第3回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-14
―ケンカするほど仲がいい―
よく聞く言葉ですが、漫画家の中にもそんな言葉がぴったりくる人たちがいます。
『さよなら絶望先生』の久米田康治と『魔法先生ネギま!』の赤松健の二人です。
二人がどんなやり取りをしてきたのか見てみましょう。
最初は久米田先生の前作『かってに改蔵』で、
「思春期の少年の特殊能力」の例として「女子寮の住人にモテモテ」と、
赤松先生の前作『ラブひな』をネタにしたものでした。
その後も、「まんがキャラの女人との安易な約束で苦渋をなめさせられた男」の例に
「一緒に東大行こうね。→三浪」と『ラブひな』の主人公を出してきたり、
「女人の自分ルール」の例に「愛しあう二人が東大に入ったら幸せになれる」と
『ラブひな』の主人公とヒロインが子供の頃に交わした約束をネタにしたりしました。
執拗にネタにされた赤松先生は、自分の日記にこう記します。
> く、久米田(呼び捨て)の野郎〜、毎週毎週ラブひなネタやりやがって〜
> ・・・はっ! 失礼しました。独り言です。(笑)
あくまでネタとして書いた日記ですが、これを見た両者のファンはヒートアップ。
赤松ファンからは「久米田を許すな!厳重に抗議すべきだ!」
久米田ファンからは「そこまで言う権利があるのか!謝罪しろ!」
というメールが殺到し、次の日の日記には
> 昨日の日記ですがね・・・・
> 私が本気で久米田さんのことを怒っていると思ってしまった少年達が多くて、
> メールや掲示板にそういう書き込みが結構あって、え〜?!って感じです。(笑)
> 「ラブひな」のH同人誌を買って喜んでいる私が、あんなので怒るタマですか・・・。
> 喜んでるんですよ!超大喜びッス!もっとやって!!>久米田さん
とフォローの書き込みがされていました。
この当時(2000年前後)はインターネットが普及し始めた時期だからなのか、
ネット層に存在するファンが流動的だったようで、
今までのやり取りを知らない人は本当にケンカしていると勘違いし、
久米田先生が『ラブひな』をネタに使う
→赤松先生が日記で「久米田の野郎」と発言
→両者のファンがヒートアップ
→赤松先生がフォロー
というのが一連の流れとなってました。
しかしその流れも二人にとっては、心身の糧になっていたようです。
「嬉しいんだか嬉しくないんだかグレーな幸せ」というネタの例の中に、
「講談社漫画賞ノミネート、でも受賞作はアレ」と、2001年講談社漫画賞に
『かってに改蔵』がノミネートされた時の事が書いてありました。
ちなみに受賞作の「アレ」とはもちろん『ラブひな』のこと。
それを見た赤松先生は日記の中で、
> く、久米田の野郎〜(※決まり文句)、久々にやってくれたぜ。(笑)
> 最近やってくれないから、寂しくて読まなくなってたんだが、
> まさか賞ネタでカマしてくるとは、さすがはライバル。危険な男だぜ!
> ・・・しかしまあ、これでヤツと俺との決着はついたということかな。(ぉ
ついに勝者(?)となった赤松先生は、
その後の日記でも余裕を見せるようになりました。
その後も久米田先生は『ラブひな』をネタにし、
赤松先生はたまに日記で取り上げるというやり取りが続き、
2001年48号に『ラブひな』は最終回を迎えるのです。
久米田先生もしばらくネタにすることがなくなりましたが、1年ほど経ったある日
突然「まんが業界の保険にはかわいい子、いっぱい出しときますか、ですよ」の
台詞の後ろに、『ラブひな』のキャラが描かれていました。
ネタにされた赤松先生は当然のように、
> 久々に、久米田の野郎がサンデーでアレをやってくれたぜ!(^^)
> ・・・っていうか、もう終わってから1年経つのに、
> 彼の中ではいまだに「美少女いっぱい」=「ラブひな」という図式なのかぁ。
> 今後は「大先生のお墨付き」という認識で行かせてもらえそうかな。(笑)
> しかし「改造」、あの頃から続けて連載してるんだから驚きです。
> 当たり前ですが、「毎週毎週ギャグマンガを描く」ということの恐怖を、
> 皆さんは日常感じることが無いでしょう。
> これは本当に、想像を絶する恐怖なのですよ。
> 普通のストーリー漫画なら、色々ごまかせるのですがね。
> ギャグは駄目ですね。(一番ごまかしやすいのは、H漫画とパロディ系同人誌。)
と嬉しそうに日記に書き、ギャグで長期連載をする苦労を称えています。
しかしネットが流動的だからか、あまりに久しぶりだったからか、
またしても本気でケンカしてると勘違いされたそうです。
その後も久米田先生はネタにし続けるものの、
飽きたのか『魔法先生ネギま!』新連載で忙しかったのか、
赤松先生はまったく触れなくなりました。
そして『魔法先生ネギま!』1巻発売後、久米田先生はクラスメイト31人
全てに設定を付け、声優を付けて曲を作ったことをネタにし、
「そこまでやられたら、もう何もいえません」と白旗をあげました。
さすがにこれには赤松先生も反応し、
> 何か報告メールによると、久米田の野郎がようやく
> 「ネギま」をネタに使ってくれたみたいで、早く読みたいのですが・・・・(笑)
> ようやくサンデー買ってきました。
> おお、これか! そのまんまだ! やった!(^^)
> ・・・それより、気になるのは「私(赤松)のファンの何人かが、これを見て、
> 本気で怒っているらしいこと」です。何通かの報告メールを読むと、
> 「断固抗議すべきです!」とマジ怒り。頼みますから、
> ギャグ漫画読んで変な行動起こさないで下さい。m(_ _)m
相変わらずぶち切れる新規ファンに、フォローを入れつつも喜んでいたようです。
その『かってに改蔵』も2004年34号に突然の連載終了。
(そういえばこの時も当時の編集長が「自分の子供に読ませたくないから」
という理由で切られたなんて、噂が出たりしてましたっけ・・・)
一週間ほど経った後、赤松先生は日記にこう記しました。
> そういえば、先週サンデーで改蔵と美鳥が終わって、
> 私にコメントを求めるメールが結構来てたんですが。(笑)
> ってか久米田のせいで、美鳥の感動の最終回がカスんでしまったよ。
> (^^;)
> 何て不運な。同情します井上先生。
同時に終了した『美鳥の日々』を絡めつつ、久米田先生の健闘を
称えていました。
『さよなら絶望先生』の連載で久米田先生がサンデーからマガジンに
移籍した後も、時々『魔法先生ネギま!』をネタにしたり、それに対して
日記で反応したり、逆に『魔法先生ネギま!』に「失望先公」という
BL同人誌が出てきたりしました。
しかし、二人の関係はファンにすっかり知れ渡ったのか、
感情的なメールを送ってくる人はほとんどいなくなったようです。
最近では、別のやり取りも始まっています。
久米田先生の弟子で『ハヤテのごとく』の畑先生が、作品内で
『魔法先生ネギま!』をネタに使ったり、トーハンの売り上げランキングで
『魔法先生ネギま!』が『ハヤテのごとく』に負けた際に、
> 畑くん「師匠の仇! ターッ!」
> 赤松「ギャフン!」
> ・・・く、久米田の野郎・・・弟子を刺客によこすとは卑怯な・・・ガクッ
と日記に書き、交流を広げていっているようです。
でも赤松先生と久米田師弟・・・実はまったく面識は無いそうです。