ああ・・爺よ、なぜ死んだのじゃ。
なぜもっと長生きしてわしを支えてくれなんだ・・
おぬしが死んでからというもの、わしは寂しさを紛らわすため遊んでばかりじゃった。
加賀の一向宗とは和睦はしたが信用ならん。
おぬし以外のやつでは滅ぼすまでにいたらなんだのだ。
景忠のやつも奴等とつうじておった。
奴等がいなくなるまでわしは夜も眠れん。
しかし100年近く続いておるこの状態を終わらすためには加賀を攻めるだけでは駄目じゃ。
そこでおぬしが誉めておった信長に本願寺を討たせようと思いついたのじゃ。
こんな時に上洛を急かす義昭様も思惑どうりしびれをきらし信長のもとへ行った。
おぬしが見込んだ奴ならこれで力をつけいずれ本願寺を潰すであろう。
そしてわしが動くのはその時じゃ!と思うておった・・
しかしあやつは何を思うてかこのわしに狙いをつけてきおった。
やはりおぬしの言うとおり強かった。だがわし自身は出ずに奴を弱らさぬ程度に戦をしようと決めておった。
敦賀では久政には悪かったが追撃は遅らせた。
姉川にもそんなに兵を送らなんだ。
坂本の時も浅井の手前兵を出したが信長が出てきたら戦わずに逃げるようにした。
信玄にも悪かったが信長への囲みを解いた。
だがやつはわしの予想を遥かに上回っておった。
あの本願寺と戦いながら一歩も引かんどころか勇猛果敢に攻めてきおった。
正直敦賀、姉川であそこまで負けるとは思わなんだし、
信玄が死ぬとも思わんかった。やつには運まで味方しておる。
しかも家の中でわしの思惑を解せぬ奴らが言うことを聞かんようになっておった。
わしは慌てて長政を救おうと思うて出たがもう小谷に近づけんどころか逆にやられてしもうた。
そしてもうわしの近くまできておる。
気づいたときはすべてが遅かった・・おぬしの見込んだ漢を見誤ったわしが悪いのじゃ。
ここで死のうとも思ったが景鏡の勧めで大野で再起をはかる。
まだ負けておらん!爺・・みててくれ・・・