「う〜〜〜〜なんてえ寒さなんだ」
今 寒さに堪えて鼻水をすすっている僕は
北条三郎様に従うごく一般的な小姓分
強いて違うところをあげるとすれば
武田の素破であると隠してるってとこかナ――
名前は杏四
そんなわけで越相同盟の質の一向は
越後・春日山城の大広間にやって来たのだ
ふと見ると常に変らない 静かな一人の若い男が座っていた
ウホッ!いい男… ハッ
彼――
ちょっと整いすぎた顔立ちっぽい小田原からの養子で
北条三郎氏秀そのひとである
そう思っていると突然上杉謙信が
三郎さまの目の前にあらわれたのだ…!
そういえばこの春日山城は
謙信公の居城であることで有名なところだった
謙信「景虎に な ら な い か 」
彼はそういうと軽々とした足取りで 大広間からでていった
三郎さまに自分の名を名乗らせるなんて なんて人なんだろう…
今 怪我をした三郎さまの血止めをしている僕は
甲斐に住まうごく一般的な百姓の倅
強いて違うところをあげるとすれば
武田の素破であると隠してるってとこかナ――
名前は杏四
(略)
三郎「よかったのかホイホイついてきて 俺は杏四だって
かまわないで臥床に呼んじまう人間なんだぜ」
杏四「こんなこと初めてだけどいいんです…
僕…三郎さまみたいな人好きですから…」
三郎「うれしいこと言ってくれるじゃないの
それじゃあとことん連れて行ってやるからな
いい男に弱い僕は誘われるまま
ホイホイと小田原について行っちゃったのだ ♥