899 :
無名武将@お腹せっぷく:03/07/07 19:58
>>898 でも、相手を仕留められてないからな。馬超なら勝てるんじゃないか?
900 :
禰公 ◆GcmBTMA7rc :03/07/07 20:10
900
う〜・・・マジレスすると訳も分からないうちに張バクを造反させたりとか
全く訳の分からない方法の仲裁で納得させる所とか(エン術と劉備ね)
そういう異常なエピソードの行間から伝わってくるモノだと思います。
呂布の行動はビックリするほど訳分からなくて後先考えてない事ばかりですが
にもかかわらず天下を騒がしてキッチリと歴史に刻まれてるのは恐るべきと思います。
そういやよく分からんうちに曹操の領土を取っちゃった事もありましたね。
スレ汚しごめんなさい。
項羽なんて、ビデオで見ると動きはなんか地味に見えるくらいだもんね。
でも彼が伝説のレスラーである事は誰も否定しない。勿論漏れも否定しない。
呂布もそんなもんじゃないか。
>>903 項羽の強さはあの時代じゃ別格でしたねー。結局項羽とガチでやりあって勝った劉邦の
レスラーはいませんでしたからね。しかし、あくまで個人の強さであって部下の扱いが
悪かった為に劉邦に漬け込まれたりしたんですけど。
と、話が長くなりますのでとりあえずここまで
さて、成都での一件以来、まったりとしていたプロレス界ですが「あの2人」がやっぱりやりあうようです。
トウ艾と鐘会がそれぞれを裏切り者として司馬昭の元へ通告し互いを公然と罵りあう状態。
ついに成都の旧蜀漢スタジアムで全面対決を行うこととなりました。
これに対し司馬オーナーは「あの」賈充を派遣。自らは長安で様子を見るようですが?
また、この争いには鐘会の右腕となってる元蜀漢の姜維も絡んでる模様です。
保守
906 :
無名武将@お腹せっぷく:03/07/14 06:29
age
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
あーあ寝られちゃったよ
続きは水曜か金曜日です
909 :
無名武将@お腹せっぷく:03/07/16 07:06
期待あげ
「NAN-BATSU」の最後を飾る成都大会が終わりました。
鐘会・トウ艾の野次合戦から始まって両軍のぶつかりとなりましたが
状況は五分と五分という感じでした。
締めくくりとして双方の選手が複数出てきて多対多の2WAYバトルロイヤルが行われました
トウ艾軍からはトウ艾の他に子のトウ忠や師纂・マスクマンの田続など
鐘会の方は鐘会以外は右腕の姜維・元蜀漢の張翼や北魏軍の故烈なんかが出場しました。
また、この試合は賈充の申し出により、彼が特別レフリーとして出てきました。
相手を全滅させるまではどのように戦っても良い今回のルール、まさに乱戦ですが
果たして勝ったのはどっちでしょうか
相手を押さえ込んで3カウントかリング下まで追い詰めるまで続くこの試合
鐘会側は敵の頭であるトウ艾を狙っていきトウ艾の方は巧みなチームワークで
連携しながら敵を排除していってます。
そうこうしているうちに両軍共に選手の数も減っていき睨み合いの様子です
ここで鐘会側の張翼がトウ艾側の丘建にタックルを決めてフォールにかかるも
師纂・トウ忠がひっくり返して逆フォールで撃沈。また、トウ艾とも仲の良かった胡建は自分から離脱。
トウ艾軍は師纂・トウ忠のラインが防波堤としてこれ以上ない動きです。
胡建の離脱により鐘会側の胡炎がトウ艾軍に寝返り鐘会を攻撃。ひざが命中!
この勝負の行方、わからなくなってきました。
(; ゚∀゚)ドキドキ
胡炎のひざか鐘会のアゴに命中!鐘会もこれまでと思いましたが鐘会踏ん張ります
ここで姜維が救援に駆けつけエビぞりの状態で首を絞めて撃沈。続く師纂を勢いで
バックドロップ→全体重をかけてのボディプレスで破りました。
ここで姜維にトウ艾親子が乱入。鐘会らを含めての乱戦となりましたが
トウ忠とまだ生き残っていた田続に担ぎ出されてリング下に落とされるという
往年ファンにはあんまりな終わり方です。
ここで鐘会側には鐘会と衛カンの二人、トウ艾にはトウ忠・田続含めての3人です
なんとここで衛カンがトウ忠を連れてロープに投げつけると見せて心中しました
915 :
無名武将@お腹せっぷく:03/07/28 15:35
age
やはり最後はトウ艾と鐘会のぶつかり合いとなりました
鐘会はあごを打たれまいと中腰で挑みトウ艾はそこを狙う狙う
トウ艾が鐘会の足をつかみフォールに入った所鐘会がトウ艾の側頭部を旨く蹴り上げる
立場逆転のところで鐘会、自分へのコールに応えフィニッシュホールドの8尺からのスタープレス
を決行。これが決まるかと思いきやギリギリで交わされ―――――――激突
瞬きもできないうちにトウ艾が鐘会のお株を奪うスタープレスが決まってしまう!
これで抵抗力を失った鐘会はあえなくトウ艾の前から消え去ったのでした
これでトウ艾軍の勝ちかと思ったら突然今までおとなしかったマスクマン田続がトウ艾を攻撃
そういえば以前田続とトウ艾がもめるっていう遺恨があったなあ、と思ったら
何処からか持ってきたイスをトウ艾に投げつけよろけた所をフォール
特別レフリー賈充が5割増の速さであっというまにカウントを取り・・・田続の勝ち?
というブーイング必死の展開の中、マスクを取ったその正体は
長安にいるはずの司馬昭でした。
司馬昭はこの場で
オーナー(実質自分)に反旗を翻す奴は許さんと
息を切らしながらも武闘派ぶりを久しぶりにアピールしてました。
この大会からしばらくあって今度は東の方で二人のレスラーによる
ちょっといい話がありました。
中の人は司馬昭だったのか!
これは読めなかったなあ…
>>911-917 最後は・・・司馬昭が締めたねえ。
思えばマット界も随分変遷したもので、
曹操オーナー、劉備社長、孫堅社長なども
「レスラー社長」としてメインを張っていた時代、
主役はどこまでも「レスラー」の時代だった。
まだ業界全体のレベルが低く、へたれなレスラーも多かったけど、
たまに呂布みたいな奇跡のようなレスラーもいて、
レスラーのトンパチな言動がマット界を動かしていた。
そうしたレスラーが洗練されてきて、ツブがそろってきたら、
今度はライターやブッカーの時代になった。
諸葛亮CEOや周瑜CEO、魏蜀対抗戦時代の司馬懿CEOなどは、
CEOの肩書きは持っていたけれど、ライターとして大会を作っていた。
レベルは底上げされたけど、どこか小粒になり始めたレスラーを
うまく味付けして客に出すようになった。
そのうち、業界はどんどん成熟して安定企業になると、
月給いくら出来高いくら、みたいなサラリーマンレスラーが増えた。
レスリングの平均レベルは昔とは比べようもなくて、
いまや前座レスラーでもNCAAで何位でした、国体出ました、オリンピック出場しました
という時代になったけれど、オーナーの方針に従う商品になりつつある。
あえて商品となったレスラー、それはまちがいなく面白い。
トウ艾も鐘会もそうした立場を誇りを持って受け入れて演じきった。
でも、この二人くらいが最後かな。
トウ艾も鐘会も、あくまでも“商品になった”「レスラー」だけど、
他のレスラーはただの「商品」に成り下がりつつあるねえ。
時代なんだろうなあ・・・、やっぱり。
∧_∧ ∧_∧
ピュ.ー ( ・3・) ( ^^ ) <これからも僕たちを応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
= ◎――――――◎ 山崎渉&ぼるじょあ
さてさてなんかこう、殺伐としてばかりのマット界ですが
夏の避暑地のような爽やかな話が舞い込んできました。
襄陽-江夏をめぐる北魏と東呉の確執はそれこそ何代にもわたって語り草となっていますが
今度は2人のレスラーを巡っていろいろあったようです。
諸葛誕以後北魏の顔として襄陽で頑張っていたのが支社長も兼ねている羊示古。
このやりて男に挑戦状をたたきつけたのが東呉の陸抗、かの陸遜の子供です。
話のきっかけは遠征に来ていた陸抗とホームの羊示古の打ち上げの場所が偶然ダブったらしいですね。
わざわざ来て貰ったのに敵同士で飲み会というのもどうかと年長者の羊示古が気を利かせて
場所を譲ってしかも飲み代まで持ったそうです。
これに感激した陸抗は揚州の酒どころからいいヤツを羊示古に差し入れ。
羊示古もこれを記者団のまえで一気飲みしました。
さて羊示古、陸抗が練習中怪我をしたと聞きこちらは薬をプレゼント。
陸抗、薬を貰って次の日には道場に姿を現していました。
こちらも週刊誌で大きく取り上げられているので知ってる人も多いかと思います。
とはいえこの二人決してなあなあではなく東呉の西陵大会ではメインで対戦し
そこまでやるかってくらいの流血っぷりを見せていました。
やれ誰が裏切っただの誰と誰が仲悪いだのといった話が多いですが
こういうのもいいもんです。
さて長く続いた三国マットの話題もついに話尽きる時が来ました。
>>917で大見得を切った司馬昭が突然の引退。マット界は急速に統一へと動き出します。
923 :
無名武将@お腹せっぷく:03/08/08 17:54
age
司馬昭が引退してから北魏の顔ぶれががらっと変わりました。
長男の司馬炎というのが後継者ですが今までの司馬一族とは異なり
リング上で自己主張するよりはレスラーを後ろから操る司令官タイプです
腕前は結構なやり手でしてオーナー曹喚から株を手に入れ曹一族に怪我をさせない形で
オーナー交代させてしまいました。
これにより北魏は「西晋」と姿を変えました。この辺の手際のよさはかつての曹ヒを彷彿とさせます。若いのに
>>919 あー今はオーナー>レスラーの差がくっきり見えちゃってますねー
昔はオーナー≒レスラーみたいな部分があって、
劉備なんかその辺りの匂いをぷんぷんさせながらリングに上がってて
昔のファンはそういうのにも喜んでましたからねー
最近じゃ司馬師や司馬昭のように自らの幕引きに大きな試合(諸葛誕や成都の件)をぶつけられてもね・・・
とか思います。
924の続きですか東呉では孫休の代わりに孫皓がオーナーとなりました。
彼は落ち目の東呉のてこ入れとして久々の暴君オーナー路線で行きました。
なかなかの暴れっぷりだったんですがあんまり受けは良くなかったようで
司馬炎が統一への総仕上げに繰り出しました
と、言うわけで次回辺り最終回ですが
いよいよオシマイなのね…(´・ω・`)
がんがってください、楽しみにしています。
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
孫皓は前の孫休さんがおとなしめだったんで荒れキャラになったそうです。
まあ昔からのレスラーを平気であちこちに飛ばしちゃうのは賛否両論だったのですが
.1だった陸抗を飛ばしちゃったのが裏目に出ちゃって落ち目になっちゃって、
ここで西晋の羊示古や王シュン辺りから東呉併合論が出てきたんです。
司馬炎は当初は慎重だったんですが大勢が東呉攻めに傾いた所で
杜預をリーダーに西晋軍を結成。王シュン・王シ軍・王戎のスリー・キングスや殴り込み屋胡奮を集めて
武昌に殴りこみました
説明だけ書いてもアレなので試合の結果でも
○王シ軍 13分31秒 ×張悌
王シュン 体固め 諸葛青見
西晋の王シュンは益州道場の長も勤めて今回は「長江遡って建業に乗り込む」と公言し
実際にいかだに乗っているところを写真つきで紹介されてました。西晋軍で一番やる気のある男です。
一方、東呉の張悌はかつてはCEOまで勤めた男ですがはからずもここで西晋を迎え撃つこととなりました
諸葛青見はむあの諸葛誕の子供。どこまでやるでしょうか
まずは王シュンと張悌の掴み合いから、王シュンが引き寄せてまず2発。3発目で張悌が旨くかわして
後ろを取る。王シュンすかさず後ろに重心を掛けて外そうとするが足をとられた!
王シ軍が飛び掛り張悌と引き離します。どちらも折れる気は全くありません。
続いて王シ軍と諸葛青見が渡り合うことに。年齢も大差なく力も互角なこの二人
腹へのけりあいが主流で決定的な一撃がなかなか出せません。とても焦る展開です。
やむを得ず諸葛青見は張悌に代わって引っ込みました。張悌はDDTで王シ軍を眠らせようとしましたが
不発、自分が腰を打ってしまいました。結果この誤爆が決定打につながるのですが
ここでは王シ軍が王シュンと交代。去り際に2人で張悌をポストに連れて行き料理。
諸葛青見出て行きますがレフリーに止められ果たせません。
東呉の張悌・諸葛青見は粘りましたが西晋軍の新世代軍王シ軍・王シュンに一歩及びませんでした。
王シュンの捨て身の一撃で諸葛青見が落ちた所で王シ軍が張悌を無理やりリングに引き入れ
倒した所でフライングエルボーが2発、これを避けられない張悌に女神は微笑みませんでした
この大会で東呉勢は惨敗。いよいよ危急存亡の時です
三国マット志もとうとうフィナーレか・・・
晋統一後も正統晋王座決定で身内でもめるし
その後はまた漢を標榜するインディーズ団体が進出して暴れるんだよね
932 :
無名武将@お腹せっぷく:03/08/25 11:49
保守
武昌の大会から2.3日過ぎた洛陽大会で事件はおきました
司馬炎オーナーが珍しくやってきてたので何かと思いましたが
東呉の孫皓オーナーがプロレス事業から撤退し
この部門を西晋に譲り渡すとの事です。
その後オーナー同士の会談がとり行われていましたが、
超ロン毛の司馬炎とそれまでの暴君ぶりがウソのようにおとなしくなった孫皓の対談はなんか異質でしたね
そんなこんなで東呉の選手陣もはれて西晋に組み込まれ
「黄巾」の抗争以来100年にわたって分裂していた中原マットはまたひとつになりました。
>>931にある後日談ですが西晋は一族会社で支社に本社並の権限を与えたことが仇となって
オーナーの死後遺産争いがもめてリングに引きずる形となりました。
漢以上の混乱を見せた西晋に対し「BACK TO HANG(漢)」を掲げた劉淵が
西晋から割って出てきた東晋との勝負を繰り広げるわけです。
しかしどちらも決定打に欠けていたため、この後16もの団体が争う群雄割拠の時代に逆戻りしてしまい。
楊堅の隋が再び統一するのですがこれはまた別の話で
長々と成りましたが今に語り継がれる三国プロレス志
これを持ちまして筆を置かせてもらいます
終劇
お疲れ様です
いやあ、三戦板屈指の良ネタスレだったよ
このスレを乗っ取ったプ板に逝け氏、
メインストーリーボードの蒼き狼=小金城代氏、特報掲示板=報告人氏、、
何よりもこのスレを支えた幾多の名無し氏達に拍手。
そしてこのスレを提供してくれた
>>1氏にもThanx!
おつかれ〜
お疲れ様です!
ついに終わってしまったんですなあ。
すっごく面白かったです。このスレは永久保存ですね。
長い間、本当にありがとうございました〜!
お疲れ様でした。>ALL
お疲れさま!
このスレは永久保存させて頂きます。
乙彼様です。たくさん笑わせてもらいました。
俺はこのスレの影響でアメプロ見るようになったよ。
>940 >941
ぐっじょぶ!
終了記念SS−1
老人は靴紐を解き始めた。
リングシューズ。
これを脱げば全てが終わる。
長い長いレスラー生活のピリオドは、こんな単純な物がその役目を担う。
「そんなものかも知れんな。」
老人は、靴紐に手を伸ばした。何年も何十年も、幾度となく繰り返した作業は、最後の一回であっても特別なものではない。
周りの若手たちのほうが却って気を使い、みなそろって控え室から出て行った。
がらんとしたドレッシングルームは、薄暗く、静かだ。
(今日の客の入りはどうだったかな。)
ふと気になって、先刻行ったばかりの試合のことを思い出そうとしたが、いつもは最後列客の息遣いまで背中でわかる彼が、どうしても今日の会場の雰囲気を頭の中に再現することができない。
(最後とは、そういうものか。)
感傷は、やはり人並みに彼の中にもあったということらしい。
頭を振った老レスラーは、止まっていた手を白いシューズに伸ばした。
終了記念SS−2
「お、いたいた。―待てよ。」
声は、入り口からした。
いつの間にかドアが開けられ、そこに男が一人立っていた。
かなり背は大きい。一般人、ファンや記者ではないようだ。
離れていても、むっとするような筋肉の厚みが感じられる。
(同業者……レスラーか。)
老レスラーは体型や顔立ちから相手を思い出そうとしたがうまくいかなかった。
どこかで見たようでもあるが、会ったことのない男にも思えた。裸電球のぶら下がる薄暗がりの廊下には他にも誰かいるようだった。
声をかけてきた男を無視して、老人は靴紐をまた解き始めた。
自分の仕事はもう終わった。同業者に、もう何も興味もない。
「その靴脱ぐの待てってば。ちーっと、俺っちに付き合ってくれや。」
男が入ってきた。ずかずかと無造作に近寄る足音に、つい顔を上げる。
「む!?」
男の顔が目の前にあった。視線は向けていなかったが、男の気配には注意していたはずだ。いつの間に間合いを詰められたのか。反射的に立ち上がろうとして、
「よう。」
ぽんと肩を叩かれた。
「元気そうじゃねえか、姜伯約。」
終了記念SS−3
「貴方は……誰だ?」
思ったよりも若々しい顔だが、なんとなく相手は自分より年上のような気がした。
「俺っちが誰だって? かーっ、情けないねー。」
ぴしゃっと、自分の額を平手で叩いて男が嘆いた。姜維は、男の手が異様に長いことに気がついた。下に伸ばせば膝まで届きそうだ。
(引き合いの力が強そうな腕だ。タックルを決めるには上手くあの腕の下をかい潜らないと……。)
職業柄、強靭な肉体を目の前にすると、戦意のあるなしに関わらず反射的にそうしたことが頭に浮かぶ。さまざまな情報と疑問が交錯する老レスラーの上に、男の衝撃的な言葉が降ってきた。
「てめえの社長のツラぁ、忘れちゃいけないだろ、うん。」
「社長!?」
彼のいた団体を潰した二代目社長の、意思の弱い、緊張感のない顔には見えなかった。
「ま、もっとも、お前さんがウチに来てくれたのは、俺っちの代じゃあないからな。顔を知らないでも当然かぁ。」
頭をかきながら、男が笑った。
「あ、じゃあ、こっちなら分かんだろ。―先生。」
男が振り向いて、廊下にいるもう一人の男に声をかけた。
部屋の中に入ってくる影に、姜維は愕然とした。
「せ、先生ッ!?」
「なんて顔をしているのです。社長にご挨拶をしなさい、伯約。」
天才経営者の名をほしいままにした孔明CEOこと諸葛亮は、蜀漢プロレス先代社長・劉備の傍らに並びながら、愛弟子に微笑みかけた。
終了記念SS−4
劉備は上機嫌だった。
薄暗いバックヤードの通路を三人で歩いているのだが、一人だけ鼻歌まじりだ。
姜維は混乱しきっていた。
とうの昔に鬼籍に入った二人といっしょに並んでいるのも不可思議の極みだったが、それよりなによりも孔明に言わねばならないことがあった。
「せ、先生。」
「何です?」
「も、申し訳ありませんっ!! 自分は、蜀を、会社を……。」
劉備亡き後、孔明が必死になって運営してきた蜀漢プロレスを倒産させてしまった。そのことは、師を前にして、死んでわびたいほどの失敗だった。
「クヨクヨすんねえ。」
間髪いれず、劉備が明るく言った。
「俺っちだって、何度も団体潰してらあ。お前さんは若いんだし、んなことで思いつめるもんじゃねえさ。……レスラーならリングで取り戻しゃあ、いい。」
孔明がにこりと笑って頷いた。
「し、しかし、自分はもう年老いて、今日引退をした身で……。」
「おう、何寝ぼけたこと言ってんだ、この兄ちゃんは。」
劉備がなおも笑いながら手を伸ばした。拳を作って姜維の胸板を、どん、と突く。
「こんなに鍛えた、若けえ体して何が引退だよ。」
「え?」
慌てて自分の体を見回す。
腕も、胸板も、見慣れた老体ではない。節制を重ね、だましだましリングに上げた肉体ではなく、今日よりも明日が強くなっていることを疑わなかった頃の瑞々しい筋肉がそこにあった。
「これは……。」
「引退だの歳だの、しみったれた話はぁ、どうだっていいやな。」
劉備が心底どうでもよさそうに言いながら立ち止まった。いつの間にか、通路は終わり、三人は突き当りの扉の前に立っていた。
「こいつを開ければ、とびっきり面白えモンが見れるぜ。」
劉備がにやりと笑って扉に手をかけた。
終了記念SS−5
凄まじい歓声と熱気がほとんど物質化しているような空間だった。
姜維が見たこともない、途方もなく巨大な会場の客席が全て埋まっている。
「ざっと百万ってぇとこか。……さすが、洛陽ドーム。いっぺぇ入ってらあな。」
「わが蜀漢の年間PPV購入者と同数ですな。一回の興行で会場に足を運ぶ人間の数とは、この目で見ても信じられません。」
「俺っちもだよ。」
「ら、洛陽ドーム!!」
蜀漢プロレスの最大のライバル、魏の……いや、それ以前からレスリングの統一機構・後漢の根拠地としてある、世界最大の会場だ。
それは、自分と諸葛亮が奪回を目指した至高のリングである。
「うん? 俺っち達の席は何処だ?」
劉備が背伸びをしてきょろきょろと当たりを見渡す。
「あそこですな。ヒゲ殿が立っています。」
全ての手配に毛ほどの抜かりもないといわれた天才CEOにとって、自分がいた席を瞬時に見つけ出すのは容易いことなのだろうか。指し示した先に、確かに見覚えのある巨漢がいる。
公称207cm。レスラーとしても図抜けた長身に、黒く長い髭が映える。
「あれは、もしや関雲長殿……?」
だとすると、その隣にいる、これも190センチ近いレスラーは張飛にちがいない。
伝説のメインイベンターは、ただ大きいだけでなく、遠目から見ても間違えようのない佇まいを身にまとっている。その隣にいるのは……
「子龍殿に、また会えるなんて!!」
同業者として限りない尊敬の念を抱く先輩の姿を認め、姜維は身のうちが震えるのを止めることができなかった。
「ありゃ、あれは……。」
孔明に自分の席を示してもらってもまだ当たりを見回していた劉備がすっとんきょうな声を上げた。
「わりぃ、先生も兄ちゃんも、席戻るの、後まわしだ。おもしろい奴をみつけちまったぁ。」
「ええーっ!?」
終了記念SS−6
劉備がひょこひょこと降りていった先は、VIPルームであるらしかった。
入り口での誰何を、やあやあ、まあまあで済まして中に入る雇い主に少々面食らった姜維であるが、ともかくも付いていく。
「よう、久しぶり!」
振り返った男は、劉備をじろりと見て、ふん、と小さく鼻を鳴らした。
三大団体のトップを前に、こんな態度ができる人間はそうはいない。この小柄だが鍛え上げられた肉体の男は、その一人であるらしい。苦虫を噛み潰したような表情に、ごく僅かだが懐旧の色をにじませ、その男は顎をしゃくって隣の席を示した。
「酒でもたかりにきたか、玄徳。」
「いや、曹さんがいい席にいるのがあそこから見えてねえ。隣も空いているようだし、遊びに来たよ。」
「口の減らん奴だ。」
「おお、冷房がよく効いてるぜ、お金持ちはちがうわな。」
ぱたぱたと襟元をはたかせながら、遠慮のえの字もなく隣に座り込んだ劉備を見て、その男、曹操は必死に抑えようとしていた苦笑を、ついに浅黒い精悍な顔に浮かべた。