アニメ最萌トーナメント2011 投票スレRound104
ラヴクラフト風味の『侵略!イカ娘』文章記述(3/3)
その日はアレックスの様子がおかしかった。何かに怯えているかのように落ち着きが無い。
散歩がてら、犬好きの友人が働く店へ顔を出すのは特に珍しいわけでもないのだが…
彼の様子を狂わせた原因は、拍子抜けする程あっけなく判明した。
店に着き、アレックスが友人の熱い歓迎を大人しく受け入れている最中、彼女は現れた。
青い髪に白い帽子の少女。私は彼女に根源的な違和感を感じていた。
と同時に、どこか懐かしさを覚えていたのだ。
ぼんやりと思いに耽っていた私を、少女の叫び声が現実に引き戻した。
見ると、アレックスが彼女の青い髪に噛み付いている。
引き離さなければと一歩踏み出した所で、私は先程から覚えていた違和感の正体に気づいた。
髪の毛ではない。髪の毛に見えていたのは、青い、10本の、蠢く触手だったのだ。
そしてこの臭い。少し刺激のある、独特な、鼻の奥に残るような生臭さのある臭い。
この臭いこそが、アレックスの平静を奪ったのだ。そして、この懐かしさは…。…明日、友人と共に
少女を我が家へ招待しよう。そこで、確かめなければならない。いあ! そう、祖母がよく口ずさんでいた、あのおまじない。
あの少女に会ってから、不気味で地獄めいた、大嫌いだったあのおまじないが頭を離れないのだ。
確かめなければ、彼女は、我々が戴く主の…いあ!いあ!くとぅるふ!ふたぐん!
ふんぐるい むぐるなふー くとぅるふ るるいえ うが=なぐる ふたぐん! いあ!いあ!
──長月早苗の日記(写真付き)より抜粋