【ヤリマン】 将星大地に落つ 【たまきん】

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220無名武将@お腹せっぷく
「朝日新聞 天声人語」 昭和31年8月1日
“洗脳”という言葉がある。英語では、ブレーン・ウォッシングという。中国で造られた言葉だ。
むろん古い中国語ではない。革命後の中共に生まれた新語で、変脳ともいう。
英語には“ターン・コート”というのがある。服の裏返しから転じて裏切り者、変節者の意味に使う。
洗脳はこれとは違う。頭脳をすっかり洗い張りして別の思想に仕立て直す。
思想改造であり人間改造である。
中共は革命後、この“洗脳運動”によって国民の“人間改造”をやったといわれる。
いわゆる“学習”や“自己批判会”で国民の思想の入れ替えをやったといわれる。
こんどの興安丸帰国者のうち328人の“釈放戦犯”は、判で押したように同じことを言うと報ぜられる。
十余年の苦しい抑留にも少しも不平をいわず、ひたすら過去の罪を総ざんげしているそうだ。
それが撫順組も太原組も、元軍人も元憲兵も満鉄社員も医者も技術者も作家も、十人が十人とも
申し合わせたように同じで、面会に行った妻と二人きりになっても、中国の土を離れた船上でも
言うことは変わらず、それでいて驚くほど明るい顔をしているという。
侵略の罪を個人としてもざんげするのに不思議はないが、一般帰国者が各自めいめいの
考えをもっているのとくらべて、“戦犯”たちはやはり“洗脳”の洗礼を受けたのかと思わせられる。
十年も社会から隔離されて朝から晩まで繰り返し“学習”させられたら、たいがいの人間は
同じ鋳型にはめこまれるだろう。
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この撫順組、太原組は中国帰還者連絡会(中帰連)を結成した。