草は燃え、兵舎は焼け、逃げくずれる賊兵の軍衣にも、火がついていないのはなかった。
すると彼方から、一彪の軍馬が、燃えさかる草の火を蹴って進んできた。
見れば、全軍みな紅の旗をさし、真っ先に経った一名の英雄も、兜、鎧、剣装、馬鞍、すべて火よりも赤い姿をしていた。
いうと、紅の旗、紅の鎧、紅の鞍にまたがっている人物は、玄徳の挨拶を、馬上でうけながら微笑をたたえ、
「ごていねいな挨拶。それへ参って申さん」と、赤夜叉の如く、
すべて赤く鎧った旗本七騎につつまれて、玄徳の間近まで馬をすすめて来た。
近々と、その人物を見れば。
年はまだ若い。肉薄く色白く。細眼長髯、胆量人にこえ、その眸には、智謀ばかり知れないものが見えた。
声静かに、名乗っていう。
「われは沛国譙郡(安徽省・毫県)の生れで。曹操字は孟徳、小字は阿瞞、また吉利ともいう者です。
すなわち漢の相国曹参より二十四代の後胤にして、大鴻臚曹嵩が嫡男たり。洛陽にあっては――――」
(吉川英治歴史時代文庫33)三国志(一)p.179-181より一部抜粋。
この曹操を、絵にしてはいただけませんでしょうか?
要求が過ぎるとは思うのですが、あまりに美しいので・・・。
どんな画調でもいいので(むしろ色々な画調で見たいくらいです)、どうかお願い致します。