【股の竿を】男色大名信玄 三穴目【硬くしおって】

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481無名武将@お腹せっぷく
福山築城(その一)

元和五(1619)年のこと。「鬼日向」水野勝成は、将軍・徳川秀忠の呼び出しを受けた。

勝成「上様。お呼びでしょうか」
秀忠「うむ。そなたを国替えしようと思ってな」
勝成「さようですか。して、どちらに?」
秀忠「備後国は神辺。石高は十万石じゃ」
勝成「加増でございますな。ははっ。謹んでお受けいたしまする」

―勝成にとっては、備後国は初めての地ではない。父・忠重に勘当された後、このあたりを流浪していた
事もあるし、隣の備中国の豪族・三村氏のところに身を寄せた際に妻子をもうけていた―

備後国に着いた勝成は、さっそく領内をみてまわった。神辺城に代わる、新たな城づくりを考えていた
のである。

家臣「殿。新たな城づくりをお考えとのことですが…神辺城ではよろしくないのですか?」
勝成「うむ。なるほど昔から城があり、立地条件もまずまずではあるのだが…ここでは物足りん」
家臣「と、おっしゃいますと?」
勝成「名が良くない」
家臣「名が?」
勝成「そうじゃ。天下に轟く股槍を持つわしの居城が神辺というのはな」
家臣「それがしは、『神の辺(ほとり)』、良い名だと思うのですが…」
勝成「神辺(かん『なべ』)だぞ?掘る側のわしが受ける側の『なべ』にいてどうする?」
家臣「(そっちかよ!)では、どちらに城を?」
勝成「う〜む。候補地はいくつかあるのだがな…」
482無名武将@お腹せっぷく:2006/03/26(日) 22:55:08
福山築城(その二)

慎重な実地調査の結果、次の三箇所が候補として挙がった。

一 亀寿山
二 定興寺山
三 箕島

家臣「殿。どこになさいますか?」
勝成「定興寺山にしようと思う」
家臣「定興寺山ですか。それがしは亀寿山が良いと思うのですが。かつて城もありましたし、名前も
   縁起が良いですし…」
勝成「そなた、わしを誰だと思っておる?わしの自慢の股槍が亀のように首を引っ込めておっては話
   にならんぞ」
家臣「(やっぱりそっちに話が行くんかい!)では、殿はなぜ定興寺山がよいとお考えなのですか?」
勝成「南に平野が広がり、西に芦田川の豊富な水がある。治水はちと難事じゃが…西国を制する城と
   町を築くには、このような地が相応しい」
家臣「(ほっ。ちゃんと考えておいでで何よりだ)他には?」
勝成「なんと言っても名が良い。『興る』を『定める』。即ち、『おこる』→『起きる』→『勃つ』。
   勃った状態が定まるとは、これ、常にビンビンに股槍が勃っておるということ」
家臣「(もう〜っ!結局そっちですか!)し、しかしですぞ。定興寺山は北からの砲撃に弱いのでは
   ありませんか」
勝成「それは承知しておる。じゃがな。他のところでは大規模な城と町は築けん。…よいか。我らは
   西国の外様どもを抑える為にこの地に配されたのじゃ。既に元和偃武は成っておる。今後は、
   戦いになったら…というのではなく、いかに戦わずして敵を屈服させるか、ということが肝心
   なのじゃ。今わしが築こうとしている城と町は、そのための手段よ。北面が弱いというなら、
   鉄板でも張っておくがよかろう」
家臣「ははっ。承知仕りました」
勝成「では、築城にかかろうか」