第3回2ちゃんねる全板人気トーナメント宣伝スレ-06
42 :
創作文芸板支援@こっちでやり直し。:
(´・ω・`)やぁ。
ようこそ創作文芸の宣伝へ。
この挨拶はコピペじゃないから、まず読んで落ちついて欲しい。
うん、「他人の作品」なんだ。済まない。
でもこの3倍は自分でも読んだしね。文学板の物資今からだしね。
謝って許してくれと言うつもりはない。
でも、以下のレスを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「2ちゃんにもこんな板あったんだ」みたいなものを感じてくれると思う。
殺伐としたトナメの中で、そういう弱小板を忘れないで欲しい、
そう思ってこの支援物資「アリの穴作品紹介」を発動したんだ。
じゃあ、<<創作文芸>>の世界を読もうか。
※ アリの穴
創作文芸板発としてかつて誕生した小説投稿サイト
「虎の穴」の系譜を継ぎ、02年に発足した外部サイト。
時によそ様には見せられない壮絶な煽り叩きをしながらも、総投稿作品数は7000を超える。
43 :
創作文芸板・アリの穴作品紹介(1/16):2008/05/23(金) 22:20:42 ID:lRhSKNvH
『冬の幻影』 ――「その人は、愛される資格を持った人だったんだと思います」
http://ana.vis.ne.jp/ali/antho_past.cgi?action=article&key=20030715000006 弥吉は坊主頭のてっぺんまでくしゃくしゃにして、四六時中笑っているような男であった。
真面目で働き者であったが、呆れるほどに間抜けだったので、いつもへまばかりしていた。
周りの者に叱られ、笑われて、落ち込みながらも、困ったように
「ごめんなさい、ごめんなさい、ほんま、ごめんなさい」
と繰り返す、その泣きべそをかいた顔が、くしゃくしゃの笑い顔に見えるので、またおかしい。
暇を与えられれば、必ず釣竿を持って駅へ行って、ホームから電車の来ない
線路へ向かって糸を垂らす。少女が聞くと、
「僕の家は、大阪だったんです。大阪はほんまに海がいっぱいで、いっぱいで、
本当にきれいな海だけれども、たまに怪獣みたいになるんです。見せてあげたいです」
『孤狼情歌』 ――飢えても、矜持が糧となる。
http://ana.vis.ne.jp/ali/antho_past.cgi?action=article&key=20030208000004 軽い足音とともに、石の上に白い影が立つ。何の躊躇もなく、潔ささえ感じる出現だった。
剛鉄は厳しい顔で眼を細めた。
長の吹砂にも引けを取らない、大きな体躯だった。耳は前を向いてぴんと立ち、
贅肉のない太い四肢は力づよく地を踏みしめている。日本犬の多くは尾が丸く
反り返っているが、この犬は狼達と同じように、長い尾をただ明けの風になびかせていた。
晦のごく淡い光に照らされて、犬は冷然と狼の群れを見下ろしていた。
雪に寝そべっていた狼達は慌てて起き上がり、牙を大きく剥き出して唸り声をあげた。
――どこの猟犬か知らんが、この北沢根に近づくとは、豪気な者だな。ここは未だ我らの森だ。
『デブランス革命』 ――世界はドドリアさんのためにある!
http://ana.vis.ne.jp/ali/antho_past.cgi?action=article&key=20030311000001 ふーっ、なんか汗出てきた。何この暖房? サウナどすか、ここ?
まあいいや、続けるよ? ちっ、こっち見ないな。今頃になって良心の呵責に
さいなまれてやがるんですね。でも、許しませんよ? 怒り狂ったフリーザ様は
もうあなたがたを許しませんよ? えっと、なんだっけ? そう、劣等生物の
お前らと戦闘民族の俺の違い。哀れなお前らはどうせ宇多田ヒカルとか聴くんだよね?
あらまあ、哀れ。ぷぷっ。あらまあ。俺? 俺はラルクとか超聴くよ。レベルが違うんだよ。
知らないだろ、ラルクとか? あと、アルフィーもちょっと聴くぜ。
もう! だから、暑いんだっちゅーの!
『フォラメン』 ――「僕」は、一人で良い。
http://ana.vis.ne.jp/ali/antho_past.cgi?action=article&key=20050621000067 夜ごと妻を殺し続けたササン朝ペルシア王の名前がそのウィルスに与えられたとき、
すでに世界人口の五十パーセントは死滅していた。ほぼ正確に半数であることは疑いようがなかった
――《シャーリアー》ウィルスは人間の女性だけを死に至らしめる病毒の運び手だったのだ。
男達にはなんの影響もなかった。男達はいつもと同じように朝を迎え、同じベッドで
血まみれになって息絶えている妻を発見した。
その後、世界を覆った混沌については、僕はほとんど知らない。
もちろんあの大虐殺に関する記述は多いのだが、信頼できる国家レベルの情報ともなると、
何人かの大統領や首相とローマ教皇の名前が英雄的修飾を添えられて簡素に記されているだけだ。
人々は、あまり語りたがっていないように思える。
僕達は、僕達の祖父の世代は、うまくやったのだ――想像を絶するほどに。
世界人口の半数が二十八日間で死滅するという未曾有の危機に瀕して、崖のふちでもがき、
均衡をとり、科学の力でもって秩序を地上に取り戻したのだ。
『東北縫い』 ――死は近付き、そして離れていった。
http://ana.vis.ne.jp/ali/antho_past.cgi?action=article&key=20060123000096 雪壁ゴバッと両側にずっと向こうまで、挟まれうねた国道はアスファルト地が見えやしない。
積もる雪、そこら中の枯木に、細枝に、アスファルトに、車に、雪、雪、雪、吹雪のなか、
ハンドルをとられながら、進んでゆく真冬の青森県の山の中の国道の雪、
……そうだ、十和田湖畔に佇んで、凍らない緑色の湖面に立つ、波、波、波を眺めていたときに、
雪のなかにブーツを突っ込んで、俺は季節を感じた、コートのポケットに手を入れて、
向岸に拡がる死んだ山並み、厚い雲にわずかな光が透ける太陽、久しぶりに、
俺は季節を冬という季節を凍える銅像のような季節を躰中で感じとった……運転しろ、
アクセルを踏みつけて、雪壁のあいだを運転しろ。