「あたしたち「ひゃく」かぞえてた こんどは「ずる」しなかったよ」
「でも クロちゃ おきなくて
ひゃくをいっぱいかぞえてもおきなくて
このままおきなかったら どうしようって
サンジュがクロちゃ こまらせたせいなの」
いっぱいいっぱい心配した分、いっぱいいっぱい饒舌になるニジュクとサンジュ
「……そうか それで不安になったのか
わたしの方こそすまなかった 途中でケンカしちゃったしね」
「うん」「でももう なかなおりだよね?」
「ああ 二人とも頑張ってくれたんだろう?」
「うん!」
いっぱいいっぱい頑張ったニジュクとサンジュ
張り合った意地も全部流して、クロ。と二人は仲直り
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弱音は吐かない、辛さを飲み込んでいた <<クロ@棺担ぎのクロ。〜懐中旅話〜>>
「そういや 今日は『包帯』まだなんだろ オレ出て行こうか?」
「いや いいよ 包帯はもう かえたから」
そう……包帯はニジュクとサンジュが替えてくれたから。
そのときに見た「クロちゃのからだ」には、一言も触れないまま……
「クロちゃん なんにもきかなかったね」
「うん なんにもゆわなかった」
黄昏の空が紺色に染まりゆくころ、橋の欄干に身を寄せ、二人は話し合う
「でも たぶん クロちゃしってるね」
「うん しっててクロちゃん かくしてる」
「ねえ なんでクロちゃは 「たび」をしてるのかな」
そんな会話を重ねながら、黒い滲みに染まった包帯をそっと川に流すニジュクとサンジュ
─────── いま おもうと
このとき あたしたちも
ちょっとずつ きづきはじめたのかもしれない
クロちゃんがなんで「たびびと」なのか どうして「はこ」を もっているのか ───────
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