第3回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-10

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222山野野衾 ◆jBrGNc9rBQ
世界史板よりお酒・Bar板支援(全5回)

3〜4世紀の魏〜晋の時代、とりわけ晋が中国南部に逃れて出来た東晋王朝
の時代には、北方は異民族に占領され、自国内では政治不安や粛清が相次ぐ
中、俗世を越えた生き方が求められました。
そこで仏教や道教の影響を受けた自然体、悪く言えば傍若無人な生き方が広
まり、「竹林の七賢」らが登場します。
俗世間を離れた人々が心遊ばせたのは、古典と音楽と酒でした。
そんな彼らの逸話を、今回御紹介致します。
223山野野衾 ◆jBrGNc9rBQ :2008/06/06(金) 00:54:06 ID:Ui2JwFHT
・劉チョウ(永+日)
 大の酒好きで、「相手を選ばず誰とでも飲んでいる」と周囲からは敬遠さ
れていましたが、彼は非難の声などなんのそのでした。
 「わし以上に飲める奴となら、飲まずにはいられない。わしより飲めない
という奴とでも、飲まずにはいられない。わしと同じくらい飲める奴とでも、
また飲まずにはいられないのさ。」

・劉怜
 これまた酒好きで人目をはばからず、家の中で酔っ払って褌一丁で寝てい
たことがありました。それをとがめた人に対して曰く、
 「わしは天地を家とし、家をふんどしにしておるのだ。君、なんだってわ
しの褌に入って来るんだね(それこそ失礼じゃないか)。」
224山野野衾 ◆jBrGNc9rBQ :2008/06/06(金) 00:55:05 ID:Ui2JwFHT
・張翰
 俗世の事に対して簡淡な性格であった彼は、人目を気にしませんでした。
 あまりに酒好きであったので、友人が「後代に名を残す気になって真面目
に生きてはどうか」と言ったところ、返答して曰く、
「僕にとって後代に名を残すことは、眼前の一杯の酒に及ばないよ。」

・畢卓(ひったく)
 ここまで述べて来た人間全てに言えることですが、彼もまた有能でありな
がら酒好きで、ある時など役所の酒を盗んで飲んでしまうほどでした。
 しかし、全く問題にしなかったと言います。
 「片方の手に蟹のハサミを持って、もう片方の手に酒を入れた器を持った
まま、酒の池につかっていられるようであれば、一生に値するね。」
225山野野衾 ◆jBrGNc9rBQ :2008/06/06(金) 00:55:37 ID:Ui2JwFHT
・周凱
 こちらは普段な真面目な人でしたが、宴会の席でセクハラをしてしまい、
「貴方らしくもない」と怒られてしまいました。そこで曰く、
 「長江だって、まっすぐではありますが、千里に一度は曲がりますよ。」

 この表現、飲酒ほどではありませんが日本の文人にもとられています。
 大伴旅人や菅原道真など、中国の文人にあこがれた日本の文人たちも、こ
こまでではなかったとはいえ、詩文と共にお酒を楽しんでいました。

 こんな彼らのことを「だらしがない」と思われるかもしれません。
 しかし、家にお金がなかったので「蛍の光、窓の雪」で勉強したという孫
康・車胤の二人の内、車胤は政界で失脚し、自殺させられています。
 彼は意外と華やかな人で、お酒の席では「今日は彼がいないからつまらな
いね」と言われるような人でした。
 俗世間の栄華があてにならない時代、人々は高位高禄よりも目の前の一杯
のお酒に「本物」を見出したのでした。(まだ4回ですがおしまいです)