第3回2ちゃんねる全板人気トーナメント投票スレ0596

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308清き一票@名無しさん
お母さんの思いで  6年3組 嗣永桃子[[2ch21-8JvSvfuQ-BM]]

幼い頃に父が亡くなり、母は再婚もせずに私を育ててくれた。学もなく、技術もなかった母は、
個人商店の手伝いみたいな仕事で生計を立てていた。それでも当時住んでいた土地は、まだ
人情が残っていたので、何とか母子二人で質素に暮らしていけた。 娯楽をする余裕なんてなく、
日曜日は母の手作りの弁当を持って、近所の河原とかに遊びに行っていた。給料をもらった
次の日曜日には、クリームパンとコーラを買ってくれた。
ある日、母が勤め先からモーニング娘。のコンサートチケットを2枚もらってきた。私は生まれて
初めてのモーニング娘。コンサートに興奮し、母はいつもより少しだけ豪華な弁当を作ってくれた。
会場に着き、チケットを見せて入ろうとすると、係員に止められた。母がもらったのは招待券では
なく優待券だった。チケット売り場で一人1000円ずつ払ってチケットを買わなければいけないと
言われ、帰りの電車賃くらいしか持っていなかった私たちは、外のベンチで弁当を食べて帰った。
電車の中で無言の母に「楽しかったよ」と言ったら、母は「母ちゃん、バカでごめんね」と言って
涙を少しこぼした。
私は母につらい思いをさせた貧乏と無学がとことん嫌になって、一生懸命にレッスンをした。
キッズオーディションに合格し、映画で主役も張った。ZYXにも選ばれ、母にCDデビューを
見せてやることもできた。 そんな母が去年の暮れに亡くなった。死ぬ前に一度だけ目を覚まし、
思い出したように「コンサートごめんね」と言った。私は「楽しかったよ」と言おうとしたが、
最後まで声にならなかった。<<狼>>