り坂になっており、心臓破りの坂として生徒達には知られている。
下校時間なのに、生徒達の姿は余り見かけられない。当然だろう。東のほうで黄巾賊の反乱が始まり、緒戦で官軍が敗れたため洛陽は緊張状態になっている。
その為、生徒達は単独での下校を禁止されている。子龍も例外では無く、その後ろには彼の担任である公台・スプリングフィールドがいた。
子龍が溜息をつく。
「……ちょっと、さっきから何度溜息ついてるの?」
丁度高校と本城の中間地点で、十数回に及ぶ子龍の溜息を見かねて公台が声をかけてきた。
「関係ない……」
子龍は取り合わない。が、公台のほうには思い当たる節が一つあった。
「ひょっとして、校則第14条28項の事?
あれは入学する時にもちゃんと紙に書いて渡したんだから、今更悩んだって仕方ないでしょ」
洛陽高校校則・第14条28項
緊急時における生徒達の行動について
万が一洛陽が外部から襲撃されるような事があった場合、本校は洛陽本城を支援する砦として機能する。
そのような事態が想定された場合、少等部の生徒は登校を禁止させ、自宅待機とする。
中等部、高等部、大学部の生徒は武装した上で二人以上の集団で登校し、有事の際には本校に陣を構える官軍を手伝うものとする。
「あんな細かい字を読める人間がこの世にいるのか?」
目と目の間を押さえながら子龍がぼやく。生徒手帳にびっしりと書かれた校則の中に、また、入学する時に渡された膨大な書類の中に、その文章はこっそり紛れ込んでいた。
内容を簡単に説明すると、中等部より上の人間は戦争の時に軍の雑用係や兵士として学校に立て篭もらないといけないらしい。
子龍もその校則に従って、自前の槍を持って毎日学校と家の間を往復している。武器を持って片道一時間の道を往復するのは中々に堪えた。
「……そりゃあ、ねぇ。校則を作った人に聞きなさいよ」
ちなみに、この洛陽高校はもうすぐ創立400周年を迎える。400年前の人間は何を考えてこんな校則を作ったのだろうか。それは誰にも分からない。
話は長続きせず、子龍と公台はそれぞれの武器を持って黙々と歩いていた。
「……ん?」
ふと、公台が足を止めた。つられて子龍も立ち止まる。
辺りにはこれと言って気になるものは無いし、人といったら車椅子に乗った中年の男しかいなかった。
しかし、その中に何とも言えない嫌な空気が混じっているのに二人は気づいていた。辺りの空気が、張り詰めた糸のようになっている。
二人は何も言わずにお互いの武器を構えた。それに呼応するかのように、空気の質も変質する。お互いの姿が見えない睨み合いが続く。
中年が二人の間を通り過ぎたとき、張り続けていた糸が切られた。
左右の建物の影から黒い服を纏った男達が飛び出してきた。子龍の側に一人と、公台の側に二人。
「くっ!」
左側から突っ込んできた男の剣を子龍は槍の柄で受け止めた。押し負けられそうになるが、そこは耐えて力のせめぎ合いになる。
一方公台は、目にも留まらぬ速さで弓に矢をつがえると、それを右側から来た男の足に向けて放った。男の足の甲が矢で撃ち抜かれ、走っていた男は地面に転がった。
しかし、左側には男がもう一人いた。その男の持った剣が、公台の頭上に迫る。思わず、公台は眼を瞑った。
だが、男の剣は公台など意に介さずその頭上を通り過ぎた。剣の狙う相手は、二人の間を通った中年だった。
「えっ?!」
余りにも意外すぎる目標に、二人も驚いて動きを止めてしまう。男の剣は遮られるものも無く、中年の頭めがけて突き出される。
中年の頭を刃が貫こうとしたとき、突然中年の目つきが変わった。そして、中年の姿がその場から掻き消えたように見えた。
その素早い動きに反応できたのは子龍だけだった。車椅子ごと、中年は空に浮いていた。いや、地上から高く跳び上がっていた。
次の瞬間、中年は勢いよく自分に向けて剣を突き出してきた男の頭に着地した、と言うよりかは落下した。軽い老人の体と重い車椅子の下敷きになって、男は地面に叩き倒された。
不意に、子龍の腕に掛かる力が無くなった。先程から押し続けていた勢いで子龍の体が少し前に傾く。顔を上げると、もう三人目の男の姿はこちらに背を向けて遠ざかるものになっていた。
「あれ?」
後ろで公台の声がして振り向くと、子龍もその声と同様に驚いた。さっきまで男の頭の上に乗っていた中年が、まるで最初からいなかったかのように消えてしまっていた。
それが夢ではない事は、二人の足元で気絶している男が証明している。
何が何だか分からないまま、公台と子龍は呆然と立ち尽くしていた。
夕暮れの校舎と言うのは意外と不気味なものである。勿論、真夜中の校舎も怖いのだが、夕暮れと言うのはそんな霊のたぐいの怖さではなく、人間の怖さがある。
「ほぉー、また仰山と持ってきたじゃないの」
その校舎裏に、高等部の男が4人ほどいた。どれも人相の悪い連中で、中央にいる一人を囲んでいる。
その中でも特に不細工な男の手には、銅銭の入った袋が握られていた。
「それじゃあ、こいつはありがたくもらっていくぜぇ?」
「待て!」
立ち去ろうとする男達に、中央の少年は声をかけた。
「本当に祖父には手を出さないんだろうなっ!」
「……ぁ?」
銅銭を持った男が振り向くと、いきなり少年の腹を蹴り上げた。小さくて軽い少年の体は一瞬宙に浮いてそれから地面に倒れた。
「なんなんだその口の利き方は、えっ?!誰に物言ってんのか分かってんのかコラァ!
そういう時は『お願いです程遠志様、私のおじいちゃんを殺さないで下さい』って這いつくばるのが筋ってもんだろうが!
大体てめぇは普段から反吐が出るほど生意気なんだよ、宦官の孫の癖にっ!
血の繋がってないジジイの為に親から金を盗んでくるなんて頭がおかしいにも程があるんじゃねぇのか?!」
そんな事を喚きながら、程遠志は少年を蹴り続ける。
「お、おいちょっとやりすぎなんじゃないのか……?」
「うっるせぇ!俺のやり方に口を出すんじゃねぇ!」
周りの三人の男達も気の毒そうな顔をしながら止めようとするが、一度火のついた程遠志には聞こえていない。
思う存分蹴った後、ようやく程遠志は蹴るのを止めた。
「クソッ……気分が悪い、帰るぞっ!」
そうして、今度こそ男達は帰ろうとする。と、程遠志が振り返って念を押した。
「ああ……勿論、俺達がここにいるってことは誰にも喋るんじゃねぇぞ?」
地面に倒れている少年に唾をかけると、程遠志はようやく見えなくなった。
「………くそっ………」
痛む体を動かせず、孟徳は地面に倒れたまま。
泣いていた。
「あにぃ、今帰ったぞ」
薄暗い祭壇の中に、声が響いた。
「おお〜、張宝よ、一体今まで何処に行っておったのじゃ?」
「何、ちょっと散歩にな……」
弟を直々に出迎えた天公将軍・張角は杖を持ったまま張宝の側に駆け寄った。
「おお、小兄!出かけたっきり戻ってこないから官軍に襲われたかと思って心配してたぞ!」
祭壇に向かって左側の入り口から、地公将軍・張梁が入ってきた。
「ああ、襲われたが追い払ってやった。……それよりも、あにぃ」
「何じゃ?」
「探し物を見つけたぞ。……もう、待つ必要はない」
「そうか。……お主がどうしても待ってくれと言ったから待っていたが、もう大丈夫か。
よかったの、探し物が見つかって」
やや裏声掛かった声で張角が語る。そして、祭壇へと登っていった。
「張宝、張梁、今こそ我らが計画を実行に移そうぞ!悪しき蒼天を打ち破り、太平の世を築くために!」
「おおーっ!」
高らかに宣言した後、張角は杖を高く掲げた。
それに呼応して、筋肉質の男と車椅子の男も拳を振り上げた。
書く事自体はすぐに終わったんです…。
でも、ニュースでいじめ自殺が話題になり始めて……orz
>>302 >>304 ありがとうございます。
今回はちょっと辛めの話ですが。
313 :
鬼神:2006/11/23(木) 10:32:21
乙!
張宝強いですね。
姦雄カワイソス
孟徳カワイソス。・゚・(ノД`)・゚・。
315 :
鬼神:2006/11/24(金) 03:51:06
乙!
張宝強いですね。
姦雄カワイソス
〜21時間目 黄徒、襲来〜
雀の声がする。寝返りを打つと、太陽の光が瞼を透かして目に入ってきた。反対側に寝返りを打ち、更に布団を被って光を遮る。
「先生」
誰かが呼んでいるが、今はとにかく眠いので放っておく事にした。夢の続きを見たい。
「……先生!」
随分しつこい相手だ。ふと、その呼び方に疑問を覚えた。自分の事を先生と呼ぶのは生徒だけだ。しかし、ここは自分の家の中だ。
凄まじく嫌な予感がして、布団を被ったまま公台はもう一度寝返りを打った。
「……やっと起きましたか」
見慣れた庭の景色がある。その手前で、子龍が正座をしてすぐ目の前に座っていた。
公台は目を何度かしぱしぱさせる。数秒の間の後、ようやく目の前の事態が夢でないと言う事を理解できた。
「な、な、な、何でアンタが家にいるのよっ!」
「……待ち合わせの場所に何時まで経っても来ないからです。ちなみに、もう遅刻確定の時間ですよ」
「それ以前に何で人の家に勝手に上がってきてるの?!無神経にも程が……」
「先生のおじいさんが上がっても言いとおっしゃいました!だから起こしに来たんです!」
自分が寝坊している事を棚に上げて子龍をしかろうとするが、どれもこれもあっさり理由つきで論破されていく。
やがて、反論のネタがなくなると公台は大きく溜息をついて、何も言わなくなった。
「あの、先生……」
「何?」
「その……本当に先生ですか?」
「まあ、一応ね。……てか、何で分かったの?」
「それもおじいさんが教えてくれたんです」
どうも祖父は秘密というものを知らないらしい。何でもかんでもすぐに人に喋るその祖父の行いに、公台は頭を抱えた。
「……とりあえず、一旦出て行って」
「何でですか?」
「着替えるからに決まってるでしょう!早く出て行きなさい!」
子龍が言われた通りに出て行くと、公台は部屋の襖を閉めて呟いた。
「……秘密、ばれちゃったな……」
「子義。今日の授業は何だったかな?」
「本日の授業は数学・天文・兵法・儒教・体育・仙術です。
ただし、仙術は于吉先生が雨乞いの儀式をしているので自習です」
「また雨乞いか。もう洪水が起きるほど振ってるのにな」
子義と子明が校門から校舎に向かって歩いている。その後ろから孟徳も着いてきている。この三人は結構真面目な性格で、授業の始まる30分前にはこうして学校に到着していた。
校庭では運動部の生徒達が朝練を行っている。野球部のダブルエースの鳴滝兄弟がピッチング練習をしているのが遠くから見えた。
ふと、子明が後ろを振り返った。
「孟徳、どうした?朝からずっと腹押さえてるじゃないか」
「え?ああ、まあ……。腹具合が悪くてな」
「……大丈夫か?ひょっとして、朝にヨーグルトでも食べたのか?」
「別に、そういうわけじゃ……。まあ、気にするな」
言いながら、孟徳はサッカー部の方を見ていた。校内での評判は悪く、悪たれ4人組が今日もフィールドの隅で座ってサボっている。その部活には2-Aのクラスメイトはいなかった。
目を子明と子義の方に戻す。二人とは少し差が出来ていた。痛む腹を押さえながら、孟徳は小走りになりながら二人の後ろをついていった。
「奉先殿、おはようございます」
「ふん、文遠か」
校舎裏にある馬小屋で愛馬の手入れをしようとしていた文遠は、そこで奉先に出会った。後姿だけでは分かりづらいが、手入れしている馬を見れば奉先だと言う事はすぐに分かる。
声をかけられた奉先はいつも通り振り向きもせずぶっきらぼうに返事をした。それが彼なりの返事の仕方である事は、長い付き合いである文遠にはよく分かっていた。
奉先の隣に並んで、文遠も自分の馬の手入れを始めた。
「赤兎の調子はどうですか?」
「お前なら見れば分かるだろう。……無理に話の種を作ろうとするな」
ぶっきらぼうな口調に反して、赤兎へのブラッシングは優しいものである。そういう所に性格が出るものだと、文遠は知っていた。
暫くの間、朝の静かなブラッシングが続く。
「おい、文遠」
奉先が自分の馬の手入れを終えて教室に行くかと思いきや、文遠に声をかけてきた。
滅多にない向こうからの話に、何故か文遠の気持ちが引き締まった。
「……何ですか?」
「お前、武器はそれなのか?」
そう言って、奉先は壁に立てかけてある鉤鎌刀を目で指し示した。
「ええ。色々振ってみましたが、やはりこれが一番合っているようです」
「……ふん。どうせ雲長から押し売りされた物だろう」
文遠は言い返さない。つまり、図星である。
それを悟られる前に、文遠は素早く話題を差し替えた。
「奉先殿の武器は、やはりあの方天戟ですかな?」
「……方天『画』戟だ。間違えるな」
奉先の方天画戟は有名だった。今までこんな非常事態など一回も起こっていないのに時々彼はそれを学校に持ってきていた。
あれを持って馬に乗る姿は中々様になっている。馬術部の部員たちも真似して箒などを使って騎馬戦の真似事をしたものだった。
「はいやーっ!とりゃーっ!」
その中でも特に強かったのが外で槍を振り回している孟起だった。雄叫びを上げながら馬に乗って校庭を駆けている。
昔ははまだ今と違って地味で大人しかったような気がする。一体いつからあんな妙なキャラになってしまったのだろうか。
それを思い出そうとしたが、馬の手入れが終わってしまったので文遠は考えるのを止めた。
門の上の城壁で二人の青年が佇んでいた。その下の門を生徒達が次々とくぐり抜けていく。まだ遅刻期限までは余裕があるので生徒の姿はまばらだ。
青年のうちの背の高いほうは、やたら露出度の高い服を着て更に顔に微妙な化粧をしている。両手につけた鉤爪にも細かい装飾がなされていて、舞踊の衣装を思い出させる。
もう片方は小さい背を前かがみになって更に縮めており、着ている服もその辺りの獣から剥ぎ取ったのではないかと思ってしまうような粗雑な毛皮の服だった。顔には奇妙な模様が描かれた仮面を被っている。
そんな二人が朝日を浴びながら妙なポーズを取って校門の上にいる様子ははたから見なくても一種異様、いや、むしろ全力で異様な構図だった。
やがて、何処からとも無く吹奏楽部の演奏が聞こえ始めた。その音楽に合わせて二人が動き出した。あるときは激しく、またある時はゆっくりと独特のダンスを組み立てていく。
そしていよいよクライマックスとなった時、不意に演奏が止まった。同時に二人の踊りも止まる。
「……おや?」
踊っていた青年、儁乂と文長はほぼ同時にその異変に気づいた。朝の清々しい空気に何か妙なものが混じっている。
「……グルル……」
文長が地平線を睨みつけながら唸り声を上げた。まだ気配の元は見えない。城壁の下に広がる草原にいるのは馬を全力で駆けさせている一人の男だけだ。
気配は徐々に近づいてくる。それは感知しようと努力しなくても、むしろ感じたくなくても肌に纏わりついてくるものだった。
例えるならば、神秘と狂気を一緒くたに混ぜ合わせたようなものだった。
ふと、儁乂はこちらに向かっていた馬に乗っている人物に注目してみた。大きい耳で、すぐにそれが誰だか分かる。クラス委員長の玄徳だった。
顔まで見える距離に辿り着くと、玄徳は大声で叫んだ。
「こ、黄巾賊だぁ―――ッ!!」
その叫びが城内に届くのと、地平線上に黄色い布を頭に巻いた賊徒の群れが出現したのはほぼ同時だった。
2週間で書きあがるとかちょっと進歩しました自分(`・ω・´)
……ええ、ごめんなさい十分遅かったです(´・ω・`)
>>313 >>314 ごめんね。孟徳いじめてごめんね…。
322 :
鬼神:2006/12/02(土) 12:24:34
乙
孟起と同じ様なことをリアルにやっている俺っていったい・・・・
◆yI4PhQLufg氏も更新間隔が長くなってきたね・・・
324 :
名無し@取扱い地域・時代、自治で議論中:
汚奈良 汚奈良